経団連の最近の動き

(1996年3月)

「経団連インフォメーション」の記事より


情報化促進のための制度見直しに関するアンケート調査を実施

高度情報通信ネットワーク社会の実現に向けて情報通信の利用をさらに推進するには、本年1月に経団連がとりまとめた「今後の情報通信市場のあり方に関する見解」で提言した競争の枠組み整備と併せて、企業活動さらには行政をはじめとする公共分野や社会全般において情報ネットワーク化を進める必要がある。
しかしながら、現状は情報通信の利用を想定していない諸制度がこれを妨げており、わが国が経済社会の情報化の面で米欧に後れをとらないためには、諸制度の抜本的な見直しが不可欠である。そこで、今般、情報通信委員会では、経団連会員企業・団体を対象に標記のアンケート調査を行うこととした。

「規制・慣行の見直しに関するアンケート」調査結果を公表

消費者・生活者委員会では、本年1〜2月に、消費者・生活者の視点を尋ねた標記アンケートを実施し、810名から回答を得た。
これは、昨年秋に政府規制の緩和に関する意見を中心に尋ねたアンケートに続くもので、今回は、身近な公的規制に加え、民間を中心とした制度・慣行の分野について調査を行ったことが特徴である。調査の結果、回答者の関心が最も高かったのは、銀行サービス〔手数料、営業時間等の多様化〕、輸入化粧品販売の並行輸入販売の解禁などであった。

持株会社解禁を求めるパンフレットを作成

経団連は、かねてより、純粋持株会社の解禁を求めているが、このたび、経済界の主張をまとめた「大競争時代の今こそ、持株会社の解禁を」と題するパンフレットを作成した。(発行:経済広報センター)
このパンフレットは「持株会社とは何か。なぜその解禁が必要か。どのようなメリットが期待されるか。持株会社によって雇用や競争に弊害は生じないか」などの疑問に応えている。このパンフレットによって、純粋持株会社について一般の理解が広まり、建設的な議論につながっていくことを期待している。

創造的な人材育成に関する提言を取りまとめ

経団連では、豊かで魅力ある日本を築くためには、社会のあらゆる分野において創造的な人材が求められるという認識に基づき、3月26日(火)の理事会において創造的な人材育成のあり方について提言を取りまとめる。
提言では、特に企業としてできる事項を列挙し、その実行を会員企業に呼びかけることとしている。具体的には、教育界との接点である採用行動の見直し(公募制の拡大、通年採用への移行、経験者採用の拡大等)や、入社後の処遇の見直しを呼びかける。
併せて、教育に係わる規制緩和や大学入試改革等、教育改革の基本的方向についても提言する。

経団連ビジョン『「魅力ある日本」の創造』を出版

経団連では、先にとりまとめた経団連の長期ビジョン『「魅力ある日本」の創造』を、東洋経済新報社より出版する。3月25日より、全国の書店で発売の予定である。
本書は、2020年を念頭に日本が目指すべき国家像として、「活力あるグローバル国家」を提唱するとともに、それを実現するための課題と改革を、経済、技術、政治・行政、外交、教育、企業などの分野にわたって提言している。
経団連としては、今後、このビジョンを活動の基本方針とし、その実現に努めるとともに、国民各層との論議を深めていきたいと考えている。

税制改革に関する提言をとりまとめ

経団連では、3月19日(火)に税制委員会を開き、中長期的な視点を踏まえ、税制改革に関する提言を取りまとめる。
今回の提言においては、税制改革を活力ある経済社会を構築するための経済構造改革の柱として位置づけ、国・地方合わせた思い切った歳出削減を前提に直間比率の是正を進めるべきであることを訴える。
具体的には、(1)法人課税負担の実質的な軽減、(2)サラリーマンの負担軽減を中心とする所得税体系の見直し、(3)地価税の撤廃と固定資産税の軽減等を打ち出す。
あわせて、法人税制改革の重要な柱として、国際的な整合性の観点も踏まえ、連結納税制度の早期導入に向けた提言を取りまとめる。
今後提言をもとに税制改革の実行を政府、与野党等関係方面に強く働きかけていく。

