経団連タイムス No.3057 (2011年9月29日)

「2011年度経団連規制改革要望」公表

−規制・制度改革のさらなる推進、成長と復興の観点から求める


経団連(米倉弘昌会長)は20日、「2011年度経団連規制改革要望」を公表した。同要望は、政府の行政刷新会議が実施している第3回規制・制度改革提案の集中受付に提出するため、経団連全会員企業・団体へのアンケートをもとに取りまとめたものである。

経団連全会員企業・団体へのアンケートをもとに取りまとめ

規制改革要望の分野別項目数
分野名項目数
 (1) 土地・住宅・都市再生・観光35
 (2) 運輸・流通34
 (3) 農業・食品4
 (4) 廃棄物・リサイクル、環境保全20
 (5) 危険物・防災・保安2
 (6) エネルギー13
 (7) 情報・通信、放送18
 (8) 金融・保険・証券4
 (9) 雇用・労働12
(10) 通商・国際協力・インフラ輸出7
(11) 外国人材4
(12) その他21

■ 規制改革要望の背景

わが国経済は、長期低迷にあえいでおり、また、東日本大震災や欧米の財政金融問題の影響もあり、極めて厳しい状況にある。この局面を打開し、持続的な成長を遂げるには、民間の創意工夫の発揮を通じたイノベーションの推進が不可欠である。

規制・制度改革は、新産業・新事業の創造や、自由で円滑な事業活動を可能とする基盤整備に資するものであるとの認識から、経団連では、その妨げとなる現行の規制・制度をゼロベースで見直すことを、さまざまな機会をとらえて政府に求めている。

■ 政府の取り組みと経団連の評価

政府は、2010年3月、行政刷新会議に「規制・制度改革に関する分科会」を設置して以降、広く国民から規制・制度改革の提案を受け付ける窓口として「国民の声」を設けるとともに、民間有識者の知見も活用しつつ政治主導で検討を行うなど、積極的に規制改革に取り組んでいる。直近では、今年4月と7月に「規制・制度改革に係る方針」「規制・制度改革に係る追加方針」をそれぞれ閣議決定するとともに、東日本大震災からの復旧・復興のための規制・制度の見直しにも取り組んでいる。

政治のリーダーシップによる、これら一連の取り組みを経団連は高く評価しており、今後も、行政刷新会議を中心に政府・与党一丸となってさらに規制・制度改革を推進することを求めている。

■ 個別要望項目の概要

今回、経団連が取りまとめた個別要望項目の件数は174件。分野別では、土地・住宅・都市再生、運輸・流通分野での要望が多い(図表参照)。

主な内容としては、東日本大震災などの発生を受けニーズが高まりつつある、防災設備や再生可能エネルギー施設等の整備の促進を求めるものや、震災からの復興事業の加速に必要な規制緩和要望がみられる。また、ICTの利活用の促進、輸出入手続きや各種輸送規制の見直し、中国人観光客へのビザ発給要件の緩和、外国人材の受け入れ促進など、わが国の成長に欠かせない規制・制度の見直しを求める要望も多くみられる。

■ 政府と経団連の今後の取り組み

政府は9月15日に行政刷新会議を開催し、「規制・制度改革に関する分科会」を設置するとともに今後分科会の下にワーキンググループを設け、規制改革要望の集中受付に寄せられた要望などを審議し、来春、政府の対応方針を閣議決定することを決めた。

経団連では、規制改革のさらなる推進に向けて、これら分科会などの体制の充実を求めるとともに、今回の要望の多くが採り上げられ実現するよう、蓮舫行政刷新担当大臣をはじめ関係閣僚等に建議を行うとともに、引き続き政府への働きかけを行っていく。

【産業政策本部】
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