経団連タイムス No.3052 (2011年8月4日)

日印包括的経済連携協定発効後の日印経済関係の展望について聞く

−南アジア地域委員会第1回会合


経団連は7月25日、東京・大手町の経団連会館で、新設された南アジア地域委員会(庄田隆委員長)の第1回会合を開催し、経済産業省の佐々木伸彦通商政策局長から、日印包括的経済連携協定(CEPA)発効後の日印経済関係の展望について説明を聞くとともに、委員の間で今後の委員会の進め方を審議した。
庄田委員長は冒頭のあいさつで、日印両国の経済界が要望してきたCEPAが8月1日に発効することを歓迎すると述べた。また、市場および製造拠点として発展する潜在力が大きいインドとの経済関係発展のためには、CEPAの活用が重要なカギとなると指摘した。
続いて、佐々木通商政策局長から、インド経済、CEPA、日印インフラ開発協力について説明があった。要旨は次のとおり。

■ インド経済

インド経済は、2009年後半より、回復傾向にある。インフラ整備、耐久消費財の生産拡大により、10年度GDP成長率は8.5%となった。生産年齢人口は、中国では頭打ちとなるのに対し、インドでは2050年ごろまで増え続ける。また、中間所得層が増えており、乗用車の販売、携帯電話の加入者数等は順調に伸びている。一方、食料やエネルギー価格の上昇によるインフレが懸念材料である。

日印貿易については、日本はインドから鉱物等の一次産品を輸入し、機械等の二次産品を輸出する補完関係にあり、2010年の往復貿易額は、前年の1.4倍に増加している。日本からの直接投資も、工場増設や出資が増加して、08年には日本の対中直接投資を上回った。

■ CEPAで拡大する日印経済関係

CEPAは、日本にとり12番目のEPAであり、04年から全14回の交渉を経てまとまり、8月1日に発効する。日印経済関係は、いまだ両国の経済規模にふさわしい水準ではないが、CEPAの発効により、将来の拡大が期待される。CEPAでは、10年以内に往復貿易額の約94%を無税化することを決めており、インドと韓国のCEPAと比較しても高い自由化率を確保している。また、投資章では、内国民待遇や保護規定で高いレベルの規律を確保した。さらに、官民の参加により、企業のためのビジネス環境の整備向上に資する枠組みが設けられた。

■ 日印インフラ開発協力

世界各国はインドに対し、トップセールスによる攻勢をしかけているが、日本も毎年開催する首脳会談、閣僚級官民政策対話、州政府との連携を通じ、DMIC(デリー・ムンバイ間産業大動脈構想)、南部回廊の整備、スマート・コミュニティーやPPP(官民連携)方式によるプロジェクト等を推進している。今後とも、官民連携で日印関係を強化していきたい。

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最後に、委員会の今後の進め方について意見交換を行い、企画部会(中原秀人部会長)を設置し、日印ビジネス・リーダース・フォーラム、閣僚級官民政策対話等への準備を進めるとともに、委員会として南アジア諸国の要人、経済界との対話を進めること等を了承した。

【国際協力本部】
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