[経団連] [意見書]

産業廃棄物最終処分量削減目標の達成状況について

―経団連環境自主行動計画 第3回フォローアップ結果(廃棄物対策編)―

2001年1月30日
(社)経済団体連合会

  1. これまでの取組み
    1. わが国産業界はかねてよりリサイクルの推進、廃棄物の排出抑制に取組んできた。経団連では、1990年より主要14業界(後に15業界に拡大)の協力を得て、「主要業界における廃棄物対策への取組み状況」を毎年調査、公表し、産業界の自主的取組みの一層の推進を図ってきた。
      さらにそうした取組みを強化・充実すべく、1997年に経団連環境自主行動計画を策定するにあたって、あわせて廃棄物対策に関する自主行動計画を作成することとした。自主行動計画の廃棄物対策分野には35業種が参加し、それぞれの業界毎にリサイクル率、最終処分量などの数値目標ならびにその達成のための対策を明らかにするとともに、業界毎の取組みの推進状況を毎年定期的にフォローアップすることで、継続的かつより一層積極的に廃棄物対策に取組んでいくこととした。かかる方針の下に、1998年には自主行動計画の第1回フォローアップを行ない、業種毎の対策の進捗状況を取りまとめて公表した。

    2. 1999年に入り、最終処分場のひっ迫やダイオキシン問題等を契機とする国民の廃棄物問題への意識が高まる中、産業界として循環型社会の推進に向けて取組みを一層強化することとした。そこで、第2回フォローアップ(1999年4月に各業種へ要請)の実施にあたり、産業界の自主的取組みの成果を社会にわかりやすく提示するために、各業種毎に産業廃棄物最終処分量の削減目標を設定するよう要請するとともに、産業界全体の削減目標を設定することを決定した。その結果を、下記の通り、各業種毎の取組み、産業界全体の実績と併せて1999年12月に公表した。

      【産業界全体の目標】

      産業界として2010年度における産業廃棄物最終処分量の目標量を1500万トン(1990年度比25%)に設定する。また2005年度の中間目標を2100万トン(1990年度比35%)とする。なお、これら目標は、その達成状況や社会経済情勢の変化等を踏まえて、必要な見直しを行う。

      (参 考)

      1999年9月末に策定された政府の廃棄物削減目標では、2010年度の産業廃棄物最終処分量を3100万トンと設定し、1996年度(基準年度)に対し約50%の削減を目標としている。因みに、経団連の目標(1990年度比75%削減)を、1996年度(推計値)比でみると2010年度は約70%の削減となる。


  2. 1999年度実績(参加28業種の産業廃棄物最終処分量)
    1. 今回のフォローアップには28業種(注1)が参加した(個別業種毎のページ (PDF) を参照)。前回に比較し、2業種(鉄道車輌、清涼飲料)が新たに加わった。28業種からの産業廃棄物最終処分量は、基準年である1990年度でみると、わが国全体の産業廃棄物最終処分量の70%近くをカバーしている(注2)
      1999年度の産業廃棄物最終処分量実績は2407万トンとなり、1998年度実績の約32%減となった。また、この結果、1990年度(基準年)実績の6124万トンに比し約60%減少していることが明らかになった。

    2. これにより、産業界の産業廃棄物最終処分量削減に向けた自主的取組みが1999年度においても進展しており、その成果が着実にあがっていることが確認された。この最終処分量の減少傾向は、1990年度以降続いている。

    3. なお、今回より、産業廃棄物の最終処分量を統一的な指標としつつも、加えて、事業系一般廃棄物対策や使用済み製品対策についても個別業種毎に記述することとした。事業系一般廃棄物対策や使用済み製品対策等については、統一的な目標は定めていないが、循環型社会の推進に向けた産業界の自主的取組みとして重要な役割を担っている。上記の28業種以外の業界(注3)については、そうした自主的取組みを中心とした記述となっている。

