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米国企業改革法(Sarbanes-Oxley Act)第301条に関する
SEC規則(案)についてのコメント

別紙

(別紙1)

監査役(会)・監査委員会の会計監査人(およびその監査)
に関する権限・義務に関する商法特例法の規定について

1.会計監査人の選任議案等への同意権・議案提出権

監査役会は、取締役が株主総会に提出する会計監査人の選任議案・再任議案・解任議案についての同意権を有している。(商法特例法第3条第2項、第5条の2第3項、第6条第3項)。また、監査委員会は、会計監査人の選任議案・再任議案、解任議案について、その提出権を有している。(商法特例法第21条の8第2項2号)

2.会計監査人の解任権

会計監査人に義務不履行などの理由があった場合、株主総会の決議がなくとも(選任の場合は必要であるにもかかわらず)、監査役会・監査委員会の決議のみで解任できる。(商法特例法第6条の2第1項、商法特例法第21条の36第1項)

3.会計監査人から報告を受ける権利

会計監査人は取締役の不正行為に関して監査役会・監査委員会に直接報告しなければならず、さらに監査役および監査委員会が指名した監査委員は、会計監査人から直接監査に関する報告を受けることができる。(商法特例法第8条第1項、第2項、商法特例法第21条の36第1項)

4.監査報告書に関する権利

監査役会・監査委員会は、会計監査人の監査報告書を直接会計監査人より受領し、監査役・監査委員は監査報告書に関して、直接説明を求めることができる。(商法特例法第13条第1項、第3項、商法特例法第21条の28第1項、第3項)

5.会計監査の方法等に関する監査

監査役・監査委員会は、会計監査人の監査の方法および結果が相当かどうかについて監査しなければならず、監査役会・監査委員会が相当でないと認めた場合、監査報告書にその旨・理由を記載しなければならない。(商法特例法第14条第1項、第3項、商法特例法第21条の29第2項)

*監査委員会に関する規定は、2003年4月1日から施行。
以 上

(別紙2)

監査役(会)の取締役会からの独立性について

下記の通り、商法及び商法特例法に基づく監査役は、(1)その選任、解任及び任期について取締役会からの影響が排除され(下記1.)、(2)その資格についても取締役との関係が遮断され(下記2.、3.)、(3)報酬及び監査に要する費用についても自主性を有し(下記4.、5.)、(4)また監査の基本的事項を決定する自主的な組織を有することから(下記6.、7.)、監査役(会)は、取締役会から「独立」している。
特に、下記2.、3.は、独立性の基準(standards for the independence)として考えることが可能である。

1.監査役の選任・解任及び任期について

監査役は、取締役会とは別個の機関である株主総会によって選任される(商法280条第1項・254条第1項)。全監査役で構成される監査役会は、取締役が株主総会に提出する監査役選任議案に関し拒否権を有し、また監査役選任を株主総会の議題とすること及び監査役候補者を特定して、取締役に対し、監査役選任議案を株主総会に付議することを請求することができる(商法特例法18条第3項)。また各監査役も、監査役の選任に関して意見を述べることができる(商法275条ノ3)。
同様に、監査役は、株主総会によってのみ解任され(商法280条第1項・257条)、解任に際して監査役は意見を述べることができる(商法275条ノ3)。また監査役を辞任した者はその後最初の株主総会に出席し意見を述べることもできる(商法275条ノ3ノ2)。
監査役の任期は4年であり、取締役の任期(2年)より長期間となっており(商法273条第1項)、この任期は、取締役会の決議によってはもちろん、定款によっても短縮することは出来ないと解されている。(注)

(注)江頭憲治郎「株式会社・有限会社法(第2版)」(有斐閣、2002年)395頁参照

2.取締役等との兼任禁止

監査役は、会社若しくはその子会社の取締役、執行役、若しくは支配人その他の使用人を兼任することが禁止されている(商法276条、商法特例法18条第4項)。

3.社外監査役

監査役は3人以上必要であり、かつそのうち1人以上(平成17年5月以降は、その半数以上)は、その就任前5年間(平成17年5月以降は、その就任前に)会社又は子会社の取締役、執行役又は支配人その他の使用人でなかった者(平成17年5月以降は、これらになったことがない者)(社外監査役)でなければならない(商法特例法18条第1項)。

4.監査役の報酬

監査役の報酬は、取締役の報酬とは別個に、定款又は株主総会決議で定めなければならない(商法279条第1項)。また、監査役は、監査役の報酬について意見陳述権が認められている(商法279条第3項)。

5.費用支払請求権

監査役が職務の執行につき費用の前払いを請求したときは、会社は、職務の執行に必要でないことを証明しない限り支払を拒むことが出来ない。監査役がその費用を立替払いして会社に対し、支出した費用及び利息の償還を請求した場合、監査役がその費用につき負担した債務を自らに代わり弁済するよう会社に請求した場合も同様である(商法279条ノ2)。

6.監査役会の設置

監査役会は、監査役全員で構成され(商法特例法18条第1項)、監査の方針、会社の業務及び財産の状況の調査の方法その他の監査役の職務の執行に関する事項を定めることができる(商法特例法18条の2第2項)。

7.常勤監査役

監査役はその互選をもって常勤監査役を定めるものとされている(商法特例法第18条第2項)。

以 上

(別紙3)

監査役・監査委員の監査法人の報酬に関する権限について

商法又は商法特例法上、監査役・監査委員が職務の執行につき費用の前払いを請求したときは、会社は、職務の執行に必要でないことを証明しない限り支払を拒むことが出来ないものとされ、監査役・監査委員がその費用を立替払いして会社に対し、支出した費用及び利息の償還を請求した場合、又は監査役・監査委員がその費用につき負担した債務を自らに代わり弁済するよう会社に請求した場合も同様であるとされており(商法279条ノ2、商法特例法第21条の9第4項)、本規定の対象となる費用は、監査役自身が実地調査などに要する費用、訴訟提起に必要な費用等のほか、補助者として弁護士・公認会計士等を依頼する、監査役スタッフを雇用する等の費用も含まれるとされている。(注)

(注)江頭憲治郎「株式会社・有限会社法(第2版)」(有斐閣、2002年)404頁、427頁参照
以 上

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