日米経済関係を客観的データで綴った「日米経済ハンドブック」を刊行

経団連アメリカ委員会では、この程「'96日米経済ハンドブック」を刊行した。これは、主要21業種の現状、各業界における日系企業の米国での活動状況、米国系企業の日本での活動状況、あるいは業界間の提携関係などについて紹介しており、他に例のない新しい資料となっている。
編集にあたっては、客観的なデータを中心に、図表を多く含むビジュアルな体裁とするよう心掛けた。会員各位には、日米経済関係を考える、あるいは、論じる際の必携資料として活用されたい。なお、4月末には英語版の刊行を予定している。
本書は経団連会員代表者に送付する他、関心を有する外部のビジネスマンに、実費として1部1,000円で頒布している。

経団連訪中代表団を派遣

経団連では、中国国際貿易促進委員会の郭東坡会長の招聘を受けて、4月9日〜15日、会長、副会長、関係委員長で構成する訪中代表団を北京・上海・蘇州に派遣する。
会長を団長とする訪中団の派遣は、1977年3月の土光ミッション以来19年ぶりのことである。
今回は、中国の指導者や企業家との間で、(1)中国の経済発展戦略と中国経済の抱える問題、(2)今後の日中経済関係のあり方、(3)日中とNIES、ASEANなど近隣諸国、あるいは日中と欧米諸国との関係などについて、グローバルな視点から意見交換を行う予定である。
また、江蘇省蘇州市の「シンガポール蘇州工業都市」を訪問し、中国における国際協力プロジェクトを視察することとしている。
経団連側としてはこの機会に、戦後の日本経済発展の軌跡と各種問題への対応などこれまでの経験を語るとともに、「経団連ビジョン2020」の説明を行う。

第2回日ロ経済合同会議を開催

日本ロシア経済委員会では、3月27〜29日、東京において、ロシア日本経済委員会(委員長:ヴォリスキー・ロシア産業家企業家連盟会長)と第2回合同会議を開催する。
今次会合は93年6月にモスクワで開催された第1回会合から約3年振りの開催となる。
同会議には、日本側より河毛日本ロシア経済委員長を団長に約100名が、ロシア側からは、ヴォリスキー委員長を団長に、ロシア中央政府高官、極東地域の州幹部、有力企業幹部ほか約70名が参加する。
今回の討議テーマは2つ。第1は、ロシアにおける内外投資の活性化問題で、現在ロシアが最も強く期待している外資導入をめぐり、(1)ロシアの外資受入れに係わる法律・制度、民営化等の政策、(2)投資市場としてのロシアの評価などについて議論する。
第2は、極東長期経済計画と日本・極東間の経済交流問題で、(1)ロシア政府承認予定の極東経済計画の重点項目と政策展開、(2)同計画に対する極東側の評価、(3)日本・極東経済交流について議論する。

特別フォーラム「首都機能移転をどう進めるか」を開催

昨年12月の国会等移転調査会の報告を受けて、首都機能移転の焦点は、候補地選定機関の設置と移転先の検討へと移っており、今後は移転先選定に係わる法律の整備に向けて、立法府の早急な取り組みが求められている。
そこで、経団連では、3月21〜22日、経団連ゲストハウスに、自民党行政改革推進本部の西田 司首都移転委員長、島田晴雄慶応大学教授、恒松制治元島根県知事ほか、各界の有識者を招いて標記フォーラムを開催し、今後の進め方について検討する。

第25回中国地方経済懇談会および東海地方経済懇談会を開催

経団連では、3月6日に広島にて中国地方経済懇談会を、翌7日には名古屋にて東海地方経済懇談会を、それぞれ中国経連、中経連・名古屋商工会議所と共催で開催する。
中国地方経済懇談会には、豊田会長、鈴木・米倉・三田・末松・伊藤の各副会長が、また、東海地方懇談会には、豊田会長、鈴木・米倉・樋口の各副会長、弓倉競争政策委員長が出席し、「21世紀に向けての魅力ある日本の創造」を基本テーマに、(1)21世紀ビジョン、(2)経済運営のあり方、(3)規制の緩和・撤廃の推進、(4)新しい全総計画と地域経済の活性化等について地元経済界首脳と意見交換する。


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