      (注1)
      産業界全体の産業廃棄物最終処分量を算出するにあたり対象となった業種:電力、ガス、石油、鉄鋼、化学、セメント、製紙、自動車部品、電機・電子、自動車、建設、鉱業、板硝子、ゴム、電線、アルミ、製薬、ビール、伸銅、石炭、精糖、産業機械、造船、鉄道車輌、牛乳・乳製品、製粉、ベアリング、清涼飲料の28業種。鉄道車輌、清涼飲料の2業種が新規参加。
      (注2)
      28業種の1990年度実績値6124万トンは、同年度のわが国全体の産業廃棄物最終処分量8900万トン(厚生省調べ)の68.8%。なお、経団連の数値には、わが国全体の産業廃棄物排出量のそれぞれ約18%を占める上下水道業からの産業廃棄物(主として汚泥)、農業部門からの産業廃棄物(動物のふん尿等)は含まれていない。
      (注3)
      工作機械、貿易、百貨店、損害保険、航空、不動産、通信、住宅、鉄道の9業種。ただし、住宅については、建設と重複するため、建設の数値の内数としている。

  3. 今後の方針
    1. 2000年に成立した循環型社会形成推進基本法、改正廃棄物処理法、資源有効利用促進法(改正リサイクル法)の施行等により、産業界のみならず、国・地方公共団体や消費者といった循環型社会の構成主体の廃棄物問題への意識がより一層高まっていくことが期待される。循環型社会の推進がますます重要な課題となる中、産業界としては、それら法制度の動きを睨みつつ、創意工夫を活かした自主行動計画の着実な実行により、3R(リデュース、リユース、リサイクル)へ一層積極的に取り組み、引き続き産業界全体としての統一目標の達成に努力していく。

    2. なお、産業界の3Rへの取組みを進めていく上で、ハード(リサイクル施設、最終処分場等の整備促進)、ソフト(規制緩和の推進等)両面にわたる環境整備が重要である。経団連では先に、政府・地方公共団体・産業界一体となって廃棄物関連諸施設の整備を進める「新資源産業センター」(注4)構想を提案したが、引き続き実現に向け働きかけていきたい。

      (注4)
      2000年10月に開催された政府の「産業新生会議」において、経団連が提案した循環型社会の構築に向けた新しい基盤整備構想

      【産業界全体(28業種)からの産業廃棄物最終処分量】
      1990年度実績※1996年度実績※1998年度実績1999年度実績2005年度目標2010年度目標
      6124万トン5223万トン3545万トン2407万トン2100万トン
      以下
      1500万トン
      以下
      100%85.3%57.9%39.3%35%25%
      ※ 一部の業界は推計値

      (単位:万トン) 
      産業界全体(28業種)からの産業廃棄物最終処分量

  4. 目標達成に向けての対策
  5. 主な対策として、以下のものがあげられている。(例示)

    1. 発生抑制(リデュース)
      原料転換に伴う製造工程の改善による排水処理汚泥・廃タール等の削減、設計段階でのリサイクル性評価(取外し容易性、分解容易性、再生・修理容易性、材料再利用容易性)の実施、建造物の長寿命化、製造段階での使い捨て補助材や端材の発生削減、品質・流通管理による製品不良率低下ならびに製品廃棄処分の削減。

    2. 再使用(リユース)
      梱包木材の梱包材としての再使用、バッテリーの再生利用。

    3. 再資源化(リサイクル)
      石炭火力発電から排出される石炭灰の有効利用、スチール缶の再資源化、製鋼スラグの再資源化、ダスト・スラッジ類リサイクル設備の新規稼動、再資源化物の用途拡大のための他業界との連携、建造物解体工法の改善と開発、リサイクル製品の規格化、廃タイヤの燃料利用、土地造成・路盤材・セメントの混和材としてのボタ再利用、坑内採掘跡への充填材や路盤材としての石炭灰再利用、他業界等との連携による鉱さい類の原材料化、副産物等の飼料化・肥料化、梱包木くずの燃料利用、コンクリート電柱の路盤材化。

    4. その他
      環境負荷の少ない資機材やリサイクル製品等の購入、社内・工場内分別収集、グリーン調達。


廃棄物対策自主行動計画 ─ 個別業種版 ─ (PDF、全56ページ)

2000年度 産業廃棄物最終処分量削減目標の達成状況について
―経団連環境自主行動計画 第3回フォローアップ結果(廃棄物対策編)【要約版】―


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