日本経団連タイムス No.3015 (2010年10月7日)

第5期日本経団連グリーンフォーラム9月講座開催

−ロジカル・コミュニケーションをテーマに/講義と実習を交えて学ぶ


照屋氏の指導を受ける参加者

組織や部門をリードできるプロ人材の育成を目指す「第5期日本経団連グリーンフォーラム」の9月講座が都内で開催された。今回のテーマは、「ロジカル・コミュニケーション‐論理的に考え、表現するためのアプローチ」。コミュニケーション・スペシャリストの照屋華子氏を講師に迎え、講義と実習を交えて学んだ。

照屋氏は、ビジネス・コミュニケーションにおいて、「自分の考えを、わかりやすく論理的に伝え、期待どおりの反応を引き出す」(=ロジカル・コミュニケーション)の準備として、(1)テーマ(問い)(2)相手に何をしてほしいのか(期待する反応)――の確認という2つが必要と指摘。(1)「現状は?」「課題は?」「アクションは?」という具体的な質問のかたちに置き換え、相手がどの問いに関心をもっているかを考えること(2)相手に理解してもらいたいのか、フィードバック(判断・意見など)を求めているのか、行動を期待しているのかを考えること――が重要と説明した。

続いて、テーマに対する「答え」を「結論」(エッセンス)と「それを支える要素」(具体的な状況、根拠、方法論)に分類し、(1)MECE(ミッシー)(2)「So What?/Why So?」――というロジカル・シンキングの2つの基本的なアプローチから整理し、組み立てていく方法を解説した。MECEとは、「相互に重なりなく、全体としてモレのない部分の集まりでとらえる」ことであり、「足りないものを補強し、かつ重複しているものを省き、自分の説明すべき要素の全貌を見渡すこと」であると説明。MECEの切り口として、「要素分解」「ステップ」「対照概念」の3つのタイプを意識しながら行うこと、分類にあたっては、(1)細分化しすぎない(2)きちんと項目を立てる――ことが重要と指摘した。

MECEに分類したうえで、「So What?」(結局、何なのか)を用いて、複数の情報のなかから、問いへの答えとなる説明のエッセンスを導き出し、「Why So?」(なぜ、そう言えるのか)を用いて「So What?」した要素が確かに導かれることを検証すると流れを説明。特に、この検証するという作業が重要と強調した。

最後にロジカル・シンキングによって組み立てられた内容を「見てわかる」表現とするために、組み立てを視覚化するための方法を解説した。

数人のグループに分かれての演習では、事例を用いて、MECEによる分類や「So What?/Why So?」で「答え」(結論、根拠または方法論)を組み立てる作業を実践した。

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日本経団連グリーンフォーラムは、業務遂行力の向上を目指し、マネジメントスキルについて体系的に学ぶ実践的なプログラム。5月に第5期を開講し、これまでキャリアデザイン(7月8日号既報)、リーダーシップ、マーケティング(8月5日号既報)、コーチング(9月2日号既報)を学んだ。来年3月の修了式まで、ファシリテーション、ビジネス・ネゴシエーション、プレゼンテーション、プロジェクトマネジメントなどの技法について、グループワークを交え講義を実施する。
全講座修了後には参加者全員が修了式翌日を起点とする100日間の行動計画と実行を担保する工夫を策定、100日後に成果報告を行う。
同講座に関する問い合わせは、日本経団連事業サービス(電話03‐6741‐0042)まで。

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