日本経団連タイムス No.3037 (2011年3月31日)

震災支援、復旧・復興への取り組みで米倉会長と直嶋民主党副代表が意見交換

−米倉会長、救援物資ホットライン便はじめ迅速かつ的確な支援を実施


直嶋民主党副代表(左)と米倉会長

日本経団連の米倉弘昌会長は22日、東京・大手町の経団連会館で、民主党の直嶋正行副代表と「東北地方太平洋沖地震の支援、復旧・復興の取り組み」をテーマに意見交換した。

直嶋副代表、第一次産業立て直しが地域の復興には重要

■ 直嶋副代表

今回の震災について直嶋副代表は、「われわれの想像を絶する規模の地震、津波に襲われた、未曾有の大震災であった。あわせて、原子力施設における災害も発生したことで、より深刻な事態が生じている」との認識を示した。そのうえで、「1995年の阪神・淡路大震災と比較して、被災地が青森から千葉まで広範囲に広がっている。集落がその広い中に点在しており、行政そのものが被災し事態を把握できず、機能していない町村もある」と指摘。「避難生活もある程度長期化する可能性があり、その前提に立って、生活再建支援を行うことが重要である。復旧・復興にあたっては、国や都道府県が積極的に取り組んでいく必要があるだろう」との考えを示した。

また、津波の被害が大きかったため、がれきが大量に発生していること、水没した市街地・農地も広範囲にわたることを挙げ、「特に、農業・水産業の被害は甚大であり、第一次産業の立て直しが、この地域の復興にあたっては重要である」と強調した。

福島第一原子力発電所については、「災害をいかに押さえ込むかが急務である。そのために全力を挙げているが、これに目途を付けられなければ、被災地全体の復旧・復興に影響を及ぼしかねない」として、鎮静化に向けて最大限努力していくとの考えを示した。

また、今後の日本経済への影響については、「日本経済全体へマイナスの影響は極めて大きい。今後、電力供給不足などで、さらに産業活動への影響が出てくることが予測される」との見通しを示したうえで、「ようやく日本経済に明るい兆しが見えてきた時にこのような大地震が発生したが、何とか乗り越えていかなければならないと思う」と語った。

■ 米倉会長

一方、米倉会長は、今回の震災は、非常に広範囲にわたって被災しているだけに、国・自治体が一体となって、大きな役割を担わなければならないが、物流機能の不全など、なかなかスムーズにはいっていない印象を受けると指摘。「被災者の方々が不安感なく元の生活に戻れるよう、迅速な取り組みが求められる」との考えを示した。

そのうえで「インフラ関係の復旧、第一次産業の立て直しなど、順を追って解決すべきであるが、産業界としても、自動車産業、家電メーカーは相当程度、東北地域に拠点を構えており、それら生産拠点の立て直しが急務となるだろう」と指摘。その際、「原燃料から調達まで含めて、サプライチェーンをどう組み立て直すかを考えていかなければならない。また、地場企業を早期に復興させていくことも重要である」と語った。

福島原発については、「東京電力の必死の対応を見守っているが、東京電力や協力会社の従業員自体が被災しており、設備の相当な部分が津波により、破壊された状況で、どのような側面支援ができるのか、経済産業省を中心に検討していただきたい」と語った。

また、復興支援に関して米倉会長は、14日に「東北地方太平洋沖地震対策本部」を立ち上げたことに言及。具体的な取り組みの一環として、貨物船や航空機の定期便を利用して被災地のニーズにあった救援物資を迅速かつ的確に運ぶルートとして「救援物資ホットライン便」を開設したことや、会員企業ほか多くの企業・団体から、500億円以上の義援金等が表明され、各社の従業員も、自主的に募金を集めるなどしていることを紹介した。また、近く「震災復興特別委員会」を立ち上げ、震災復興に向けた提言を取りまとめ、政府・与野党のほか関係方面に働きかけを行っていくとの意向を示した。

◇◇◇

最後に直嶋副代表は、「米倉会長にはいろいろとアドバイスを頂戴し、感謝している。政府としては、民間の皆さんの力を活用させていただいて、早期の復旧・復興を目指したい」と語った。米倉会長は、「今回の震災を受けて、日本国民の団結、忍耐強さをあらためて認識するとともに、世界からそのことを賞賛されていることを励みに感じている。阪神・淡路大震災では、復興に10年かかったが、被災地の方々が長く苦しむことがないようにしたいし、必ずや復興できると確信している」と語った。

【社会広報本部】
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