経団連タイムス No.3058 (2011年10月6日)

人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果を発表


経団連は9月29日、「2011年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」を発表した。この調査は、各企業における春季労使交渉・協議の結果や人事・労務に関するトップ・マネジメントの意見などを把握するため、1969年から毎年実施している。2011年の調査は、経団連会員企業および東京経営者協会会員企業、計1883社を対象に6月28日から8月30日までの期間で実施した。有効回答社数は551社(回答率29.3%)。調査結果の概要は次のとおり。

雇用の維持・安定措置を講じた企業は9割弱

労使交渉の有無にかかわらず、過去1年間に雇用の維持・安定に向けた措置を講じた企業は85.5%となり、この設問を設けた1993年以来、昨年に次いで2番目に高い水準となった。

具体的な取り組みとしては、「時間外労働の削減・抑制」(77.6%)、「年次有給休暇の取得促進」(57.1%)を実施した企業が多い。

海外現地法人の経営者候補の育成における課題

海外現地法人の経営者候補の育成に関して、現在では「本社への出張・赴任、交流プログラムの実施」を通じて育成している企業が72.4%と最多であるが、今後は「海外現地法人の経営者として求められる人材要件の明確化」(52.4%)、「経営幹部候補に対する個別の育成計画策定」(42.3%)を検討課題として挙げる企業が目立つ。グローバル化の進展に伴い、企業は海外現地法人の経営者候補の育成についても、新たな取り組みを模索しているといえよう。

高年齢者雇用の規制強化で若年者雇用に影響のおそれ

現在、厚生労働省の労働政策審議会において、高齢者の継続雇用制度の対象に関する基準を撤廃することの是非について議論が行われている。仮に、基準が廃止され、希望者全員の65歳までの継続雇用が義務付けられた場合の対応として、約4割の企業が「若年者の採用数の縮減」を行う用意があると回答しており、企業の将来を担う若年者の雇用を阻害しかねないことが懸念される結果となった。

また、「継続雇用者の処遇水準の引き下げ」を実施するとした企業は53.2%に上っており、従業員数別にその内訳をみると、従業員500人以上の企業では48.4%、従業員500人未満の企業では73.3%と、企業の規模が小さいほど、処遇水準を引き下げざるを得ない厳しい状況にある。

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詳細はホームページ(URL=http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2011/092.pdf)に掲載。

【労働政策本部】
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