経団連タイムス No.3053 (2011年9月1日)

第14回日本ブラジル経済合同委員会開催

−ブラジル・サルバドールで/日伯産業界が意見交換


マスカレーニャス・ブラジル日本経済委員長(右
から2人目)と飯島日本ブラジル経済委員長(右)

経団連は8月9、10の両日、ブラジル・サルバドール市のバイーア州工業連盟において、ブラジル全国工業連盟(CNI)と第14回日本ブラジル経済合同委員会を開催した(日本側議長=飯島彰己日本ブラジル経済委員長、ブラジル側議長=CNIのマスカレーニャス・ブラジル日本経済委員長)。会議には日伯双方の経済界から240名以上が参加した。また、来賓としてピメンテル開発商工大臣、ワグネル・バイーア州知事、ガウヴォン駐日ブラジル大使、三輪駐ブラジル日本大使も参加した。

冒頭、ワグネル知事より、日本ブラジル経済合同委員会がブラジル東北部において初めて開催される意義は大きいとして、両委員長に対し謝意が述べられた。続いて、ブラガCNI会長、ガウヴォン大使から日伯経済界の今後の発展に対する期待が寄せられ、三輪大使からは、合同会議の開催を祝する松本外務大臣メッセージが紹介された。最後に、ピメンテル開発商工大臣は、現下の世界経済の先行きや日伯双方が共通して抱えている通貨高に懸念を示したうえで、今後、両国官民が一体となって産業競争力を高め、協力していくことの重要性について述べた。

引き続き、「日伯関係の展望」と題した全体会合が行われ、冒頭、岡田経済産業審議官から、前日に開催された第5回日伯貿易投資促進合同委員会の模様について、短期商用査証の有効期間延長の進展等につき報告があった。コウチーニョ国立経済社会開発銀行総裁は、ブラジルの産業競争力強化に向け日本の技術力や投資に期待を寄せるとともに、今後需要が高まる都市交通等のインフラ整備分野でも日本の協力が欠かせないと説明した。日本側からは、東日本大震災の影響と現在の復旧状況および貿易、投資等の対外関係の継続的推進について説明した。

天然資源・エネルギーのセッションでは、ペトロブラス、ヴァーレ両社の社長から、長期の投資が重要な資源開発に対して、日本からの継続した投資に期待が示された。また、日本側からはブラジルの非鉄金属市場への参入に関心が表明された。

インフラのセッションでは、ブラジル側は、インフラ未整備が成長のボトルネックとなっている点を指摘し、政府投資が多い現状に鑑み、PPPスキームによる民間資金の導入を進めたいとの意見が示された。また、インフラ計画において政府、金融機関、民間企業の適切なリスク分担のためのフレームワークの策定、両国政府による制度金融面での支援、案件形成段階からの日伯民間企業の協力推進の必要性が双方から提起された。

環境技術と再生可能エネルギーのセッションでは、環境技術の革新を日伯両国の技術協力によって推進し、持続可能な発展を実現すべきとの期待が双方より表明された。

イノベーションと先端技術のセッションでは、日本側から資源・地球環境問題の解決に資するグリーンイノベーションや新幹線技術について、ブラジル側から化学、航空機産業における独自の技術について紹介があった。

農林業セッションでは、双方から、かつてのナショナルプロジェクト等における日伯協力プロジェクトをモデルに両国関係を再活性化すべく、新しい協力を模索すべきとの意見が出た。

金融・観光セッションでは、モノ・カネの流れの円滑化にはヒトの交流や金融インフラの整備が不可欠であることを確認し、最近、日伯協業の下でインフラ事業向けレアル建ファイナンスが行われたことなどが紹介された。また、観光分野では日本ブラジル直行便の復活に対する期待が双方より表明された。

閉会にあたり、各セッションのモデレーターより総括が行われ、結びに、両委員長は、両国経済界が幅広い分野で協力の可能性を有している点に触れ、今次会合を契機に具体的な企業間協力が結実することに期待を表明した。

【国際協力本部】
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