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魅力的で信頼される国債市場の発展に向けて 参考

用語解説


新しいレポ取引(新現先取引)の導入

現先取引とは、一定期間後に一定の価格で買い戻す(売り戻す)ことをあらかじめ合意した上、債券等を売却する(買い入れる)取引を言う。2001年4月から導入された新しい現先取引においては、グローバルスタンダードに合致した取引手法が採用された他、取引期間中のリスク管理の仕組みや、取引相手が債務不履行となった場合の取り扱いが整備され、取引の安全性及び利便性が向上した。

買入消却

買入消却とは、満期を迎えていない国債を発行当局が市中金融機関から買い戻して消却することである。証券システム改革法及び改正国債証券買入銷却法により、国債の整理の円滑な実施のために必要があると認められる場合に実施可能となり、2003年2月より買入消却が開始された。

競争入札比率の引上げ

10年債は2002年3月まで、各月の発行額の60%について、シ団メンバーによる競争入札を行い、残る40%についてはシ団メンバーが競争入札部分の平均落札価格により固定シェアで引受けていた。競争入札比率は、2002年5月債より60%から75%に、2003年5月債より80%に引上げられた。

金利スワップ

金利スワップとは、異なる種類の金利(固定金利と変動金利)の支払いを、一定期間にわたって相互に交換する取引である。証券システム改革法及び改正国債整理基金特別会計法により、国債に関して行うことが可能となった。金利リスクのより適切な管理を行うことを目指して、導入に向けた準備が進められている。

国債管理当局(Debt Management Office)

例えば、イギリスにおいては、財務省から独立した債務管理庁(DMO:Debt Management Office)が設置されている。DMOは、財務省が策定する年間発行総額、買入消却限度額などの基本指針の範囲内において、国債発行事務及び国債管理政策を担う。

国債決済のRTGS(Real Time Gross Settlement)化

従来、日銀による国債決済の殆どは「時点ネット決済」、すなわち、一定の時刻まで振替の指図が蓄えられ、その時点で受払い差額を受け渡す方式によって処理されていたが、2001年1月4日より、RTGS(Real Time Gross Settlement、即時グロス決済)方式、すなわち、振替の指図を一件ごとに直ちに実行する決済方式に改められた。

国債市場懇談会

市場関係者及び有識者から、財務省が直接かつ継続的に意見を聴取することを目的として、2000年9月より、国債市場懇談会が開始された。メンバーは、一定額以上の落札シェアを有する金融機関により構成されている。

国債清算機関

国債清算機関とは、国債に係る決済を一括してネット決済するための機関である。国債清算機関への出資の意向を持った会社17社(行)により、2002年11月に設置された「国債清算機関設立準備委員会」において、2003年3月、株式会社形態で清算機関を創設することが決定された。現在、2004年度の設立に向け、日本証券業協会において検討が進められている。

国債投資家懇談会

国債を保有・運用する投資家及び有識者と、財務省が直接かつ継続的に意見交換を行うことを目的として、2002年4月より国債投資家懇談会が開始された。メンバーは、銀行各業態、生・損保、農林中金、農協により構成されている。

個人向け国債

2003年3月より発行が開始された個人向け国債は、償還期限が10年、変動金利制(利率は利子計算期間開始時の前月の10年固定利付債の入札における平均落札金利から0.80%を差し引いた値とし、下限は0.05%)であり、発行から1年以後、いつでも中途換金が可能である。また、最低購入単位は1万円(他の国債は5万円)である。

シ団引受手数料引下げ

2002年5月債より、国からシ団メンバーである引受金融機関に対して支払われる引受手数料が、額面100円あたり63銭から39銭に引下げられた。

ストリップス債

2003年1月27日以降、発行される全ての固定利付債がストリップス債(STRIPS : Separate Trading of Registered Interest and Principal of Securities)とされ、固定利付債の元本部分と各利札部分を分離し、それぞれ独立して流通させることができることとなった。なお、個人は分離後の元本及び利札を保有することはできない。

中期債の5年利付債への統合

ベンチマーク銘柄を育成する観点から、2001年4月より、4年債及び6年債の発行が停止され、5年債に統合された。

入札から発行までの期間短縮

従来、10年債の入札は発行月の前月の20日頃に行われていたが、発行から入札までの期間を短縮するため、2003年1月以降、発行月の月初めの入札が定例化された。

物価連動国債

物価連動国債とは、物価上昇率に応じて元利払いの額が変動する国債である。米国では1997年より、イギリスでは1981年より導入されている。わが国では現在、2003年度中の発行に向けて、商品設計に関する検討が行われている。

プライマリー・ディーラー制

プライマリー・ディーラー制は、国債発行市場において、比較的少数の特定のディーラーに対し、発行額に対する最低応札割合などの義務を課すと同時に、情報提供等の面で便益を与える制度である。

ボンド・コンバージョン

米国においては、国債の大量保有による銀行の金利リスクを軽減するため、1951年4月より、連銀、商業銀行等が保有する市場性国債を高クーポンの非市場性国債と交換する政策が実施された。

リオープン制度

リオープンとは、新規発行の国債を既に発行された国債と統合し、発行された時点から同一の銘柄として扱うことである。従来は、発行日から第1回利払い日までの期間に応じて初期利子の額が異なるため、初期利子の支払い後まで銘柄統合が行われなかった。しかし、初期利子を常に6ヶ月分とし、経過利子(購入から初期利子の支払いまでの期間が6ヶ月に満たない場合、6ヶ月間のうち保有していなかった期間に相当する利子)を購入者が支払うこととされ、即時銘柄統合が可能となった。

STP(Straight Through Processing)化

STP(Straight Through Processing)とは、約定から決済までの一連の取引処理を電子的に行い、一度入力されたデータを、人手による加工を経ることなく処理することである。

T+0レポ取引

T+0レポ取引とは、約定当日に決済を行うレポ取引である。これにより、翌日以降の決済と比較してより精緻な金利リスク管理を行うことができるため、T+0レポを可能とするシステムの構築が進められている。

WI(When-Issued)取引

WI(When-Issued)取引とは入札前取引である。わが国国債市場においては、現在行われていない。ただし、証券取引法上の有価証券性について疑義が指摘されていることから、金融庁が制度上の環境整備を検討中である。また、2002年11月、日本証券業協会に「WI取引の市場慣行等に関する検討部会」が設置され、WI取引の市場慣行に関する検討が開始された。

以上

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