経団連タイムス No.3064 (2011年11月17日)

政府から「新型インフルエンザ対策行動計画改定」の内容聞き意見交換

−国民生活委員会


経団連の国民生活委員会(川合正矩共同委員長、木村惠司共同委員長)は4日、東京・大手町の経団連会館で、内閣官房の新型インフルエンザ等対策室(以下、対策室)から、今年9月に改定された「新型インフルエンザ対策行動計画」の内容を聞いた。

冒頭、あいさつに立った対策室長の田河慶太内閣審議官は、2009年4月に国内で発生・流行した新型インフルエンザの被害は、先進諸国中、極めて僅少なものにとどまったと指摘。今回の行動計画の改定は、2年前の経験も踏まえ、病原性・感染力の程度等に応じ、実施すべき対策を決定するものであること、また、病原性が高い新型インフルエンザの発生・流行に備え、医療・社会機能維持等の対策を強化したことが大きなポイントであるとした。

また、一連の対策をしっかりと講じることは、国民生活や経済社会の機能維持の観点から極めて重要であると強調。今後は法的な整備から運用に至るまで、新たな知見の活用や関係方面の協力を仰ぎつつ、実効性ある対策となるよう不断に見直していきたいと表明した。

続いて、行動計画の改定内容について、対策室の諸岡秀行内閣参事官が説明した。主な改定内容は次のとおり。

<主な改定内容>

  1. (1)「未発生時期」を準備段階として、病原性の高い新型インフルエンザの発生・流行を「海外発生期」「国内発生早期」「国内感染期」「小康期」の4つの段階に分け、段階的に対策を実施。なお、日本国内でトリ・ヒト感染、ヒト・ヒト感染が発生するという事態では、「国内発生期」として対応を開始。

  2. (2)海外発生期=WHOによるフェーズ4(コミュニティーレベルでヒト・ヒト感染‐の継続的な発生が確認された状態)宣言前でも水際対策を開始。また、検疫の強化については、2年前の対応で過剰ではなかったかとの意見もあり、病原性の程度や状況変化等に応じ、合理性が認められなくなった場合は措置を縮小。発生時に速やかに接種できるよう、プレパンデミックワクチンの一部を事前に製剤化して備蓄。

  3. (3)国内発生早期=患者・入院患者の全数把握、学校等での集団発生の把握を強化。これらは、2年前に対応したことを計画に明記したもの。また、地域の発生状況により都道府県ごとに「地域未発生期」「地域発生早期」「地域感染期」の3つに分けて段階的に対応。

  4. (4)国内感染期=社会機能維持の観点から、(1)電気、ガス、水道等の事業者に事業継続を要請するため法令の弾力運用を周知(2)製造・販売事業者、運送事業者等に対し医薬品・食料品等の緊急物資の円滑な流通や運送を要請(3)生活関連物資等の安定化のため、買い占め等への監視、国民相談窓口を設置(4)政府系金融機関等に対し、中小企業等への経営の安定化に資する融資を要請。

  5. (5)パンデミックワクチンについては、2013年度末までに細胞培養法等の技術を導入、ワクチン株決定後6カ月以内に全国民分の製造を目指す。それまでの間は、国産ワクチンの確保を原則に、必要に応じ輸入ワクチンも確保。
    いずれにせよ、ワクチン接種に限らず、感染拡大防止策、医療提供など各種対策をバランスよく組み合わせることが必要。

■ 意見交換

対策室からの説明後、会場からは、プレパンデミックワクチンについて、社会機能維持者に対しては、未発生時期から広範囲に接種する体制を整えるべき、また、政府の行動計画を具体化するガイドライン改定の具体的時期を明らかにしてほしいなどの意見が寄せられた。

これに対し、対策室からは、未発生時期におけるプレパンデミックワクチンの事前接種については、(1)社会機能維持者に対しては、WHOの推奨対象になっていないこと(2)現時点では医療従事者等を対象に臨床研究を実施しており、数年前に、6千人を対象に事前接種し、千人規模で出現する副反応について把握したが、それよりも頻度が少ない副反応の発生は未知であること――などから、引き続き、データを積み上げながらステップを踏んで対応していくこととなるとの見解が示された。

また、ガイドラインの策定スケジュールに関しては、現在、9月の行動計画改定を受けて、関係省庁とともにガイドライン策定作業に着手したところであり、現時点では未定であるが、関係機関等とも調整しつつ策定することとなるとの回答があった。

【経済政策本部】
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