表紙イメージ 経済Trend ロゴ2010年3月号

危機を克服し、新たな成長を切り拓く 〜2010年春季労使交渉・協議に向けて
アジアにおける経済統合の深化に向けた戦略 〜アジア・ビジネス・サミット開催を控えて
今月の表紙: 野村育葉 作 「春no hanana」 (アートビリティ登録作品)
障害を持つ方々の個性豊かで、印象深い絵画を厳選してご紹介しています。

巻頭言

生物多様性と日本の技術力
大久保尚武 (日本経団連評議員会副議長/積水化学工業会長)

特集
危機を克服し、新たな成長を切り拓く
〜2010年春季労使交渉・協議に向けて

日本経済はアジア向け輸出の増加が景気を下支えしている面があるものの、デフレの進行などのリスクを抱えており、先行きは依然不透明である。労使は、この状況に対する認識を共有し、ともに難局を乗り越えていかなければならない。今次の春季労使交渉・協議に臨む経営側の姿勢について議論する。
座談会
大橋洋治 (日本経団連副会長・経営労働政策委員長/全日本空輸会長)
経済危機に柔軟に対応できるように、企業は、総額人件費管理を徹底することが重要だ。仕事、役割、貢献度を基軸とした制度への見直し、評価の運用、賃金水準の適正化の検証を行う必要がある。今次労使交渉・協議では、「最大の経営資源である人を守る」という観点から、賃金より雇用を重視した姿勢で臨むべきである。
西田厚聰 (日本経団連副会長/東芝会長)
企業を存続させ、さらなる発展を遂げるには、イノベーションの源泉たる人材の育成が最も重要である。多くの企業および経営者が、人材力の強化に努めているのは、「従業員の成長こそが企業の発展につながる」という、人材重視の経営理念を堅持しているからだ。厳しい状況であるからこそ、経営者自らが人材の育成にリーダーシップを発揮しなければならない。
鈴木正一郎 (日本経団連評議員会副議長・雇用委員長/王子製紙会長)
雇用情勢は、依然として厳しい状況が続いており、景気の先行きが不安定ななか、さらに悪化する可能性もある。企業の社会的責任として、雇用の確保を最優先として取り組むことが重要であるが、今般のような想定を超える経済の悪化局面においては、雇用のセーフティーネットの拡充・強化など、政労使が協調して取り組むことが求められる。
伊丹敬之 (東京理科大学専門職大学院総合科学技術経営研究科教授・研究科長)
日本経済は、短期的なタームでは夏ぐらいから回復に向かうと考えている。しかし、中長期的には、米国経済の構造的破綻による影響が懸念される。企業において、イノベーションの源泉は人材であるが、イノベーションを起こすために人材を育成するのではなく、イノベーションの創出を通じて人が育つことを忘れてはならない。
川本裕康 (司会:日本経団連常務理事)

●日本経済を取り巻く環境の変化と今後の見通し

●持続的な成長実現に向けた企業の役割とは

●春季労使交渉・協議に臨む経営側の姿勢

2010年版経営労働政策委員会報告
〜危機を克服し、新たな成長を切り拓く
日本経団連労働政策本部
《経営者の視点》
将来の飛躍に向けて今なすべきこと
三浦 惺 (日本経団連評議員会副議長/日本電信電話社長)
新たな成長に向けた歩みと経営労働政策委員会報告の意義
幕田圭一 (宮城県経営者協会会長/東北電力相談役)
難局を乗り越える
〜いま求められる労使関係のあり方
古賀伸明 (日本労働組合総連合会会長)
2010年経済情勢の展望
〜安定的な経済成長の実現に向けて
中島厚志 (みずほ総合研究所専務執行役員)
成果主義的改革後の賃金制度
〜その内実と方向性
都留 康 (一橋大学経済研究所教授)
雇用の現状と課題
〜「人材立国」政策で転換の契機を
諏訪康雄 (法政大学大学院政策創造研究科教授)
【企業ルポ】
人材育成の環境整備、職場の一体感醸成、ワーク・ライフ・バランスの推進事例
村田浩司 (ルポライター)

