[ 日本経団連 ] [ 意見書 ]

金融システム安定化とデフレ対応策の早期実施を要望する

2002年10月7日
(社)日本経済団体連合会

90年代以降の数次の対策にもかかわらず、経済の低迷と金融システム不安の悪循環が続いている。こうした中、これまで世界経済を牽引してきた米国経済の先行き不透明感が高まっており、株価の大幅下落の影響と相俟って、事態を一段と深刻化させ、構造改革の着実な推進の妨げとなる惧れが強まっている。
現下の情勢に活路を開くには、不良債権処理の加速に加え、背景にある産業再編の遅れや資産デフレの解消を強力に推進する必要がある。併せて、雇用不安、倒産に伴う混乱を回避するため、セーフティネットを整備・拡充すべきである。
今般の内閣改造を機に、政府が、日本銀行と連携を強化しつつ、総合対策の検討に着手したことは評価される。新内閣が、下記の施策を含む総合対策を早急に決定し、迅速に実施することを強く要望する。

1.不良債権処理の加速

金融システムの安定化と産業再生が、経済活性化の前提である。不良債権処理を加速するため、検査・考査、不良債権処理ルール等の枠組みを厳格に適用し、結果によっては公的資金を活用して、不良債権問題の抜本的解決を急ぐ。
同時に、整理回収機構(RCC)の企業再生機能の強化、不良債権を含む資産の流動化促進、政策金融の見直し等を推進する。

2.事業再構築・産業再編の促進

企業の壁を越えた事業再構築・産業再編、非効率な設備の廃棄と最新設備の導入等を促進するため、関連法制及び税制を整備・拡充する。併せて、グローバルな競争激化に対応し、企業結合規制を大胆に見直す。

3.資産デフレ対策の推進

株式市場の活性化を図るため、譲渡益の非課税化、あるいは課税の大幅な簡素化を、年次改正を待つことなく実施する。土地・住宅についても、土地流通課税の整理・合理化、固定資産税負担の軽減、住宅投資促進税制の抜本的拡充等の措置を講ずる。

4.セーフティネットの整備・拡充等

雇用保険について重点化・効率化を通じ、真に給付を必要とする失業者への安定的給付を確保するとともに、民間活力による雇用移動の円滑化や新規雇用の創出に向け、大胆な規制改革を推進する。同時に、競争力がある中小企業等が、資金調達面で困難に陥ることがないよう、必要な措置を拡充する。

以 上

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