経団連タイムス No.3053 (2011年9月1日)

「第2回グローバル30産学連携フォーラム」開催

−川村委員長がグローバル人材育成に向けた産業界の取り組みを説明


大学関係者、企業関係者ら412名が参加した
第2回グローバル30産学連携フォーラム

経団連(米倉弘昌会長)は8月3日、東京・大手町の経団連会館で、政府が実施している大学の国際化と国際的に活躍できる人材育成のための事業(「大学の国際化のためのネットワーク形成事業」、グローバル30)において拠点大学として採択された13大学との共催で、昨年に引き続き「第2回グローバル30産学連携フォーラム」を開催した。大学関係者、企業関係者、留学生支援機関代表ら412名が参加した。

当日はまず、田端信廣同志社大学副学長が開会あいさつした後、文部科学省の鈴木寛副大臣が来賓としてあいさつ。鈴木副大臣は、政府が6月に発表した「グローバル人材育成推進会議」の中間まとめに基づき、「わが国が新たな成長軌道に乗るためには、異文化対応力やコミュニケーション能力を有し、国際的に活躍できるグローバル人材を継続的に育成していく必要があり、そのために産学官が連携して、若い世代を支援することが不可欠である」と述べた。

続いて、川村隆経団連副会長・教育問題委員長から、グローバル人材の育成に向けた産業界の取り組みに関する基調講演があった。

川村委員長

川村委員長は、グローバル人材の育成のために企業は、日本人社員のグローバル化対応力の強化に向けた研修の実施をはじめ、社員が海外経験を積む機会を入社後なるべく早期に提供すべきこと、優秀な外国人人材を積極的に採用するとともに、入社後彼らが日本企業で活躍できるような職場環境の整備を進めるべきことなどを、日立製作所の「グローバル人材マネージメント戦略」の内容を紹介しつつ説明した。また、産業界と大学が連携して取り組む課題として、キャリア・職業教育の推進や産業界と大学の連携による実践的な教育カリキュラムの開発、大学生の海外留学の奨励やギャップ・イヤーの導入等により、学生が就職前に多彩な経験を積めるようにすることなどを挙げた。

そのうえで、これらのグローバル人材育成に向けた課題に具体的に対応するため、経団連ではグローバル30採択13大学と協力して、昨年12月に発表した「サンライズ・レポート」に盛り込んだ3つの教育・人材開発プロジェクトに基づき、理科離れ対策も含めた企業の教育支援プログラムの内容を整理し、経団連のウェブサイトにデータベースを開設すること、グローバル人材育成のためのモデル・カリキュラムの内容を検討し、試行的に実施すること、将来日本企業の国際的事業活動や国際機関等においてグローバルに活躍しようという意欲・チャレンジ精神を持つ大学生を対象に、「経団連グローバル人材育成スカラーシップ」を新設するとともに、留学帰国生を対象とした合同就職説明会・面接会の開催にも協力することなどを説明した。

続いて、2つの分科会に分かれて、企業代表と大学関係者等によるパネル討議が行われた。留学経験のある日本人学生の雇用に関する第一分科会では、学生が留学を躊躇する主な理由は、就職活動との両立が難しいことや語学力・資金力不足などであって、内向き志向ではないこと、そのため産学が連携して、採用時期の見直しや、奨学金の拡充等を通じた学生の送り出しの強化に努めるべきとの議論がなされた。

また、外国人留学生の雇用に関する第二分科会では、留学生の就職に向けた具体的支援策として、留学生が大学入学から就職後に至るまでの各段階で直面する課題や、課題解決のための産学連携のグッドプラクティスの集積を図り、「産学連携による外国人留学生の総合就職支援」(TOP ISSUE)として公表することなどが提案された。

フォーラムでは最後に声明を採択し、グローバル30採択13大学と経団連が協力して、企業による教育支援プログラムの導入や、グローバル人材育成のための奨学金の実現などの具体的な取り組みを進めていくこととなった。

【社会広報本部】
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