特集
アジアにおける経済統合の深化に向けた戦略
〜アジア・ビジネス・サミット開催を控えて

日本経団連は、昨年後半から、日中韓ビジネス・サミット、メコン各国首脳との懇談会、第一次・第二次ASEANミッションなどを実施し、アジア各国の官民リーダーとの政策対話を重ねてきた。3月15日に開催するアジア・ビジネス・サミットはその総仕上げとして、アジアの経済統合、広域インフラ整備を柱とするアジア地域の成長戦略、環境とエネルギー問題などの課題について議論する予定である。サミットの開催を控えて、日本側の基本姿勢、課題前進に向けた具体的な考え方を探った。
〈特別寄稿〉
東アジア共同体とアジア・ビジネス・サミットへの期待
直嶋正行 (経済産業大臣)
座談会
渡 文明 (日本経団連副会長/新日本石油会長)
第一次・第二次ASEANミッションでは4カ国を訪問し、アジアが世界の成長センターになるという確信を深めると同時に、経済統合へ向けて、日本のプレゼンスを高めて欲しいという各国首脳の期待を感じた。アジア・ビジネス・サミットでは、環境とエネルギーの問題を解決していくためにアジア各国の役割分担と協調体制の重要性を訴えたいと考えている。
森田富治郎 (日本経団連副会長/第一生命保険会長)
アジアの成長のためには、域内の膨大な民間貯蓄を投資資金として循環させ、インフラ整備のための資金ニーズや企業の運転資金のニーズに応えていくことが不可欠である。アジア・ビジネス・サミットでは、アジア全体の生産能力と消費市場としての拡大が日本の成長を支えるという視点を、しっかりと持って臨んでほしい。
矢野 薫 (日本経団連国際協力委員会共同委員長/日本電気社長)
昨年11月に発表した「アジアの経済成長を実践するためのアクション・プラン」では、地域経済統合、広域インフラ整備の推進と中長期資金の供給、イノベーションの推進、環境と経済成長の両立などに言及している。アジア・ビジネス・サミットにおいては、同提言をベースに、アジア経済界の総意が共同声明として発信されることを期待している。
讃井暢子 (司会:日本経団連常務理事)

●アジアの政治経済の現状をどう見るか

●アジア地域の持続的な成長戦略とは

●アジア・ビジネス・サミットに向けての姿勢、期待

ジャカルタから、官民連携でアジア成長戦略を発信
〜第二次ASEANミッション(インドネシア)報告
御手洗冨士夫 (日本経団連会長)
アジア・ビジネス・サミットへの期待
佐々木幹夫 (日本経団連副会長/三菱商事会長)
渡辺捷昭 (日本経団連副会長/トヨタ自動車副会長)
東アジア経済共同体の実現に向けて
趙 錫 来 (全国経済人聯合会(韓国)会長)
世界と地域経済の再建に向けた具体的提案を求める
テン・テンダー (シンガポール経団連事務局長)
東アジア経済統合に向けた民間の役割
〜EPA推進は企業の「社会的責任」〜
渡邊頼純 (慶應義塾大学総合政策学部教授)

急速に進化する中国のCSR
〜CBCC中国CSR対話ミッションおよび第二回日中CSR対話フォーラムを終えて
立石信雄 (海外事業活動関連協議会(CBCC)会長/オムロン相談役)
● 第113回日本経団連労使フォーラム
危機を克服する処方箋をさぐる

● 経営者のひととき
フィッシュ&チップス
江戸龍太郎 (エスビー食品社長)
● あの時、あの言葉
上に立つ者は私を捨てよ
伊藤晴夫 (富士電機ホールディングス社長)
● エッセイ「時の調べ」
ワールドカップという名の不条理
阿刀田 寛 (日本経済新聞記者)
● NEW FACE(新会員紹介)
日本アクセス
斎久工業
● 翔べ!世界へ―奨学生体験記
『君主論』、多様性、不法滞在−イタリア校での生活
林 美香 (神戸大学大学院国際協力研究科准教授)

バックナンバー・定期購読のご案内


日本語のホームページへ