経団連タイムス No.3066 (2011年12月1日)

前田国交相はじめ国交省幹部と懇談

−都市・地域政策、住宅政策、観光、運輸などで意見交換


国土交通省幹部との懇談会であいさつする米倉会長

経団連(米倉弘昌会長)は11月24日、東京・大手町の経団連会館で国土交通省幹部との懇談会を開催した。懇談会には、同省から前田武志国土交通大臣、松原仁副大臣、奥田建副大臣、津川祥吾大臣政務官、室井邦彦大臣政務官らが、経団連から米倉会長、副会長、評議員会副議長らが出席した。

米倉会長、震災復興と日本経済復活・再生へ迅速・着実に施策実行を

冒頭あいさつした米倉会長は、「国民生活の安全と安心に深く関わる国土交通政策を一層充実させていくことは、わが国の成長力の強化を図るうえで必要不可欠。震災からの復興と日本経済の復活・再生に必要な施策を迅速かつ着実に実行すべき」として、前田大臣のリーダーシップに期待を表明した。

続いてあいさつした前田大臣は、「震災復興が遅れている面はあるが、地元自治体の意向を踏まえつつ、省内の現場力・総合力で日本の再生につなげたい。震災からの反省を含め、(1)持続可能な社会の実現(2)安全と安心の確保(3)経済活性化(4)国際競争力と国際プレゼンスの強化――という4つの価値を柱として、持続可能で活力ある国土・地域づくりを進める」とした。そのうえで、「PPP(官民連携)を通じた経済界の協力をお願いしたい」と述べた。

■ 意見交換

あいさつする前田国交相

意見交換では、経団連側から、「復興には省庁の縦割りを超えた実効性あるスピード感を持った対応が必要だ。経済の持続的な成長を図るには、国際ビジネスの拠点となるようなインフラ整備を進め、都市の競争力を強化すべき。経団連では『未来都市モデルプロジェクト』で日本が直面する課題の克服に取り組んでいる」(岩沙弘道副会長)、「耐震性能の向上や省エネ・創エネ・蓄エネが喫緊の課題となるなか、経済波及効果が大きく、内需拡大をもたらす住宅投資の促進に向けた税制等の整備が必要」(宗岡正二副会長)、「観光は経済成長を牽引し、地域活性化の起爆剤となることから、観光立国の実現に向けた人材育成、体制整備、予算拡充等が不可欠。また、来年開催の日中国交正常化40周年記念事業への全面的な支援を得て、オールジャパンで成功に導きたい」(大塚陸毅副会長)、「企業のグローバルなサプライチェーン構築に対応した港湾・空港の効率的な運営と道路の整備を着実に進め、国際競争力を備えることが重要。そのためにも事業環境の国際的整合性確保とともに、海賊対策が必要」(宮原耕治副会長)、「自動車課税の抜本改革、道路インフラの整備、日EU・経済統合協定に向けた自動車にかかる技術基準の国際的調和と相互承認が必要」(渡辺捷昭副会長)、「即効性ある観光投資へのバックアップが重要」(西田厚聰副会長)などの発言があった。

これに対して、国交省側から、「日本の復興に全世界が注目しており、全力で取り組む」「今後の道路政策は、時間短縮以外に環境や防災の観点からのコスト・ベネフィットを含めることも検討中」「観光ではハード面に加え、生物多様性の確保等で日本の魅力を高める政策も進める」といったコメントがあった。

【産業政策本部】
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