ILO(国際労働機関)の第100回総会が1日から17日まで、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で開催され、加盟183カ国から約4000人が参加した。日本の使用者代表団は、経団連の中村芳夫副会長・事務総長を代表とする計4名。家事労働者に関する基準策定、労働行政・監督、社会保障に関する議題の審議において、積極的に議論に参画した。
1日の開会式ではフィンランドのタルヤ・ハロネン大統領、総会第3週の100回総会記念イベントでは、ユドヨノ・インドネシア大統領、メルケル・ドイツ首相、プーチン・ロシア首相らが演説。いずれもILO創設以来唱えられている社会正義の実現に向け、引き続きILOの果たす役割が大きいことを強調した。
すべての人にディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を求めるという考え方から、昨年から行われている家事労働者に関する基準策定の二次討議が行われた。多くの国で批准でき、かつ実現可能な内容となるよう強く主張する使用者側と、実施面での懸念を表明する一部政府からの主張に配慮し各国の事情を踏まえた柔軟条項が取り入れられたこともあって、最終的に家事労働者のためのディーセント・ワークに関する条約(第189号)と、付属する補足的な同名の勧告(第201号)が、賛成多数で採択された。
採択後、ファン・ソマビアILO事務局長は、「ILOの基準体系を初めてインフォーマル経済に持ち込んだ画期的な出来事」と評価している。
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ILO総会で代表演説を行う中村副会長 |
中村副会長・事務総長は14日、代表演説を行った。同日、日本の政府は小宮山洋子厚生労働副大臣、労働側は桜田高明連合国際顧問が代表演説を行った。中村副会長・事務総長の代表演説の概要は次のとおり。
また、総会後開催された理事会で、4月に予定されていたILOアジア太平洋地域会議を12月に京都で開催することが正式に決まった。