経団連タイムス No.3065 (2011年11月24日)
観光による東北復興支援で論議
−仙台で経団連観光シンポジウム開催

内閣総理大臣メッセージ


「復興支援・経団連観光シンポジウム2011 in 仙台」が多くの方々の参加を得て開催されることをお慶び申し上げます。

私は、旅が好きです。見知らぬ土地の空気を吸い、その土地に生きる人と接し、その土地の酒と肴を堪能する。日常では味わえない感動と満足を得て、再び日常へと回帰しても、以前とは違った活力を得た自分がそこにあります。

旅に魅力を感じる人々がいる限り、観光は、地域に大きな力を与え続けてくれます。他の産業への波及効果も大きく、地域の雇用を生み、少子高齢化が進む日本の成長を支える「期待の星」の一つでもあります。

政府としても、昨年策定した「新成長戦略」の中で「観光立国」を柱として掲げ、そのための取り組みをこれから本格化しようとする矢先に起こったのが東日本大震災でした。大震災後、国内の自粛ムードや、外国人旅行客の減少など、国内の観光業は新たな課題に直面しています。しかし、「観光立国」を目指す政府の方針は不変です。

東北は観光資源の宝庫です。私が学生時代に訪れた修学旅行先は会津若松でした。弘前城の桜も、歴史に輝く世界遺産・平泉も、日本三景・松島も、みな東北の地にあります。沿岸部のリアス式海岸の絶景は、それ自体が人々を惹きつける天然の観光資源でもあるのです。東北の観光地は、関係者の強い意志があれば、必ずや立ち直ることができると私は信じています。

日本有数の観光地を抱える東北の復興がなければ、わが国が目指す「観光立国」の実現もありません。政府としては、あらゆる機会をとらえ、国内とりわけ被災地の観光地が安全であるとの情報を正確に発信し、あらためてその魅力を世界にPRしていくとともに、訪日観光ビザの取得を容易にしたり、国際会議を誘致したりするなど、政府を挙げて、観光の復興に向けた対策を進めていく考えです。

「観光で日本を元気に」「復興する日本の姿を世界の人々に見ていただく」という強い気持ちで、すでに多くの関係者が立ち上がり、行動を起こしています。いわきのフラガールの皆さんの頑張りも、そうした取り組みの象徴です。

私も、本日ここにお集まりの皆さまとともに手を携え、被災地の観光が復活するために、最大限の支援を行っていきたいと考えています。

被災地の方々だけでなく、全国の企業関係者の皆さまにおかれても、ぜひとも東北観光の各種のキャンペーンに御協力いただくとともに、社内旅行や会議を東北で行うなど、創意工夫を凝らして、被災地の取り組みの後押しをしていただくことを強く期待します。

本日のシンポジウムにおいて、関係者の皆さまが東北観光の復活に向けた思いを新たにし、さまざまな知恵を出し合っていただく良い機会となることを祈念して、私からのメッセージとさせていただきます。

平成23年11月14日
内閣総理大臣 野田佳彦
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