経団連タイムス No.3049 (2011年7月14日)

ASEAN政策対話ミッション派遣

−マレーシアでASEAN各国の経済大臣らと懇談


スリンASEAN事務総長(左から2人目)を
訪問するミッション一行

ASEANおよび加盟国の経済大臣と海江田万里経済産業大臣がマレーシアのクアラルンプールで在ASEAN日本人商工会議所との会合に出席する機会をとらえ、経団連は8日から9日までASEAN政策対話ミッション(団長=矢野薫評議員会副議長・国際協力委員長)を派遣した。
一連の会合では、経団連側から、東日本大震災に際してASEAN各国から寄せられた支援への謝意とともに、復興を着実に進めるためにも日本が対外活動を維持・強化し、世界経済における役割をしっかりと果たしていくことが重要であるとの認識を伝えた。また、地域経済統合の深化や広域インフラの整備など地域全体の課題について懇談したほか、各国大臣との間で、二国間関係の強化の方策について具体的な意見交換を行った。
懇談した各国要人の発言要旨は次のとおり。

■ スリンASEAN事務総長

ASEANはビジネス活動の活発化により、世界の成長の中核となっている。日本のGDPの源泉はこれまで以上に海外、なかでも特にASEANが担うことになろう。ASEAN各国は、単なる生産国にとどまらず、多様な面で競争力を持った地域となるべく、制度面を含めた連結性の強化を推進しており、そのなかで日本の支援は非常に重要である。来春、ASEAN各国大臣とともに訪日し、日本の官民の指導者と日・ASEAN関係の将来像を共有しながら議論を深めたい。

■ リム・フンキャン・シンガポール貿易産業大臣

地域経済統合はアジア大洋州に繁栄をもたらすものであり、米国を最大の構成国とする環太平洋連携協定(TPP)と中国を中心的構成国の一つとする東アジア包括的経済連携(CEPEA)の両方を推進することが必要である。この点で日本の役割は大きく、TPPに早期参加するよう経団連から日本政府に働きかけてほしい。

■ ドミンゴ・フィリピン貿易産業大臣

フィリピンにとって日本は第2位の貿易・投資パートナーであり、日比EPAは唯一の二国間EPAである。同EPAに基づく看護師、介護福祉士の合格者拡大は両国の経済関係に鑑みれば小さな課題であるが、これが改善に向かえばフィリピン国民の認識は良い方向に向かう。

■ ムスタパ・マレーシア国際貿易産業大臣

マレーシアにとって日本は約40万人の雇用を創出する最大の投資国であり、この二国間経済関係を維持・強化するため、日本企業の事業活動を円滑化する努力を続ける。また、アジア大洋州では、TPPを中心に地域経済統合を進めたい。

【国際協力本部】
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