表紙イメージ 経済Trend ロゴ2012年2月号

自然保護への取り組みを通じた世界への貢献 〜20周年を迎える自然保護基金
理科離れ対策を中心とした企業の教育支援
今月の表紙: 石田匠永 作 「チェスナットヒル・ホテル」 (エイブルアート・カンパニー登録作品)
障害を持つ方々の個性豊かで、印象深い作品を厳選してご紹介しています。

巻頭言

自然保護と産業界の役割
石原邦夫 (経団連評議員会副議長/東京海上日動火災保険会長)

特集
自然保護への取り組みを通じた世界への貢献
〜20周年を迎える自然保護基金

2010年に名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の決議において、経団連は、顕著な活動を行っている団体として紹介された。生物多様性の保全と持続可能な利用は、国際社会が抱える課題解決の観点からも重要であり、日本企業が擁する技術や人材、ノウハウの活用には大きな期待が寄せられている。2012年で設立20年目を迎える自然保護基金・協議会の活動を振り返りつつ、自然保護への取り組みを通じた世界への貢献について考える。
座談会
大久保尚武 (経団連評議員会副議長・経団連自然保護協議会会長/積水化学工業取締役相談役)
自然保護基金が設立されてから20年目を迎える。設立以来の支援規模は、延べ980プロジェクト、約29億円に上る。今後は、2009年に発表した「生物多様性宣言」に示した理念に基づいて活動を継続し、国際社会からの期待に応えていきたい。
篠田和久 (経団連評議員会副議長/王子製紙社長)
1960〜1970年代に公害が社会問題化した際、製紙業界も相当強い危機感を持ち、その克服のために大規模な設備投資を行った。生物多様性保全の推進は、企業の単独行動では難しく、地元住民など事業地域のステークホルダーとの協力関係が不可欠である。
小原好一 (経団連自然保護協議会副会長/前田建設工業社長)
グローバル化が企業の喫緊の課題にあって、各国の利害関係者との信頼構築とともに、各地域の多様な歴史・文化・自然環境などを理解した企業活動や支援が肝要である。まさに、 "Think Globally, Act Locally" の観点で、企業の持つ技術・ノウハウを活かし、社会の持続的発展に寄与したい。
香坂 玲 (名古屋市立大学大学院准教授)
日本は、ドイツとともに公害問題を技術革新によって克服した国として、世界で高く評価されている。ここ20年の重要なテーマは、環境と開発の両立とそのバランスである。開発途上国においては、日本の環境技術などを活用して、環境負荷の低い経済成長を目指すことがますます必要となってくる。
松本真由美 (東京大学先端科学技術研究センター 新環境エネルギー科学創成特別部門特任研究員)
人口70億人時代を迎え、経済と環境を両立させ、持続可能な地球社会をどのように構築するかが、世界的にますます重要な課題となっている。生物多様性は、さまざまな環境に関する問題を総合した課題であり、環境問題の象徴として位置付けるべき大きなテーマである。

●企業活動と自然との共生のあり方

●世界の自然保護・生物多様性の保全における企業の役割

●産業界における生物多様性の主流化に向けた課題と対応

生物多様性保全に向けたグローバルプラットフォームが活動開始
〜各国の民間参画イニシアティブ関係者が一堂に会し議論
(経団連自然保護協議会事務局)
自然保護を確実に、生物多様性を資本から富に
和 愛軍 (アジア緑色文化国際交流促進会会長)
日本経団連自然保護基金が広げたIBAネットワーク
鈴江恵子 (バードライフ・インターナショナル・アジア・ディビジョン副代表)
大規模マングローブ植林による里海創生
〜「緑の絨毯作戦」から「緑と青地球作戦」へ
加藤 茂 (マングローブ植林大作戦連絡協議会会長/成蹊大学理工学部特別研究招聘教授)
Photo Message
人類の安全保障
桃井和馬 (写真家・ジャーナリスト)

