表紙イメージ 経済Trend ロゴ2012年1月号

グローバル化のなかでの日本経済の行方
今月の表紙: 秦美紀子 作 「月光の海」 (エイブルアート・カンパニー登録作品)
障害を持つ方々の個性豊かで、印象深い作品を厳選してご紹介しています。

巻頭言

復興・再生から新たな飛躍へ
米倉弘昌 (経団連会長)

特集
グローバル化のなかでの日本経済の行方

経済社会のグローバル化の動きが加速するなかで、日本企業が、スピード感を持って、適切な企業戦略を展開し、さらなる成長を遂げることができるかが問われている。また、震災からの復興を新たな日本の創生につなげることができるかどうかも、重要な課題である。日本経済の新たな発展に向けて、どのような展望を持ち、どう歩んでいくべきか。
座談会
日本経済の新たな発展を求めて
川村 隆 (経団連副会長、アジア・大洋州地域委員長、教育問題委員長/日立製作所会長)
震災によって、製造業のグローバルなサプライチェーンのなかで日本企業が果たす役割が、いかに大きいかが明らかとなった。そうした高い技術力・開発力を活かして、新しい内需に見合った新しい技術を開発し、新しい産業の振興につなげていくことで、国内の産業空洞化に歯止めをかけたい。新しい産業の振興には、復興特区が活用できる。
勝俣宣夫 (経団連副会長、貿易投資委員長/丸紅会長)
iPhoneやボーイング787のような先進的な製品は、日本企業の技術に大きく依存している。ここに日本企業の強みがある。さらなる成長を目指すには、アジア新興国の活力を取り込むことが不可欠である。特に、向こう10年のアジア各国のインフラ需要は8兆ドル規模と試算されている。産業振興に貢献するインフラ整備を通じて中間層を育成し、ともに成長する関係を構築していくべきだ。
岡本圀衞 (経団連経済政策委員長/日本生命保険会長)
震災では、日本人の助け合い・思いやりの精神が随所に発揮された。生保業界も、未曽有の危機に直面するなか、一致団結して、速やかに保険金の支払いができる体制をつくることができた。日本経済の成長のためには、「課題解決先進国・日本」を目指さなければならない。例えば、高齢社会という課題の解決を目指すことで、将来、医療・介護分野で質の高いビジネスモデルを輸出することも可能となるだろう。
マイケル・グリーン (米国戦略国際問題研究所(CSIS)上級顧問・日本部長)
日本企業の震災への対応の早さは、米国をはじめ、全世界に強い印象を与えた。私は25年前に岩手県で過ごした。人と人との絆が強い東北ならば、必ず立ち直れると信じている。復興の大きな課題は、エネルギーの長期的・安定的な供給とTPP交渉の動向である。日本は、TPP交渉への参加を好機ととらえ、高度な自由化で域内の経済効率を高めることにより、さらなる経済成長を目指すべきである。
中村芳夫 (経団連副会長・事務総長)
TPP交渉への参加については、国論が二分されるなか、国益の観点から、交渉参加という方針が基本的に決定されたことは、高く評価できる。今後、日中韓FTA、ASEAN+6の促進、日EU EIA交渉の早期開始などを通じて、高いレベルの経済連携を実現していくべきである。長い道のりとなる震災からの復興は、日本の将来を占う重要な課題である。

●震災によって再確認された日本経済の重要性

●企業活力発揮のための国内事業環境の整備と世界との連携促進

●日本企業の新たなチャレンジと経団連への期待

政治と経済は不可分だということ
猪木武徳 (国際日本文化研究センター所長)
成長するアジア消費市場と企業戦略
大泉啓一郎 (日本総合研究所調査部環太平洋戦略研究センター上席主任研究員)
思い込みを捨て、世界に打って出よう
淺羽 茂 (学習院大学経済学部教授)
企業におけるグローバル化への対応
革新技術・新素材の創出で国内拠点の生産基盤を堅持する
日覺昭廣 (東レ社長)
  • 経営資源を戦略的に傾斜配分
  • 重点分野となるグリーンイノベーション事業
  • 絶え間ない革新技術・新素材の創出を使命として
「共振の経営」を推進しグローバル競争を勝ち抜く
高原豪久 (ユニ・チャーム社長)
  • 常に心がけている「現場」「現物」「現時点」
  • 「現場」の人の気持ちが大事
  • 「共振の経営」を哲学として
デジタル化の進展とイノベーションの推進
中嶋成博 (富士フイルムホールディングス代表取締役専務執行役員)
  • デジタル化の進展と第二の創業
  • イノベーションによる競争力強化
  • 混迷の21世紀を生き残るために
自ら変革し続けるR&Dマネジメント
池浦富久 (三菱ケミカルホールディングス常務執行役員)
  • 死の谷、ダーウィンの海を越えて
  • R&Dマネジメントのポイント
  • 三位一体のマネジメントが重要
  • 一体的運営と緊密な連携を可能とする組織改革
  • マーケティングイノベーションを推進できるリーダーを
連続的イノベーションによる革新的医薬品の創製
菊池 満 (中外製薬執行役員渉外調査部長)
  • グローバル化とイノベーションを強化する戦略的アライアンス
  • 「アクテムラ®(初の日本オリジンの抗体医薬品)」の世界展開
  • 世界の医療と人々の健康への貢献を目指して
アジアのハブを目指した金融機能の強化
宮地正人 (三菱東京UFJ銀行執行役員アジア・中国部長)
  • アジアの経済概況と日系企業のアジアへの進出状況
  • 当行のアジアへの取り組み

G20ビジネス・サミットに参加して
〜問われるグローバル・ガバナンス
西田厚聰 (経団連副会長/東芝会長)
提言
今後のエネルギー政策のあり方
〜エネルギー政策に関する第二次提言
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2011/107/index.html
井手明彦 (経団連評議員会副議長、資源・エネルギー対策委員長/三菱マテリアル会長)
  • 最優先の課題は原発事故の収束
  • 柔軟かつ多様なエネルギー利用計画の策定
  • 安定した電力需給の実現
  • 技術を活かした国際貢献の推進
  • 温暖化政策とエネルギー政策の一体的推進
日タイ経済連携協定の高度化を通じた両国協力の拡大を求める
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2011/108/index.html
小林栄三 (経団連評議員会副議長、日タイ貿易経済委員長/伊藤忠商事会長)
伊藤一郎 (経団連日タイ貿易経済委員会共同委員長/旭化成会長)
  • 日タイ経済連携協定の高度化の重要性
  • 主な要望事項
ルポ
農商工連携
− シリーズ第4回
産地との連携で味わいと健康を両立した緑茶を提供
べにふうき緑茶の商品化 〜 アサヒ飲料
(経団連産業政策本部)
ルポ
グローバル水準の研究・教育実現に向けた挑戦
− シリーズ第4回
湯のまち・別府に開かれた多文化・多言語のアカデミック・コミュニティー 〜 立命館アジア太平洋大学
(経団連社会広報本部)

● あの時、あの言葉
思いがけない謎解き
石井宏治 (石井鐵工所社長)
● エッセイ「時の調べ」
武士の心得をビジネスに活かす
小笠原敬承斎 (小笠原流礼法宗家)
● 翔べ!世界へ―奨学生体験記
体当たりで学んだ「度胸」
西島 健 (国立国際医療研究センターエイズ治療・研究開発センター医師)
● NEW FACE 新会員紹介
ケルヒャージャパン
総合資格
日本社宅サービス
広島ガス

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