[ 日本経団連 ] [ 意見書 ]

株券不発行制度に関する基本的な検討事項に関するコメント

−法制審議会会社法(株券の不発行等関係)部会第3回会議提出資料−

2002年11月20日
(社)日本経済団体連合会
 経済法規委員会 企画部会

株券不発行制度の導入については、2001年4月18日に公表された中間試案において、定款自治による株券不発行制度の導入について意見照会がなされ、日本経団連は賛成意見を表明した

今般、法制審議会の部会において、不発行を一斉に導入する制度が新たに提案されたため、これについてさらに検討した結果、不発行を導入するのであれば、公開会社については一斉に不発行とすることで株券の回収を不要とすべきことを要望したい。

個別の会社で考えた場合、不発行制度導入の際に株券の回収を要するとすると、公開会社では莫大な費用が必要となるため、導入に消極的にならざるを得ず、不発行制度を選択するのは事実上新規の公開会社のみとなる可能性が高い。また、定款自治により各社が段階的に不発行に移行する場合には、新しい振替システムと現行の保管振替システムを併存させることになるため、国民経済上、二重投資になるとともに、不発行を先行して導入した会社が過重なコストを負担することになるおそれがある。一方、株主の立場で考えた場合も、市場等で取引される銘柄について一部の会社は券面が必要で、一部の会社は券面があっても無効というのはかえって混乱のもととなる。

また、基本的考え方として、株券の不発行制度は、証券決済制度改革の中の証券無券面化の総仕上げであり、円滑な証券取引のための国民的インフラであるから、会社機関のあり方等とは異なり選択制にはなじまないといえる。

なお、施行期日は各社の決算期にかかわらず政令等で特定の日付を定めるべきである。ただし、新しい振替制度を運用するシステムの構築には相応の期間を要すると考えられるため、これを見込んだ期日の設定が必要である。そして、施行期日に向けては、発行会社において株主の理解を得られるよう最大限の努力を行うことはもちろんであるが、証券会社は顧客である投資家に十分に説明し、証券保管振替機構は、大手金融機関等が保有する実際に流通できない大券の預託促進など預託率の向上を進め、また政府も国民に対する広報活動を行うなど、各関係者においても最大限の協力をお願いしたい。

以 上

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