経団連タイムス No.3046 (2011年6月23日)

企業の雇用維持に対する新たな支援策実施を要請


厚生労働大臣に

経団連は2日、震災対応の雇用対策として、企業の雇用維持に対する新たな支援策の実施を厚生労働大臣に要請した。要請の経緯および概要は次のとおり。

震災直後から政府は、雇用関連施策について、迅速な対応を図ってきた。とりわけ、雇用調整助成金については、支給要件の緩和や支給期間の延長などが実施され、企業の雇用維持の取り組みが促進されてきた。

事業主拠出の雇用保険料を財源とする雇用調整助成金は、「経済上の理由」により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用を維持するために休業等を実施する場合に支給される。そのため、休業の直接的な原因が、天災や政府の指示、法令による制限である場合には適用されない。

一方で、被災地等の企業からは、政府のさらなる支援として雇用調整助成金の対象拡大などを強く求める声がある。しかし、天災や政府の指示等による休業の場合まで事業主の共同連帯として保険料を充当していくことは、雇用調整助成金の制度本来の趣旨に鑑みて困難である。また、雇用保険の財政収支は、リーマンショック以降の景気後退に伴い大幅に悪化している。

そこで、経団連では、一般財源により、新たな雇用支援の制度を創設することを求めた。具体的には、「経済上の理由」に該当しないために、現行の雇用調整助成金の対象外となる、(1)直接被災を理由とする休業(2)原発災害に伴う警戒区域・計画的避難区域における休業(3)東京電力・東北電力管内に所在する事業主が電力需要の抑制目標(電力の使用制限を含む)を達成するために行う休業――等について、休業手当等に要した費用の一部を事業主に助成するものである。

今回の要請に基づく新制度が早期に創設され、雇用の維持・安定が一層図られることが期待される。

【労働政策本部】
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