日本経団連タイムス No.3036 (2011年3月24日)

第47回四国地域経済懇談会を高松市で開催

−「日昇る国」実現と四国経済の持続的発展へ


日本経団連と四国経済連合会(四経連、常盤百樹会長)は9日、高松市内のホテルで「第47回四国地域経済懇談会」を開催した。懇談会には、経団連から米倉弘昌会長はじめ評議員会議長・副会長らが、四経連からは常盤会長はじめ会員約170名が参加し、「『日昇る国』の実現と四国経済の持続的な発展に向けて」を基本テーマに、活動を報告するとともに懇談した。

開会あいさつのなかで四経連の常盤会長は、四国地方の経済は生産や輸出に持ち直しの動きがみられ、足踏み状態を脱しつつあるが、自律的、持続的な発展を遂げるため、地域の特性を活かしつつ、山積する課題を乗り越える必要があると説明した。そのうえで、(1)アジアの急速な成長への対応(2)人口減少時代への対応(3)財政制約下での社会基盤整備(4)道州制の実現――の4点を四国の基本的課題として挙げた。

続いてあいさつした経団連の米倉会長は、内外で非常に厳しい状況が続くなか、今年はわが国が新しい未来を切り拓くための正念場の年であり、「日昇る国の実現」に向けて、(1)イノベーションの推進と企業家精神の発揮(2)成長戦略の実現と改革の断行(3)平成の開国と力強い農業の実現――の3点が重要と指摘した。特に、イノベーション立国を目指すうえでのアクションプランである「サンライズ・レポート」「未来都市プロジェクト」について説明するとともに、強い日本の農業の育成に向けた抜本的な構造改革の必要性を強調し、四経連に協力を呼びかけた。

■ 活動報告

第1部の活動報告では、経団連側から、岩沙弘道副会長が「未来都市モデルプロジェクト」、大橋洋治副会長が「今次労使交渉における経営側の基本姿勢」、森田富治郎副会長が「税・財政・社会保障の一体改革」、前田晃伸副会長が「規制改革と道州制の推進」、榊原定征副会長が「新たな科学技術基本計画の策定」について報告した。

「未来都市モデルプロジェクト」では、地球温暖化や少子高齢化など、わが国が直面する課題の解決、成長産業の創出を図るべく、全国12の都市・地域で、環境・エネルギー、医療、交通、農業などの成長分野において、企業の先端技術を結集しながら、さまざまな技術やサービスの実証実験を行うとした。「今次労使交渉における経営側の基本姿勢」では、雇用創出につながる企業活動の活性化の取り組みが必要としたうえで、今次労使交渉・協議では、賃上げより雇用を重視した交渉が重要との認識を示した。「税・財政・社会保障の一体改革」では、公的年金において基礎年金の国庫負担2分の1を賄う安定財源の確保、高齢者医療において高齢者医療給付費への税負担割合の拡大を図るとともに、安定財源の確保に向けた消費税率の引き上げが必要とした。「規制改革と道州制の推進」では、経済活動の実態を踏まえた規制改革の推進、道州制導入に向けた機運の醸成と国民の合意形成にかかわる取り組み状況が報告された。「新たな科学技術基本計画の策定」では、科学技術基本計画案において、経団連の意見が多数反映されているとの説明があった。

四経連からは、青木章泰副会長が「四国に立地する企業の競争力強化に向けた取り組み」、竹崎克彦副会長が「少子化の改善に向けた取り組み」、山下直家副会長が「道州制・四国州の実現に向けた取り組み」についてそれぞれ報告。「四国に立地する企業の競争力強化に向けた取り組み」では、イノベーションによる四国の新たな成長産業を創出するため、立地競争力を高める環境整備、人材の育成・確保が必要と指摘した。「少子化の改善に向けた取り組み」では、子供を産み育てやすい環境の整備に向けて、出産や保育への財政的支援の強化、若年世代の経済基盤の安定に取り組む必要があるとした。「道州制・四国州の実現に向けた取り組み」では、昨年11月、高松で開催した道州制シンポジウムの模様など、議論喚起に向けた取り組み状況が報告された。

■ 意見交換

第2部の意見交換では、四経連から、(1)社会基盤整備、特に8の字ネットワークの整備(2)高速道路料金と公共交通(3)TPPと農業の活性化(4)国際観光の推進(5)地球温暖化対策(6)人材育成と大学のあり方――の6点について質問があった。

これに対して、経団連の渡文明評議員会議長らから、(1)選択と集中による高速道路、鉄道、航路のバランスのとれた整備が必要(2)主要国とのEPAの早期締結、TPP交渉への早期参加、農業改革の推進が大切(3)観光コンテンツの造成、戦略的情報発信、観光客受け入れのためのインフラ整備をすべき(4)産業活力、国際競争力を失わない、公平で実効ある国際枠組の構築が大事(5)グローバルに活躍できる人材の育成に向けた、モデル・カリキュラムの実施などに取り組む必要がある――とコメントした。

【総務本部】
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