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福島県における核燃料税増税案について

2002年7月1日
(社)日本経済団体連合会

 福島県における核燃料税条例の更新にあたり、現行の2.4倍(当面1.9倍)に相当する大幅な増税案が議会に提出された。
 日本経団連では、かねてよりわが国経済の活性化や産業の国際競争力の強化に資するエネルギー政策、地方税制改革を求めている。
 今回の提案は、わが国のエネルギー政策の方向性や公平・活力・簡素といった税制の基本原則からも容認し難い内容であり、慎重な検討が必要である。

  1. 電力コストの引き下げは、わが国産業の活性化、国際競争力強化のために必須の課題である。また、地球温暖化対策や安定供給確保の観点から、エネルギー自給率の向上や化石燃料以外のエネルギーへの転換の必要性がエネルギー政策基本法においても盛り込まれたところである。さらに、京都議定書の目標達成に向けた最も現実的な選択肢である原子力発電の着実な推進は、わが国のエネルギー政策の基軸である。今回の核燃料税の大幅増税案はこれらの趣旨に逆行するものである。

  2. 地方自治体の独自課税は慎重に行われるべきであり、納税者の受益と負担の選択の下に行われることが基本である。また、エネルギー政策基本法においても、国の施策との整合性を維持することとされており、当該課税に関しては、納税者に対する事前の説明や協議を十分に尽くすべきである。

  3. 選挙権のない法人に対する安易な課税強化は、かえって住民の参加意識を低下させ、地方分権の本旨に背くものである。

  4. 今回の提案は、従来の核燃料価額への課税に加え、核燃料重量へ新たな課税を行うものであり、税制の簡素化の観点から問題が多い。

以  上

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