経団連タイムス No.3050 (2011年7月21日)

日加EPAめぐる最近の動き聞く

−カナダ委員会


経団連は8日、東京・大手町の経団連会館でカナダ委員会(村瀬治男共同委員長、土橋昭夫共同委員長)を開催し、外務省の八木毅経済局長から、最近の日加関係の動きおよび日加経済連携協定(EPA)に関する進捗について聞いた。八木局長の説明は次のとおり。

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カナダでは、5月の下院総選挙で、ハーパー首相率いる保守党が過半数を獲得し、安定政権が誕生した。ハーパー首相は従来、トップダウン型のリーダーであるが、安定政権となってその色彩は今後、より強く現れるだろう。

日加間の貿易は、カナダから主に食料や資源などを輸入して、日本から自動車や機械類を輸出するという補完関係にあり、貿易収支もほぼ均衡している。原子力発電所事故に際しては、カナダは各国に先がけ、追加的輸入措置を解除・撤廃してくれた。

BSE(牛海綿状脳症)によるカナダ産牛肉の輸入規制問題や、オンタリオ州が実施している再生可能エネルギー支援制度におけるローカルコンテント要求(同州内産品を優遇する措置)問題などの懸念事項はあるものの、カナダとの経済関係は全般的に良好であり、わが国にとってカナダは安定的で信頼できる重要な貿易相手国といえる。

カナダとのEPAについては、2007年の共同研究報告書では交渉開始の合意には達することができなかった。しかし、2010年11月の日加首脳会談で、経済連携に前向きに対処することで両首脳の意見が一致し、今年3月から、あらためて共同研究が開始されている。東日本大震災の影響で、当初想定していたスケジュールからは遅れているが、今月11日から14日に東京で開催する第3回会合で、共同研究自体はほぼ終了する。あとは、わが国の農業関係者からの意見を聞けば報告書を完成させられる。なるべく早く報告書を完成させて両国首脳間で交渉開始に合意してもらい、今年中に交渉入りしたい。

日加EPAにおいても、最大の課題は農業問題である。東日本大震災後しばらくの間、農林漁業分野の構造改革や競争力強化等に関する検討が止まっていたが、最近ようやく再開した。EPAの推進と農業の再生は車の両輪であり、農業の再生を早く進める必要がある。

【国際経済本部】
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