日本経団連タイムス No.3026 (2011年1月13日)

第64回評議員会開く

−米倉会長、経済連携の推進と国内農業振興の両立図る重要性指摘


あいさつする渡評議員会議長
あいさつする米倉会長

日本経団連は12月20日、東京・大手町の経団連会館で第64回評議員会を開催し、米倉弘昌会長、渡文明評議員会議長をはじめ副会長、評議員会副議長、評議員ら約240名が出席した。

冒頭、あいさつした渡議長は、わが国の成長のカギを握るのは「技術革新の推進」「税・財政・社会保障制度の一体改革」「外需の内需化の推進」の3点であると指摘。国家の根幹にかかわる、税・財政・社会保障制度の一体改革のような課題の解決に向けて、経団連は、政策提言を政府・与党に働きかけるだけでなく、与野党の政策協議を促したり、メッセージを国民にわかりやすく発信したりする必要があると訴えた。

続いてあいさつした米倉会長は、企業が活力を取り戻し経済が成長して初めて、雇用の創出や持続的な社会保障制度の確立が可能になると強調。成長戦略に関しては、12月6日に公表した「サンライズ・レポート」で、未来都市モデルプロジェクトという新たな取り組みを提言していると述べた。また、国際関係に関しては、TPP(環太平洋経済連携協定)への参加等を通じた高いレベルでの経済連携の推進と国内農業の振興の両立を図ることの重要性を指摘し、改革に向けた農業界の取り組みに最大限協力したいと述べた。さらに、地球温暖化問題に関しては、COP16での政府の尽力に感謝の意を表するとともに、国内で企業に新たな負担を強いる施策の導入が検討されていることに懸念を示し、政府と産業界が協力して経済成長につなげるグリーン・イノベーションを推進すべきだと強調した。

来賓あいさつでは、まず前原誠司外務大臣が、より自由な貿易体制、官民連携によるインフラの海外輸出、資源・エネルギー・食料の多角的な確保、観光の四本柱で経済発展に資する外交に取り組むと述べた。続いて、細川律夫厚生労働大臣が、仕事があって収入を得ることが家族、社会、国の安定につながると述べ、雇用が安定して産業も発展するという好循環をつくることの重要性を指摘した。次に、大畠章宏経済産業大臣は、厳しい経済状況を踏まえて切れ目ない経済対策や法人税減税を進めてきたと説明し、今後は経済連携の推進や海外での社会インフラの受注に取り組むと述べた。海江田万里特命担当大臣(経済財政政策、科学技術政策)は、経済財政政策では予備費や補正予算に加え平成23年度予算によってデフレ脱却に向けて取り組むことや、科学技術政策では政府の研究開発投資のGDP比1%目標を示したことを紹介した。


前原外相

細川厚労相

大畠経産相

海江田特命相

「明日の日本と人づくり」〜濱田東京大学総長が講演

濱田東大総長

続いて濱田純一東京大学総長が「明日の日本と人づくり」と題して講演した。

濱田総長は、現在は「徹底したグローバル化」と「不連続な変化の連続」の時代であると指摘し、過去の成功体験は役に立たず、このことは東京大学にも当てはまると述べた。こうした時代に求められる力は国際性、変化に対する柔軟性、創造力、挑戦力であり、さらに、そうした力が社会で存分に発揮されるためには、若者達が「挑戦することで自分達の生活や社会が改善する」という意識を共有する必要があると指摘し、各界のリーダー達が明日の社会の夢についてメッセージを発信して「時代の雰囲気をつくる」必要があると強調した。

続いて濱田総長は、学生には「タフになれ」「リスクを取れ」と話しているが、一方で、知識がタフになることを邪魔していると言われたことを紹介し、学生は知識を社会で力にすることを真剣に考え、ベンチャー精神を持つ必要があると述べた。さらに、リスクを冒す若者を勇気付けることが必要であり、競争の促進や再チャレンジの機会の確保、多様な尺度での能力評価が重要だと言及した。

【総務本部】
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