経団連タイムス No.3050 (2011年7月21日)

第106回労働法フォーラム開催

−震災からの復興に向けた対応策など


参加者の質問に対し、弁護士による討論も行われた

経団連・日本経団連事業サービス主催、経営法曹会議協賛による「第106回日本経団連労働法フォーラム」が14、15の両日、都内のホテルで開催された。当日は、全国の企業・団体から138名、経営法曹会議所属弁護士186名の計324名が参加した。

同フォーラムでは、毎回、企業が直面する労働法に関わる課題を取り上げている。今回の総合テーマは「震災からの早期復興に向けた人事労務部門の対応策」。1日目は、今後本格化する復興対策、今夏の電力供給不足への対応などを検討した。

また、2日目は、2013年に老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢が65歳へ移行し、さらに報酬比例部分の支給開始年齢の引き上げが開始されることを踏まえて、高年齢者の雇用をめぐる課題を取り上げた。

1日目の午前中は、中井智子弁護士が「震災時の人事労務管理と労働法」について報告。(1)緊急災害対応と労働基準法(2)ピーク時の電力使用量の削減に向けた勤務体制の見直し(3)災害を原因とする休業と賃金(4)災害を原因とする事業の縮小――などについて、法律や裁判例などに基づいて解説した。また、午後には、中井氏の報告に関連する参加者からの実務的な質問に対して、複数の弁護士が異なる観点から回答する形式の質疑応答・討論も行われた。さらに、社会保険労務士・元労働基準監督官の北岡大介氏が、「震災対応にかかる労働・社会保険の実務」と題し、震災に伴う保険料の減免措置や、給付・助成金などについて講演した。

2日目の午前中は、延増拓郎弁護士が「高年齢者の雇用をめぐる問題と今後の課題」と題し、(1)高年齢者雇用安定法の概要(2)行政による指導の内容(3)高年齢者雇用安定法の私法的効力(強行法規性)(4)高年齢者雇用確保措置の選択と継続雇用制度の運用上の問題点――などについて報告した。また、午後には、延増氏の報告を受けて個別企業の制度運用上の問題をめぐり質疑応答も行われた。最後に、中町誠弁護士が、「労働組合法上の労働者性に関する最高裁判決の解説および企業実務上の法的留意点」の講演を行った。

参加者からは、「聞きたかった内容が盛り込まれていてよかった」「実務で生じている疑問、課題に対する回答、ヒントが得られて有意義だった」等の声があった(弁護士報告の概要は次号掲載)。

【労働法制本部】
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