異業種による銀行業参入、インターネット・ATM等非対面取引を専門に行う業務形態等、新たな形態の銀行設立の動きが始まっている。こうした動きは、金融技術の革新、競争促進等を通じて、わが国金融の活性化や利用者利便の向上等に寄与すると期待され、基本的に歓迎すべきものである。
一方、新たな形態の銀行業についても、通常の銀行と同様、銀行法上要請されている銀行業務の健全かつ適切な運営の確保が必要である。今般、金融再生委員会・金融監督庁が、新たな形態の銀行業に対する現行法令下での免許審査・監督上の対応について「運用上の指針(案)」として策定し、パブリックコメントに付したことは、こうした要請に迅速かつ公正・透明に応えようという取り組みであり評価される。
今回、公表された「運用上の指針(案)」は、概ね適切であり、基本的にこの内容で速やかに決定すべきである。
以上の他、経団連における検討においては、「運用上の指針(案)」の個別の論点をめぐって、次のような意見が出されている。
免許付与後において、事業親会社等の事業戦略における子銀行の位置付けに変化がある場合は、子銀行が、監督当局に対し、その理由等を含め速やかに報告するように求めるべきである。
子銀行に対し、グループ内の事業会社への大口信用供与に係る事前規制を厳格に課すべきである。
個人情報保護基本法の成立をまって、諸外国の個人情報保護法制の運用状況等も踏まえつつ、顧客情報の相互利用について、運用の見直しを検討すべきである。
経団連における検討においては、現行法令を前提とした「運用上の指針」の策定とは別に、銀行法等関連制度の見直しの課題として、次のような意見が出されている。
免許審査・監督における透明性の向上を図る観点から、政省令等に定める審査基準等をできる限り具体的なものとする必要がある。
監督当局に、
銀行の業務範囲をめぐっては、「『規制緩和推進3か年計画(再改定)』に盛り込まれた項目にとどまらず、金融審議会等において検討すべきである」との意見が銀行を中心に出されている。他方、「業務範囲の一層の拡大は、銀行業務の健全かつ適切な運営のみならず、他業態や事業会社との競争上の平等にも大きな影響を及ぼす惧れがあり、慎重な対応が必要である」との意見も出されている。