経団連は11日、東京・大手町の経団連会館で「“家族”で楽しむエコ&ロングステイ観光」アイデアコンテストの最終審査会を開催し、受賞作品を決定した。
同コンテストは、経団連が目指す「観光立国日本」の実現に向け、震災で甚大な影響を受けた観光産業の立て直し、新たな観光需要の創造を目指した、初めての試みとして開催したもの。電力需給対策の関係で長期休暇を予定している企業も多いことから、「エコ」と「長期滞在」をテーマに、日本各地の自然、文化、歴史などの地域資源を活かした企画を一般公募した。
5月17日から6月20日まで約1カ月間の募集期間には、全国から107件の応募があり、6月23日に実施した一次審査で7件の作品が選出された。
11日の最終審査会では、200名を超える聴衆が参加するなか、一次審査を通過した7件の作品のプレゼンテーションが行われ、最優秀賞には、大成建設の“Look! Creative Tourism” Team. が企画した「る・く・つ!『つくる』のうらがわ」が選ばれた。このプランは、「つくるのおもてがわ」を地域の有名な施設や伝統工芸品、「つくるのうらがわ」をそれらを創り支える産業ととらえ、観光客が一つの地域で表と裏の両方を体験、地域産業の隠れた魅力を発見することを提案したもの。このほか優秀賞(3点)、特別賞(3点)をそれぞれ選定した(下表参照)。
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三村青森県知事 |
また、最終審査会では青森県の三村申吾知事が講演。豊かな自然を活かしたグリーンツーリズムなど青森県における地域資源を活かしたさまざまな観光振興について紹介するとともに、「観光は、その土地の文化や食、行事、自然など固有の価値に気付き、ストーリー性をもってつなげていくことが重要」と指摘した。
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山口共同委員長 |
閉会にあたり、山口範雄経団連評議員会副議長・観光委員会共同委員長は、「今回の震災でわれわれは人間同士の絆、地域の絆の重要性、しかもそのグローバルな広がりを痛感した。本日紹介された企画にも絆を重視する考え方が埋め込まれていた。観光関係者には三村知事のご指摘や絆を大切にする考え方を各論に落とし込み、実践していくことが求められる」と指摘。今後の観光振興の取り組みに経団連としてもできる限りの協力を行うとの決意を表明した。
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表彰式後に審査委員からと記念撮影する受賞者 |
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生江 隆之 | 経団連観光委員会企画部会長・三井ホーム社長(審査委員長) |
田島 幸郎 | ジェイティービー執行役員旅行事業本部副本部長 |
池畑 孝治 | 近畿日本ツーリスト執行役員イベント・コンベンション・コングレス事業本部カンパニー長 |
田端 浩 | 観光庁観光地域振興部部長 |
安島 博幸 | 立教大学観光学部教授 |
山田べにこ | 温泉ライター |