経団連タイムス No.3064 (2011年11月17日)

IT戦略の現状等について

−奈良内閣参事官から説明聞き意見交換/情報通信委員会企画部会


経団連は4日、東京・大手町の経団連会館で情報通信委員会企画部会(武山芳夫部会長)を開催し、内閣官房の奈良俊哉内閣参事官からIT戦略の現状等について説明を聞き、意見交換した。
奈良内閣参事官の説明概要は次のとおり。

政府のIT戦略本部は、民主党政権になってから、内閣総理大臣を本部長とするIT戦略本部の下に副大臣級で構成される企画委員会が新たに設置されている。また、電子行政、医療、ITS(高度道路交通システム)(注)に関する3つのタスクフォースが設置されている。

今年8月には、昨年決定した「新たな情報通信技術戦略」(新IT戦略)の工程表を、各府省の施策の進捗状況などを踏まえて改訂した。改訂のポイントは、(1)社会保障と税に関わる番号制度の法令整備スケジュールに合わせた国民ID制度導入の前倒し(2)政府CIO(最高情報責任者)制度整備のスケジュールの具体化(3)「どこでもMy病院」構想の具体化――の3つである。また、工程表の前文に、被災地の復旧・復興の促進および震災の教訓を踏まえた災害リスクへの対応の強化の観点から、IT利活用の方針を明記した。災害時の利用も想定した政府共通プラットフォームへの移行の具体化など、各府省の施策も工程表に記載されている。

工程表の改訂と同時に、「電子行政推進に関する基本方針」「情報通信技術利活用のための規制・制度改革に係る対処方針」「ITSに関するロードマップ」「情報通信技術人材に関するロードマップ」などが決定されている。

経団連からの要望も強い政府CIOの設置については、今年度中に速やかに導入に向けた準備のための体制を内閣官房に整備するとともに有識者による会議を設ける予定である。国民IDについては、情報連携基盤等を活用した新しい行政サービスの実現や、企業コードに関する施策を電子行政タスクフォースなどで検討する予定である。また、医療情報化タスクフォースでは、電子版「糖尿病連携手帳」や標準アーキテクチャー、レセプト情報などの活用について3つの作業部会を設け、検討を開始した。

また、「ITSに関するロードマップ」に基づき、官民が連携して安全運転支援システムなどの普及・発展を進めるため、関係府省および産業界で構成するITS推進協議会を開催の予定である。

■ 意見交換

続く意見交換では、「政府CIOには、中央政府に加えて地方自治体のIT投資の司令塔になり得るような権限を持たせるべき」「国民が番号制度のメリットを実感できるように、幅広い民間利用ができる制度設計を期待する」「番号制度の情報連携基盤が整備されれば、行政手続オンライン化の費用対効果は変わるはずであり、整備された段階で再検討が必要である」といった意見が出された。

(注)道路交通の安全性、輸送効率、快適性の向上等を目的に、最先端の情報通信技術等を用いて、人と道路と車両とを一体のシステムとして構築する新しい道路交通システムの総称
【産業技術本部】
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