経団連タイムス No.3054 (2011年9月8日)

ICT人材育成へ企業、大学、学生の合同フォーラムを共催

−主催は高度情報通信人材育成支援センター


企業、大学関係者、学生らが
参加したパネルディスカッション

経団連情報通信委員会(渡辺捷昭委員長、清田瞭共同委員長)の有志企業により設立されたNPO法人「高度情報通信人材育成支援センター」(CeFIL、黒川博昭理事長)は8月24日、神奈川県川崎市内で経団連および九州大学、筑波大学との共催で、企業人、学生、大学教員らが参加する合同フォーラムを開催した。

同フォーラムは、CeFILが経団連会員企業の協力により行っている夏季インターンシップに参加している学生に対するICT人材育成への動機付けのため、(1)課題検討・討議を通じた論理的思考力の向上(2)学生と企業人との交流(3)企業や社会への情報発信――を主な目的とする。

当日は、寺尾実・日本電気顧問が「学生の皆様へ。明るい未来づくりのために」と題する基調講演を行い、ICTが果たす社会的役割の変遷とともに、ICT技術者が磨くべきスキルが「HOW‐TO」から「WHAT」の創出にかかるスキルへと変化しつつあるとの考えが示された。

続いて、事前課題として用意された「ICTを学ぶ者の使命−震災後の街の再建のためにICT技術者としてやるべきこと」をテーマに、午前中に学生たちが討議した成果を、学生の投票により選ばれた優秀チームが発表した。

さらに、「社会的課題解決とICT」をテーマとしたパネルディスカッションでは、経団連情報通信委員会高度情報通信人材育成部会の委員、九州大学ならびに筑波大学の教授、卒業生、現役学生による討議が行われた。パネルディスカッションでは、「ICTはビジネス遂行上に不可欠のインフラから現代社会を支えるインフラへと変化した。ICT分野の技術やビジネスモデルは日進月歩で進んでいる。日本はクラウドやスマートグリッドなどの本質をいまだとらえきれておらず、世界の潮流から取り残されつつある。米国のようにICTを活用して社会全体のデザインをすることが必要。ICT人材は社会的要請に対する責任を果たすべき」「人間系とICTの融合が重要な課題である。大局的に課題をとらえ、人間系ではできないところをICT活用で補完するという考え方が重要」「大学では基礎力を鍛えるとともに、実際に手足を動かして実力を付ける必要がある」といった議論がなされ、参加した学生達にとって多くの気付きがあった。

「ICTを学ぶ者の使命」をテーマに学生が討議

経団連情報通信委員会では今後、高度ICT人材の育成に関する提言を取りまとめる予定である。

【産業技術本部】
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