日本経団連タイムス No.3039 (2011年4月21日)

今夏の電力需給対策に関する懇談会開催


日本経団連は13日、東京・大手町の経団連会館で、「本年夏の電力需給対策に関する懇談会」を開催した。
東日本大震災の影響により、今年の夏に関東・東北地方で大幅な電力供給不足に陥るおそれがある。会合では、その対応のために政府が策定した「夏期の電力需給対策の骨格」について経済産業省から説明を聞き、意見交換を行った。当日は750名が参加した。
懇談会の冒頭、資源・エネルギー対策委員会の岡素之共同委員長が、経団連としても、企業自らが使用電力のピークを抑制する「電力対策自主行動計画」を策定することを紹介し、会員の協力をあらためて求めた。
続いて、経済産業省の井内摂男大臣官房審議官が「夏期の電力需給対策の骨格」について説明した。井内氏の説明は次のとおり。

■ 今夏の電力需給の見通し

東京電力の供給力は、震災直後に3100万キロワット(kW)まで低下した後、3月末に3600万kW程度まで回復した。夏までには、4500万kW前後の供給力を見込む。他方、今夏の最大ピークの需要は、約5500万kWと想定される(猛暑だった昨夏は6000万kW)。現時点で、昨年並みのピークを想定すると、1500万kW程度の供給力不足が生じるおそれがある。同様に、東北電力では、最大330万kWの供給力不足のおそれがある。

■ 今夏の需給対策の基本的考え方

東北地方太平洋沖地震直後は、緊急措置として計画停電が行われた。しかし、国民生活や産業活動に対して大きな影響を与える計画停電は「原則実施しない」方向としていく。そのためには、供給力の積み増しに加え、抜本的な需要抑制対策が必要である。そこで、あらかじめピーク時間帯の使用最大電力(kW)の抑制幅を示し、消費者や企業が創意工夫を凝らして節電を行うことにより、極力活動に支障が出ないような仕組みを考えることが肝要である。

■ 需要面の対策

東京電力管内で少なくとも1000万kW以上、東北電力管内で280万kW以上の需要抑制を図る。使用最大電力(総量ではない)の抑制を基本とする。現時点では、(1)大口需要家(契約電力500kW以上)=25%程度(2)小口需要家(契約電力500kW未満の事業者)=20%程度(3)家庭・個人=15〜20%程度――を部門別の目標数値とし、ピーク期間・時間帯(例えば、7〜9月(平日)の10〜21時)の使用電力からそれぞれ抑制することを想定している。

大口・小口需要家は、営業・操業時間の短縮・シフト、空調・照明機器の節電、夏期休業の設定・延長・分散化などの具体的取り組みについて計画を策定し実施する。特に、大口需要家については、需要抑制の実効性と公平性を担保するため、電気事業法第27条(電気の使用制限)を活用する。また、同業・異業の複数事業者が共同で需要抑制を行うことができるスキームの導入を検討する。

■ 今後のスケジュール

4月末を目途に、政府の電力需給緊急対策本部で最終的な政策パッケージを取りまとめる。

【環境本部】
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