経団連タイムス No.3049 (2011年7月14日)

PFI法改正法で内閣府と意見交換

−改正法の制度趣旨など説明聞く/都市・地域政策委員会PPP推進部会


経団連の都市・地域政策委員会PPP推進部会(福原裕部会長)は7日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、6月1日に公布されたPFI法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等に関する法律)改正法の制度趣旨や今後の法律施行スケジュールについて、内閣府民間資金等活用事業推進室から説明を聞くとともに、実務上で明確にすべき点等について意見交換を行った。
概要は次のとおり。

■ 法改正の背景

PFI法の改正に至る背景としては、国、地方ともに財政状況が厳しいなかで、真に必要なインフラ投資や高度成長期に集中投資した施設の維持・更新が待ったなしとなっていることがある。民間の資金や創意工夫を最大限活用するためにPFIが不可欠であり、日本での経験を通じて、民間企業の海外PFI市場への進出拡大も後押しするねらいがある。政府は、昨年6月18日に閣議決定された新成長戦略において、コンセッション方式の導入等により制度を拡充してPFIの積極的な活用を図り、2020年までの11年間で従来の2倍以上に事業規模を拡大することを目指すこととしている。また、政府内では震災復興にPFIを活用すべきとの声も高まっており、円滑な実施に向けて検討を進めている段階にある。

■ 法改正の内容

大きな改正の柱は、(1)対象施設の拡大(2)民間事業者による提案制度の導入(3)公共施設等運営権の導入――の3点である。すでに6月1日に改正法が交付されたと同時に対象施設は拡大されており、実際に動きが出ている。また、閣僚級の「民間資金等活用事業推進会議」の創設も6月30日に施行されている。その他の項目については、11月ごろをめどに公布から6カ月以内に施行される予定であり、その間に内閣府令やガイドラインで詳細を定めることとなる。

施設については、対象が拡大されたことで低所得者向けの賃貸住宅に加え、中堅所得層向けや高齢者向けの賃貸住宅、船舶や航空機、人工衛星も含まれることとなった。

また、民間事業者からの提案については行政側で必ず検討して、その結果を提案者に遅滞なく通知しなければならないこととなった。これにより、民間からの発意を促し、地方自治体でのPFI活用が増えることを期待している。

さらに、運営権の導入により、独立採算型事業の普及を図っている。運営面での民間事業者の自由度を高め、需要変動リスクにも柔軟に対応できるようにするほか、抵当権の設定を可能にすることで円滑な資金調達を可能としている。

<意見交換>

意見交換においては、「今後の府令等の作成にあたっては実務の意見を取り入れてほしい」「インセンティブがなければ民間事業者から良い提案は出てこない」といった意見が出された。これに対し、内閣府からは、「実際に動く制度をつくることが主眼にあるので、提案者への加算評価など入札手続きでどう評価すべきか、また、評価すべき具体的な提案とはどういったものかなど、実務で詰めた議論をしていきたい」との回答があった。

【産業政策本部】
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