[経団連] [意見書]
経団連 新産業・新事業委員会 企画部会報告書
「医療・福祉分野の市場創造・拡大へ向けて」

はじめに


戦後つくられたわが国の基本的な枠組みは、行政の主導により戦後の復興を目指すことを土台とし、供給者主体の考え方の下で財やサービスが提供されてきた。しかし、社会が成熟した今日、利用者や生活者の視点から、あらゆる制度を組み立て直すことが求められている。

とくに、少子・高齢社会が到来した中で、国民負担率を抑制しつつ、多様化する国民の医療福祉ニーズに対応していくためには、医療福祉制度を抜本改革するとともに、国民が医療福祉サービスを自由に選択できる環境を整備することを通じて、医療福祉サービスの質的向上や費用の削減を図る必要がある。政府においては、社会福祉事業において戦後50年間維持されてきた措置制度(行政処分によりサービスを決定する制度)を、利用者が事業者と対等な関係に基づきサービスを選択できる制度へと転換すべく、社会福祉事業法の改正作業を進めるなど、社会福祉の基礎構造改革を行なっている。また、国民が安心して良質な医療サービスを受けられるようにする観点から、医療費の適正化や、適正かつ効率的な医療提供体制の確立に向けた抜本的改革に関する検討が進められている。2000年4月には公的介護保険制度が発足する予定である。

そこで、経団連新産業・新事業委員会(共同委員長:出井伸之ソニー社長、高原慶一朗ユニ・チャーム社長)の企画部会(部会長:鳴戸道郎富士通副会長)では、98年2月よりヘルスケアビジネスワーキング・グループ(座長:熊谷巧日興キャピタル常務)において、医療福祉サービスの質的量的拡充に民間企業が寄与する方策について検討を行なってきた。これまで、実際にヘルスケアビジネスに取り組んでいる民間企業から、事業内容、今後の課題、環境整備のあり方などについて意見をきくとともに、政府、地方公共団体、学者等とも意見交換を行ないながら、掘り下げた検討を進めた。この間、99年9月には検討状況を整理した「中間整理」を公表し、パブリックコメントを求めた。

寄せられたご意見等を踏まえつつ、このたび報告書という形でとりまとめた次第である。


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