[ 日本経団連 ] [ 意見書 ]

パートタイム労働者の処遇問題に関する見解

2003年1月21日
(社)日本経済団体連合会

今般、パートタイム労働者の均衡処遇を意図し、厚生労働省労働政策審議会雇用均等分科会において今後のパートタイム労働政策について議論が行われている。企業は、パートタイム労働者も含め、多様な従業員の働きに応じた公正な人事処遇制度の追求に努力し、仕事の内容・責任、業績・成果などを通じた企業への貢献度を適正に評価する仕組みの整備・充実に取り組みつつある。審議会において検討されているパートタイム労働者についての公正な処遇の考え方は企業の人事処遇管理に深甚な影響を及ぼすもので、これを一律に法律で規制しようとすることは絶対反対であり、また企業が自主的に取り組むべき雇用管理等について行政指導による介入は極力慎むべきである。以下に、パートタイム労働政策などに関する日本経団連の基本的な見解を述べる。

(1) パートタイム労働者の公正な処遇を目指すための企業の取り組みについて

パートタイム労働者の公正な処遇を目指すためには、パートタイム労働者に対する処遇の説明、その雇用管理の改善にあたってパートタイム労働者の意見を聞くための工夫、その苦情の申し出に対する自主的な解決などの取り組みを進めることが必要であり、企業としても真剣な対処が求められる。
こうした努力を着実に積み重ねていくことにより、パートタイム労働者の雇用管理の改善が進み、公正な処遇の実現につながると考える。

(2) 職務の内容、意欲、能力、成果等に応じた処遇について

パートタイム労働者についても、職務の内容、意欲、能力ばかりでなく、企業貢献度・成果の向上といった諸要素を適切に処遇に反映させることは企業にとって重要な人事政策のひとつであり、それは企業が自主的に決めるべきことである。特に通常の労働者と同様に、パートタイム労働者の処遇についても企業貢献度の評価の重要性が増していることには留意しなければならない。

(3) 通常の労働者への転換問題について

働き方の選択肢を拡大することは重要であるが、パートタイム労働者の通常の労働者への転換制度を設けることを、法律等で規制することは適当ではない。こうした制度を設けるか否かは企業の自由であり、どのような雇用形態で採用するかは、企業の裁量に委ねるべきである。同種の業務を行うパートタイム労働者に対して通常の労働者の採用にあたって優先的に応募する機会を与える等という現行の指針を変えるべきでない。

(4) 職務が通常の労働者と同じパートタイム労働者の取扱いについて

同じ職務、同様の雇用管理の実態を基準に通常の労働者とパートタイム労働者との均衡処遇を求めることは、外形的な基準のみで一律的に処遇の均衡を求めることになり、問題である。なにより企業・職場の実情に即し、貢献度を個別、仔細に評価すべきである。
基本的に、従業員の人事労務管理、処遇は企業労使が自主的に決定すべきことであり、その内容について法律等で規制を設けるべきではない。また、多くの企業が現在、人事労務管理について見直しに取り組みつつある中で、短時間就労者の処遇改善という結果とならざるをえない規制を設け、行政指導を強化しようとする姿勢には反対する。通常の労働者の処遇方式の見直しが最優先の課題である。

以 上

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