経団連タイムス No.3045 (2011年6月16日)

約130名参加しシンポジウム
「日本とドイツ−日独協力ならびに日・EU経済関係の強化に向けて」を開催


日独シンポジウムであいさつする米倉会長

経団連は7日、東京・大手町の経団連会館で、在日ドイツ大使館の協力を得て、シンポジウム「日本とドイツ−日独協力ならびに日・EU経済関係の強化に向けて」を開催した。当日は日本側、ドイツ側合わせて約130名が参加した。

シンポジウムの冒頭、経団連の米倉弘昌会長があいさつし、東日本大震災に対するドイツからの支援に、あらためて謝意を表明した。また、経団連として、ドイツの政府関係者、経済団体や企業と積極的な交流・協力を進めていることを紹介。先月開催された日・EU定期首脳協議については、「両国首脳がEPA交渉のためのプロセス開始に合意したことは、非常に喜ばしい前進である」と語り、今後の展開に期待を示した。

続いてあいさつに立ったフォルカー・シュタンツェル駐日ドイツ大使は、東日本大震災によって、国際貿易の機能強化の必要性があらためて明らかになったと指摘。また、台頭する新興国市場においても、日独が、互いの経験を持ち寄って学び合うことが重要であると強調した。

その後、経団連ヨーロッパ地域委員会の小林喜光共同委員長と、ペーター・アモン・ドイツ外務次官による基調講演が行われた。小林共同委員長は、日・EUのEPAに関し、「EU内の合意形成に大きな発言力を持つドイツには、早期交渉開始に向け、力強いリーダーシップを発揮してほしい」と協力を求めた。また、日本とドイツが強みを持つ省エネルギーや再生可能エネルギーなどの分野で、二国間協力の可能性が高まってきているとの認識を示した。アモン次官は、定期首脳協議の結果を歓迎するとともに、エネルギー安全保障や天然資源へのアクセス等の課題に関する日独協力の強化に期待を表明した。

パネル討議では、石飛修・住友化学副社長執行役員、内山田竹志・トヨタ自動車副社長、マーティン・ブルーダーミュラー・BASF副会長、ウルリッヒ・ヴァルカー・ダイムラーAGエグゼクティブバイスプレジデントが登壇、モデレーターの渡邊頼純・慶應義塾大学総合政策学部教授のもとで、「新興国におけるビジネス促進に向けた日独協力の可能性」をテーマに討議を行った。各社の新興国市場での活動をはじめ、研究開発、知的財産権の保護や認証制度における課題などについてプレゼンテーションを行ったほか、参加者との質疑応答も行われた。渡邊教授は、日・EU関係におけるドイツの中核的役割を再確認し、環境、知財、基準調和等の分野での日独協力の可能性を指摘、日本がすでに締結した12のEPAを新興国における日独協力の基盤として活用することを提案してパネル討議を締めくくった。

閉会にあたり、経団連ヨーロッパ地域委員会の横山進一共同委員長が、「震災後においても輸出される日本製品・産品は安全であり、科学的根拠に基づく冷静な対応をお願いしたい。日独交流150周年を一つの契機として、日独両国の関係がさらに強固なものとなるよう祈念する」とあいさつし、シンポジウムは盛会裡に終了した。

【国際経済本部】
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