経団連の最近の動き

(1996年7月)

「経団連インフォメーション」の記事より


情報化推進のための制度見直しに関するアンケート調査結果を中間的に整理

経済社会の構造改革を図る上で情報通信技術の活用は不可欠となっている。しかしながら、
  1. 現状は様々な制度や慣行が情報通信技術の利用を想定していない、
    あるいは、
  2. 情報化に対応したルールが整備されていない、
などの理由により、情報化が進展しないという問題が指摘されている。そこで、先般、情報化を推進する上で現行諸制度が抱えている問題点を把握するため、標記アンケート調査を実施した。さる7月24日、その結果を中間的に整理し情報通信委員会に報告するとともに、インターネット(http://www.keidanren.or.jp)で公表した。
アンケート調査に寄せられた要望は大きく分けて6点に整理できる。
  1. 法律で民間企業に保存が義務づけられている書類の電子データによる保存の容認
  2. 申請・申告手続き等の電子化・ペーパレス化
  3. 情報通信機器の法定耐用年数の短縮等
  4. 遠隔サービス等の活用
  5. 電子商取引のための環境整備
  6. マルチメディア時代の知的財産権制度の確立
個々の問題については、さらに検討が必要であると思われることから、情報通信委員会では、新たに情報化部会を設け、産業や公的分野などにおける情報化推進のための環境整備のあり方について、上記の点を中心に検討していくこととしている。

1995年度社会貢献活動実績調査を実施中

社会貢献推進委員会では、企業の社会貢献活動に対する社会の関心の高まりを受け、91年から標記実績調査を毎年実施している。
本年も、社会貢献関連支出や社内制度の整備状況などについて実績調査を経団連会員企業ならびに1%クラブ法人会員に対し実施中である(〆切は 9月13日)。
この調査結果は、同委員会で取りまとめた後、企業の社会貢献の実態を広く社会に広報し、社会貢献活動への理解を深めていきたい。ぜひ、本実績調査にご協力お願い申し上げる。

日銀法改正問題について検討を開始

金融行政改革の柱の1つである日銀法改正問題については、先般、連立与党の大蔵省改革プロジェクト・チームが基本的考え方をまとめ、これを受ける形で、橋本首相の私的諮問機関「中央銀行研究会」(座長:鳥居泰彦慶応義塾長、委員:今井経団連副会長ほか計7名)が7月中に発足する(10月に報告書をまとめる予定)。
経団連ではこれまで、日銀法改正問題について、東大・植田和男教授ならびに日銀関係者より意見を聴取するなど検討を進めてきたが、今般、金融制度委員会の下に新たに設置した金融制度改革専門部会において、さらに検討を深め、9月頃をめどに考え方をまとめることとなった。
具体的には(1)日銀法改正の必要性、(2)日銀が果たすべき役割、(3)政府に対する独立性、(4)国民・国会への報告義務・責任体制、(5)政策委員会の位置づけ、(6)日銀考査のあり方、などが検討課題となろう。

カナダにミッションを派遣

クレティエン政権の下、アジア太平洋重視の外交政策を展開しているカナダは、日本との貿易・投資を通じた一層の関係強化に強い関心を寄せている。
今般、経団連ではカナダ政府のミッション派遣要請に応え、(1)カナダ指導者との対話促進を目的とした団長ミッション(団長;江尻日本カナダ経済委員長、期間:9月18日〜20日)と(2)情報技術、加工食品、住宅・建材分野におけるカナダの変化を視察し、新たな日加関係の可能性を探る実務家レベルの「分野別ミッション」(期間:9月20日〜27日)を派遣することとなった。

『社会貢献白書1996 −企業と社会のパートナーシップ』を発行

経団連では、この程標記白書を発行した。同白書では、経団連が91年から95年までに実施した実績調査の結果をもとに、企業の社会貢献活動支出の動向などを分析するとともに、各社の活動事例約850件を一覧形式で掲載した。また、企業の社会貢献活動の現状と展望についての所論、経団連で実施している社会貢献活動、阪神・淡路大震災における企業の救援活動等も紹介している。
本書のように、企業の社会貢献活動について網羅的に紹介している文献は少ない。社会貢献担当者のみならず、ご興味のある方々に広くご一読いただきたい。
*発売元:日本工業新聞社、定価:2,500円。

国土づくりは地域が主役
−新しい全総計画策定に向けてー

政府の国土審議会では、現在、2010年を目標としたわが国の国土づくりの指針となる全国総合開発計画の策定作業を進めている。
経団連の国土・住宅政策委員会(委員長:古川昌彦副会長)では、こうした動きを受け、新しい全総計画に関して経済界の意見を反映させるために提言をとりまとめた(16日の理事会後、国土審議会ほか関係方面に建議予定)。
提言は、「官から民へ」「国から地方へ」という基本理念のもと、(1)東京一極集中と地域の多様性を前提とした国土の均衡ある発展を実現するとともに、(2)交通インフラ等の高コスト構造の是正を図り、内外に開かれた活力のある地域づくりを目指すべきであり、その主役は地域であることを強調している。
また国においても、全国一律の地域政策を、地域の多様な可能性を容認するものに見直すことが必要であると訴えている。


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