経団連タイムス No.3062 (2011年11月3日)

経団連が今夏の電力需給対策に関するアンケート結果を公表


産業界は、今夏の電力需給の逼迫を受け、電力対策自主行動計画を策定・実行してきた。各企業や業界が行った取り組みの効果や影響を具体的に検証し、今後の政府の政策や産業界の取り組みにフィードバックするため、経団連は「今夏の電力需給対策に関するアンケート」を実施。10月21日にアンケート結果を公表した。

同アンケートは経団連の会長・副会長会社など152社を対象に、9月26日から10月11日まで実施したもので、87社から回答を得た(回答率57%)。アンケート結果の概要は次のとおり。

1.ピークカットに効果のあった取り組み

今夏の電力需給対策のなかで、ピークカットの観点から効果のあった取り組み(3つまで選択)としては、「照明・空調の運用改善」を挙げた企業が83%となり、最も多かった。次いで効果のあった取り組みとしては、製造業では、「自家発電、蓄電池の導入・活用」「休日・休暇の活用」、非製造業では、「照明・空調以外の機器の運用改善」を挙げた企業が多い。

2.効果的な対策、今後実施可能な対策

「効果的であり今後も実施可能」な対策は、全体では、「照明・空調の運用改善(間引き、消灯、停止等)」とする企業が最も多い。ただ、その際、労働環境が悪化する等の問題も挙げられた。業種別には、製造業で、「自家発電、蓄電池の導入・活用」「休日・休暇の活用」「夜間・早朝操業等の勤務時間シフト」を効果のあった取り組みとして挙げた企業が多かったが、コストや従業員の家庭生活への多大な影響等の問題があり、「今後も実施可能」という回答は1社のみであった。また、非製造業では、「照明・空調以外の機器の運用改善」を効果のあった取り組みとして挙げた企業が多い(25社)が、利便性低下の問題があるため、「今後も実施可能」という回答は半数以下(10社)にとどまった。

3.電力需給の逼迫が今後2〜3年続いた場合事業活動に及ぼす影響

今夏のような電力需給の逼迫した状況が今後2〜3年続いた場合に、事業活動に及ぼす影響としては、とりわけ製造業において、大半の企業が生産・投資・収益に影響を及ぼすと回答した。具体的には、「国内における生産の縮小・停止を余儀なくされる」(59%)、「国内における新たな設備投資が困難となる」(66%)、「コストの上昇により、収益が悪化する」(77%)となっている。

4.政府への要望

政府に対する主な要望として、短期的には、「計画停電は回避すべき」、中長期では、「企業の競争力強化につながる中長期のエネルギー政策を策定すべき」などが挙げられた。

【環境本部】
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