経団連タイムス No.3052 (2011年8月4日)

ケトランジ駐日アルジェリア大使と懇談

−日本アルジェリア経済委員会


経団連の日本アルジェリア経済委員会(竹内敬介委員長)は7月27日、東京・経団連会館で、シド・アリ・ケトランジ駐日アルジェリア民主人民共和国大使を招き、アルジェリアの政治経済情勢や、同国の優先開発課題、有望投資分野などにつき説明を受けるとともに、意見交換を行った。ケトランジ大使の発言要旨は次のとおり。

■ アルジェリア経済の現状

アルジェリアは、近代的な市場経済の確立に向けて数年前より構造改革を開始し、積極的な投資を進めている。2010年から14年までの経済5カ年計画では、2850億ドルの新規投資を予定している。その柱は、(1)インフラの充実・近代化(2)高度技術教育や高等教育における人材育成の強化(3)経済成長維持のための主要産業の育成――である。その結果、近年は5%前後の成長を達成しており、1人当たりの国民所得は、この10年間で3192ドルから9700ドルに増加した。

貿易は、輸入が拡大しており、特に、工業設備、半完成品、消費財、食糧の伸びが著しい。そこで、輸入代替を進めたい。外貨準備高は1250億ドルである。

インフレ率も低く、対外債務も少ない。今後は、資源の有効活用を図り、公的セクターの役割を見直し、10%の失業率を引き下げていきたい。そのためにも、IT、自動車、再生可能エネルギーなど新たな産業構造を発展・強化していきたい。

■ 政治の安定性

1994年から2005年にかけて、アルジェリアは、それなりのコストを支払って政治の安定に努めてきた。昨今、エジプト、イエメン、チュニジアなどアラブ世界に大きな動きがあるが、内外の専門家は、アルジェリアには波及しないとの見方をしている。報道の自由を保障し、対テロ政策も見直した。アルジェリア国民は、二度とテロの恐怖におびえたくないという思いである。大統領は、4月15日に国の安定のための政策を発表した。政治の安定が国の繁栄につながるからである。

■ アルジェリア経済の展望

アルジェリアは、政治の安定、国民の購買力拡大を背景とする大きく多様化する消費需要、世界第4位の可採埋蔵量を有する石油・天然ガス等の地下資源、制御されたマクロ経済政策、対外開放政策、優遇税制など、投資先としての魅力がある。また、欧州とアフリカへのアクセスで地理的優位性がある。さらに、ここ数年、行政の電子化を通じた各種手続きの簡素化・迅速化を推進している。

日本との間では投資保護協定締結を進めるので、ブランド力、技術力、ノウハウを有する日本企業には、積極的に進出してもらいたい。高速道路、鉄道網、病院、ダムといった社会インフラ、オランの地下鉄網、8カ所の淡水化プラント、4年間で少なくとも200万戸の住宅建設など、日本企業が参加できる機会は多くある。可能性は無限にある。詳細は産業開発公社ウェブサイト(URL=http://www.andi.dz/en/)で確認してほしい。

【国際協力本部】
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