経団連タイムス No.3080 (2012年3月29日)

提言「日・トルコ経済連携協定交渉の早期開始を求める」公表

−日本企業の貿易・投資先かつ戦略拠点として重要なトルコとの経済関係強化を目指して


経団連(米倉弘昌会長)は21日、提言「日・トルコ経済連携協定(EPA)交渉の早期開始を求める」を取りまとめ公表した。
経団連は、かねて合同経済委員会等を通じて、日・トルコEPAの必要性を主張してきた。現在、日ト両国政府は経済分野における協力に関する覚書への署名を目指しており、日ト経済交流の一層の活性化を目的とした政府間の枠組みづくりの進展が期待される。提言では、日ト経済関係の一層の拡大と深化に向けて、日・トルコEPAに反映すべき日本企業の関心事項等を提示しつつ、交渉の早期開始を求めている。提言の概要は次のとおり。

基本的考え方や日・トルコEPA実現で期待される効果などを提示

1.基本的な考え方

人口約7400万人を擁し、欧州とアジアの結節点に位置するトルコは、安定した政治、堅調な内需等を背景に、近年力強い経済発展を遂げている。わが国とトルコは古くから強固な友好関係を構築してきたが、日ト間の貿易・投資に関しては、両国の事業機会が十分に開拓されているとは言い難い。

わが国企業がトルコでのビジネスをより積極的に展開していくためには、日・トルコEPAを通じた他国企業に劣後しない競争条件の確保とともに、円滑でより効率的な企業活動を可能とするビジネス環境の整備が不可欠である。

2、わが国企業のグローバル・ビジネスにおけるトルコの重要性

(1)貿易・投資先

若く優秀で勤勉な労働力が豊富なトルコは、生産拠点として極めて有望であるだけでなく、増大する人口、旺盛な消費意欲、購買力の上昇等により、市場としての魅力も高まっている。また、国民生活の向上や国内産業の発展に伴うインフラ整備需要は引き続き高く、建設、交通、IT・通信、電力等の分野において、わが国のパッケージ型インフラ輸出の促進が期待される。

(2)広域ビジネス統括拠点

トルコは東西の交通の要衝にあって周辺諸国へのアクセスが容易である。このことを活かし、トルコとその周辺地域を統括する物流・事業拠点の設置や、トルコと民族的・文化的共通点を有し今後高い成長が見込まれる第三国(中東・北アフリカ、中央アジア等)におけるトルコ企業との協業等を通じて、わが国企業は広範な地域でビジネスの拡大を図ることができる。

3、目指すべき日・トルコEPAの姿

以上の認識に基づき、日・トルコEPAによって、(1)包括的で高水準な内容の実現(2)Win‐Win関係の構築(3)安定的な事業環境の実現(4)他国企業に劣後しない事業環境の確保(5)制度・ルール・基準の調和の推進――を図るべきである。特に、(4)については、トルコと韓国をはじめ第三国とのFTA(自由貿易協定)交渉の動向を注視しながら取り組む必要がある。

4、日・トルコEPA実現によって期待される効果

日・トルコEPAの具体的効果として、自動車の完成車や基幹部品等工業製品の関税引き下げ、通関手続き等の透明性向上・簡素化、就労許可にかかる発給要件の緩和や有効期間の延長、国産化要求・輸出要求等パフォーマンス要求の禁止、模倣品の取り締まり強化、規制・制度の導入・変更に際しての事前の意見照会の実施、徴税制度の効率向上・透明性確保等の実現を強く期待する。

【国際経済本部】
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