経団連タイムス No.3044 (2011年6月9日)

米日カウンシル幹部と昼食懇談会を開催

−日米関係強化に向けて意見交換


左からイノウエ米日カウンシル会長、小島
副会長、イノウエ上院議員、川村副会長

経団連は5月31日、東京・大手町の経団連会館で、ダニエル・イノウエ米連邦上院議員をはじめとする米日カウンシル幹部との昼食懇談会を開催した。米日カウンシルは、2009年にイノウエ議員ら米国の有力な日系人が中心となって設立された団体である。懇談会には、米日カウンシル側からイノウエ議員(米日カウンシル評議員)、ダニエル・オキモト・スタンフォード大学名誉教授(評議員)、トーマス・イイノ・パシフィック・コマース銀行会長(議長)、アイリーン・ヒラノ・イノウエ会長ら18名が、経団連側から川村隆副会長、小島順彦副会長、アメリカ委員会の村瀬治男共同委員長、伊東信一郎共同委員長ら24名が出席した。

冒頭、川村副会長が、東日本大震災に際しての米国からの支援に対する感謝の意を伝えるとともに、震災を機に日本国民はあらためて日米関係の重要性を認識したと述べた。また、経団連としては引き続き日米関係の拡大に努めており、特にTPP(環太平洋連携協定)への早期参加を通じた日米経済連携の強化を働きかけていると紹介した。

続いてイノウエ議員があいさつし、あらためて東日本大震災に対するお見舞いの言葉を述べた。また、今回の震災に際しての支援は、米国の日本への友情の表れであり、友情に値段はつけられない、したがって支援金額を論じることはしないとの話があった。さらに、強い日米関係は世界の安全保障と安定を保つうえで重要であり、今後もこの関係を持続していきたいと述べた。

その後、オキモト名誉教授が「日米関係の新しい挑戦と機会」をテーマにスピーチした。このなかでオキモト名誉教授は、世界経済は脆弱ながら回復しつつあるものの、財政面での不均衡により生じる為替の乱高下や複雑な金融派生商品の蔓延、ユーロ圏の危機等、不安定性と不確実性がいまだに多くあるとの認識を示した。また、これら目に見える課題に加えて、今回の震災のような予期せぬ危機もあり、リーマンショックのような金融危機の再発も考えられると述べた。そのうえで、日本はこの20年間、大きな改革を行わないままであったが、今回の震災を機に、単なる復旧・復興ではなく、戦略的な復興と改革への政治的意思が生まれることを期待すると述べるとともに、仮にそれができなければ日本は取り返しのつかない状態になると指摘した。

続く意見交換では、小島副会長から、海外への留学生の減少に見られるように、日本の若者が内向きになっているとの発言があった。これに対しオキモト名誉教授は、日本の若者には、国際化への意欲の減退と少子化による数の減少という質と量両方の問題があると指摘し、若者の国際化のためには、彼らにインセティブと機会を与えると同時に、教育機関も外国人を誘致すべく改革が必要であると述べた。

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経団連では、引き続き米日カウンシルをはじめとする日系米国人コミュニティーとの交流を強化し、日米関係の一層の緊密化に努めていく。

【国際経済本部】
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