日本経団連タイムス No.3033 (2011年3月3日)

ASEANミッションがインドネシア、タイ、シンガポールを訪問

−地域経済統合インフラ整備、具体的協力で官民首脳と意見交換


ユドヨノ・インドネシア大統領(右)と会談する米倉会長(左)

日本経団連の米倉弘昌会長を団長とするASEANミッションが2月13日から18日にかけて、インドネシア、タイ、シンガポールを訪問した。ミッションには米倉会長をはじめ、渡文明評議員会議長、副会長、関係委員長ら10名が参加した。

米倉会長ら10名が参加

今回のミッションの目的は、経済界のアジア重視の考えをあらためて内外に示すとともに、アジアの地域経済統合やインフラ整備等を推進するためのより具体的な協力について、踏み込んだ意見交換を行うことである。訪問先では、インドネシアのユドヨノ大統領、ブディオノ副大統領、ハッタ経済担当調整大臣、ヒダヤット工業大臣、タイのアピシット首相、トライロン副首相、ゴーン財務大臣、ポンティワー商務大臣、シンガポールのリー・シェンロン首相、ゴー・チョクトン上級相、リム・フンキャン貿易産業大臣をはじめとする政府首脳やスリンASEAN事務総長、また、民間経済界のリーダーと意見交換を行った。

地域経済統合については、各国首脳とアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の構築に向けて、人の移動や物品・サービス貿易の一層の自由化を図るべきとの考えで一致した。特に、シンガポールからは、わが国が東アジア包括的経済連携(CEPEA)の実現でリーダーシップを発揮するとともに、環太平洋経済連携協定(TPP)に早期に参加して、アジアと米国を含む太平洋諸国との懸け橋としての役割を果たすことに期待が寄せられた。

インフラ整備については、インドネシアで6つの経済回廊や首都圏投資促進特別地域(MPA)へのわが国の積極的な参加が求められた。特に、道路、港湾、火力発電、地熱発電、上下水道、鉄道、都市交通等のインフラ整備における、パブリック・プライベート・パートナーシップ(PPP)の活用とCO2の二国間オフセット・メカニズムの導入の重要性について一致した。また、タイでは、国内投資推進の観点から、一層のビジネス環境整備と日タイ経済連携協定(JTEPA)の再協議を通じたサービス投資の規制緩和の重要性、メコン地域開発での協力の推進について話し合った。

各国からは、インフラに関する人材育成への協力が求められた。シンガポールおよびASEAN事務局とは、広域インフラ整備のためのアジア債券市場整備について協力を進めることで一致した。

経団連では、ミッションの成果について、4月5日に開催するアジア・ビジネス・サミットでさらに議論を深めるとともに、提言活動等を通じて、アジアの一層の成長のための具体的なアクションにつなげることとしている。

【国際協力本部】
Copyright © Nippon Keidanren