特集
理科離れ対策を中心とした企業の教育支援

将来の科学技術創造立国日本を支える人材を育成するため、企業には、小中学校、高校に社員を派遣して、理科授業や科学技術体験型授業を実施するなど、学校の理科教育に協力するとともに、大学においても産業技術に関する寄付講座を実施するなどの取り組みが求められている。企業の取り組みを紹介しつつ、今後の課題を考える。
座談会
小川理子 (経団連教育問題委員会教育と企業の連携推進ワーキング・グループ座長/パナソニック社会文化グループグループマネージャー)
阪井嘉英 (シャープCSR推進本部社会貢献推進グループチーフ(シャープグリーンクラブ事務局長))
織岡正夫 (トヨタ自動車人材開発部キャリア・ライフデザイン室主査)
川嶋輝彦 (日本アイ・ビー・エムCSR・環境・社会貢献社会貢献担当部長)
井上 洋 (司会:経団連社会広報本部長・本誌編集長)

●各企業による教育支援の取り組み

●企業の教育支援が直面している課題

●これからの人材育成、教育支援のあり方

日本科学技術振興財団における理系青少年育成の取り組み
坪井健司 (日本科学技術振興財団代表理事・副理事長)
女子中高生に向けた理系進路選択支援活動の意義
岩田喜美枝 (資生堂副社長)
未来を担う夢と想像力を育てるために
関 房雄 (小松製作所常務執行役員)
科学実験の体験は理科を好きになる近道
駒田 均 (日本ガイシ広報室長)
科学技術創造立国の基盤づくりに貢献
坂井英明 (三菱電機人材開発センター理科教育推進グループマネージャー)
則武康行 (三菱電機人材開発センター計画グループマネージャー)

提言
アジア太平洋地域における経済統合の推進を求める
〜2020年のアジア太平洋自由貿易圏実現に向けて
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2011/110/index.html
大橋洋治 (経団連副会長、経済連携推進委員長/全日本空輸会長)
加藤 進 (経団連評議員会副議長、経済連携推進委員会共同委員長/住友商事社長)
  • TPP、ASEAN+6を追求しFTAAPを完成
  • TPP通じわが国FTA・EPA戦略を後押し
  • ASEAN+6経済連携協定の実現と前提としての日中韓FTA
  • 総理が司令塔となり、省庁横断的取り組みを
改めて国際協力の推進を求める
〜パッケージ型インフラの海外展開を促進
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2011/111/index.html
矢野 薫 (経団連評議員会副議長、国際協力委員長/日本電気会長)
  • インフラ輸出は成長戦略の重要な柱
  • 新興国におけるインフラ整備を推進する
  • 一般会計ODA予算の減少に歯止めをかける
ディーセント・ワークを伴う持続可能な未来の構築に向けて
〜第15回ILOアジア太平洋地域会議に出席して
西田厚聰 (経団連副会長/東芝会長)
国際枠組構築に向けた成果と今後の課題
〜COP17を振り返って
坂根正弘 (経団連副会長・環境安全委員長/小松製作所会長)
復興から再生へ向けての日米協力
〜第48回日米財界人会議に参加して
石原邦夫 (日米経済協議会副会長/東京海上日動火災保険会長)
防衛産業政策に関する調査ミッション
〜ドイツおよびスウェーデンの政府機関、防衛関連企業の取り組みを調査
堀 謙一 (経団連防衛生産委員会基本問題ワーキンググループ主査/三菱重工業航空宇宙事業本部営業推進室長)
ルポ
農商工連携
− シリーズ第5回
耕作放棄地の再生を支援し、日本農業の再生に貢献
eプロジェクト 〜 クボタ
(経団連産業政策本部)
ルポ
グローバル水準の研究・教育実現に向けた挑戦
− シリーズ第5回(最終回)
伝統と地域の特性という強みを活かした人材育成 〜 名古屋大学
(経団連社会広報本部)
ルポ
オンリーワンで市場を拓く
− シリーズ第1回(新連載)
ボイラで市場を拡大し、省エネで環境に優しい社会に貢献
熱・水・環境のベストパートナー 〜 三浦工業
(経団連産業政策本部)

● 経営者のひととき
魅力溢れるわが第二のふるさと「京都」
前川重信 (日本新薬社長)
● エッセイ「時の調べ」
思いやりこそデザイン。思いやりこそ力。
今福彰俊 (スーパーマニアック代表取締役/空間デザイナー)
● 翔べ!世界へ―奨学生体験記
小さな奇跡を人生の軌跡に
黄 振宇 (イオン社長室)

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