経団連タイムス No.3049 (2011年7月14日)

日越共同イニシアティブの第4フェーズを開始

−ベトナムのビジネス環境改善へ70項目の行動計画策定


共同議長を務める加藤委員長、谷崎大使、
フック計画投資相(左から)
ズン首相(右)と会談する加藤委員長

日越共同イニシアティブ第4フェーズの合同委員会が1日、ベトナムのハノイで開催され、加藤進経団連日本ベトナム経済委員長が参加した。

日越共同イニシアティブは、ベトナムのビジネス環境改善を目的として、2003年4月に設置された日越両国政府と日本経済界の三者の枠組みである。あらかじめ日越双方が合意した行動計画に基づき、ベトナム政府が政策を実施し、日本の経済界、現地大使館、JICA(国際協力機構)、JETRO(日本貿易振興機構)等は、この実施を支援する。両国は連携して定期的に進捗状況を点検し、PDCAサイクルを実現している。加藤委員長と高橋恭平共同委員長は、フック・ベトナム計画投資大臣、谷崎泰明駐ベトナム日本国大使とともに共同議長を務める。

これまで、第1フェーズ(03〜05年)では、15日以内の観光・商用短期滞在ビザの免除、四輪車産業における現地調達義務の廃止等105項目、第2フェーズ(06〜07年)では、知的財産権の法定審査期限の遵守、電力事業への民間参入促進等75項目、第3フェーズ(08〜10年)では、国際間陸路輸送の時間外通関の実現、知的財産権侵害の罰則強化等50項目の行動計画を実現した。各行動計画の達成率は8割を超えており、日本企業の対越投資拡大に貢献してきた。

こうした成果を受けて、昨年10月末の日越首脳会談で、第4フェーズの発足が合意され、今次の合同委員会で70項目の行動計画を策定した。第4フェーズでは、電力や労働者の不足の解消など、これまでに残された課題の解決に引き続き取り組むほか、ベトナムに新規の投資を呼び込む観点から、小売・食品分野での参入障壁の緩和やPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)スキームの整備を取り上げる。また、かねてわが国経済界の関心の高い、地域経済統合を推進するための通関システムの電子化や、裾野産業の育成にも取り組むこととなった。

滞在中、加藤委員長は、ズン首相、サン共産党政治局員・書記局常務をそれぞれ訪問し、これらの行動計画とわが国経済界からの期待について報告した。両氏からは、共同イニシアティブのこれまでの成果に対する高い評価と、今次の行動計画の実現に向けての強い支持が表明された。また、日本が震災後も変わらず対越ODAを供与していることに対する謝意とともに、原子力発電所建設、レアアース(希土類)鉱山開発、航空機等、日越間の具体的案件での協力に対する意欲も表明された。

【国際協力本部】
Copyright © Keidanren