経団連タイムス No.3065 (2011年11月24日)

北陸地方経済懇談会を金沢で開催

−「国難を乗り越え、安全・安心な国・地域の創造に向けて」テーマに


あいさつする米倉会長

経団連と北陸経済連合会(北経連、永原功会長)は8日、金沢市内のホテルで第38回北陸地方経済懇談会を開催した。懇談会には、経団連から米倉弘昌会長をはじめ渡文明評議員会議長、副会長らが、北経連からは永原会長をはじめ会員約120名が参加、「国難を乗り越え、安全・安心な国・地域の創造に向けて」を基本テーマに活動報告と意見交換を行った。

開会あいさつのなかで北経連の永原会長は、北陸企業の景況感は、輸出不振等の影響により「低迷している」との声が多いと指摘。そのうえで、北陸地域が今後も日本のものづくりを支えていくためには、現下の円高是正やデフレ脱却、企業の将来の成長に対する国の支援が必要との認識を示した。また、北陸3県の一体的な発展および複軸型国家の形成に向け、東海道新幹線の代替補完機能として北陸新幹線の敦賀延伸と大阪までの全線整備に理解と協力を求めた。

続いてあいさつした経団連の米倉会長は、野田総理の強いリーダーシップの下、震災からの早期復興や円高対策、成長戦略の実現など重要課題に迅速に取り組む必要があるとし、国家戦略会議が大きな成果を生み出すようできる限り協力したいと述べた。また、日本の成長のためには、TPP(環太平洋経済連携協定)をはじめとする高いレベルの経済連携を推進し日本の立地競争力を高めるべきと訴え、北経連に対して理解と協力を呼びかけた。

■ 活動報告

第1部の活動報告では、経団連から、大橋洋治副会長が、厳しい状況が続く日本経済を立て直すには、民間主導の経済成長が重要と指摘し、経団連が取り組む「未来都市モデルプロジェクト」を紹介。小島順彦副会長が、日本経済が目指すべき中長期的な進路を示した「経団連成長戦略2011」について説明した。渡評議員会議長は、日本のTPP交渉への早期参加を訴えるべく、関係閣僚や民主党幹部と懇談するとともに米国経済界とシンポジウムを開催したことを報告した。畔柳信雄副会長は、広範囲にわたる被災地の早急な復旧・復興には、地方分権と自治体間の広域連携の推進が重要であり、あわせて、道州制に対する国民の理解の促進が大事であると訴えた。

一方、北経連からは、深山彬副会長が、北経連の被災地支援・復興への協力や、自然災害に強い安全・安心な国土づくりに向けたインフラ整備等に関する活動を報告。山崎幸雄常任理事が、北陸三県の一体的な発展と国のリスク管理上必要な北陸新幹線の敦賀延伸の工事認可・着工について経団連の協力を求めた。また、犬島伸一郎副会長が、北陸地方の中堅・中小企業が保有する先端技術や得意技術を大手企業、大学研究者等につなぐマッチング事業や、次世代ロボット、中古車をエコカーに改造したコンバートEV等の分野への支援活動を紹介した。

■ 意見交換

第2部の意見交換では、北経連から、(1)円高・デフレ対策の取り組み(2)災害に強い「分散複軸型」国土への転換(3)今後のエネルギー・環境政策の方向性(4)中小企業のものづくり技術の空洞化への対応(5)税・財政・社会保障の一体改革(6)グローバル人材の育成――の6点について質問があった。

これに対して経団連は、(1)為替介入や金融緩和策の継続および規制緩和、成長戦略の着実かつ迅速な実施が円高・デフレ対策として重要(奥正之副会長)(2)北陸新幹線や海上交通網などのインフラ整備は、日本海側の軸を強化し分散複軸型国土への転換に有益(宮原耕治副会長)(3)化石燃料、原子力、再生可能エネルギー等多様なエネルギーの選択肢を保持することがリスク分散と同時に資源交渉力を強化(西田厚聰副会長)(4)女性の就業率や、1人当たりGDPなどから考えると、日本の成長機会はまだまだあり、企業自らの努力と、日本の立地競争力強化に向けた国の政策の充実が重要(坂根正弘副会長)(5)一体改革によって、社会保障の負担・給付両面を見直し、自助、共助、公助のバランスの最適化を図るべき(斎藤勝利副会長)(6)地元大学等の教育機関と連携し、企業と学生が直に接するようなカリキュラムを開発・普及するとともに、留学生を受け入れる大学や海外留学を志す日本人学生への支援強化が重要(斎藤副会長)――と発言した。

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懇談会に先立ち経団連首脳は、小松製作所の「こまつの杜」を訪問し、世界最大級のダンプトラック等を視察した。

【総務本部】
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