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経団連会館で開催したグローバル法務戦略セミナー |
日本経団連事業サービスは日本経団連と連携して、2月14日、東京・大手町の経団連会館で、「グローバル法務戦略セミナー(第2回)」を開催した。同セミナーは、森・濱田松本法律事務所の協力のもとに実施しており、今回のテーマは「中国企業との交渉術」。
講師の射手矢好雄弁護士の説明は次のとおり。
中国で交渉を有利に進めるためには、人脈や人間関係が最も大事との意見や、宴会や贈り物の重要性を説く意見がある。こうした意見は、経験に裏打ちされているものの、中国の特殊性を強調しすぎている感がある。
これまでの実務経験を踏まえ、中国ビジネスにおける交渉の体系化を考えたところ、交渉術の基本をマスターし、それに中国特有の味付けをするアプローチが適切であるとの結論に達した。
交渉術の基本となるのは、「ハーバード流交渉術」である。同交渉術のポイントは、お互いの利益を見いだし、それを実現する方法を考えることである。
こうしたWin‐Winの関係を目指す交渉には、7つのカギがある。中核となるのは、(1)互いの利益を把握し(2)それを満足させる複数のオプション(選択肢)を用意し(3)これらの客観的な根拠を議論する――ことである。そのうえで、(4)BATNA(Best Alternative To a Negotiated Agreement、合意が成立しない場合の代替案)を準備し(5)相手との人間関係を考慮しつつ(6)コミュニケーションを図りながら、交渉を進めていく。そして最後に、(7)オプションがBATNAより望ましい場合にのみ、合意に至ることになる。
ハーバード流交渉術は、中国ビジネスにも応用できる。ただし、これら7つのカギのそれぞれにおいて、中国の特色を踏まえる必要がある。