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「会社法制の現代化に関する要綱試案」についての意見

2003年12月24日
日本経団連 経済法規委員会

本意見は、現段階での日本経団連経済法規委員会での試案に対する意見をとりまとめたものである。今後、法制審議会の審議の進捗をみて、必要に応じ、改めて意見を表明する可能性があることを付記しておく。

法務省ホームページ
http://www.moj.go.jp/PUBLIC/MINJI39/pub_minji39.html

(注:オリジナル文書の丸付き数字は < > で表記)

第1部 基本方針

1 会社法制の現代語化
試案の考え方は国民のニーズに沿うものであり、賛成する。用語・編成とも分かりやすいものとするべきである。
2 実質改正
委員会等設置会社と監査役設置会社との間の不合理な取扱いの相違などを是正すべきであり、規律の不均衡の是正や最近の経済社会情勢の変化に対応するという試案の考え方に賛成する。

第2部 総則関係

1 会社の商号
(1) 商号の登記
試案の考え方は合理的であり、賛成である。これに伴い、定款における会社の目的の記載事項・記載方法について過剰な審査を行う従前の登記実務が改善されるべきである。
(2) 不正競争目的の商号使用
会社に係る不正競争目的の商号使用の差止め等に関する規定(商法20条)については、不正競争防止法により意義が乏しくなっており、むしろ類似商号規制による起業等の弊害が問題となっている。(注)の通り商法21条は維持した上で、商法20条を削除するc案に賛成である。
なお、商法25条3項は強行規定とされ、同項の「不正競争目的」とは、いまだ譲渡人が旧営業を継続していると一般人に誤認させる目的をもって同種の営業をする場合、あるいは譲渡人が譲受人の営業上の得意先を奪おうとするような目的で同種の営業をするような場合とされている。しかし、営業譲渡契約で特約を設け、営業譲渡後も譲渡人は競業避止義務を負わず、同様な事業を継続できるようにするケースもあり、かかる場合、市場において、上記目的を持っていると判断されることもあり得る。かかる場合に譲渡人が25条3項を奇貨として譲渡人に営業を差し控えるように要求することもあり得る。商法25条3項を削除し、不正競争に関する規律は不正競争防止法に委ねるべきである。
2 支店の所在地における登記事項
試案の考え方は合理的であり、賛成である。早急にネットワークを充実させ、支店の登記そのものを廃止し、手続の簡素化と利便性の向上を図るべきである。
3 使用人
(1) 支配人の登記
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
(2) 会社の支配人の競業避止義務等
会社の支配人については、より支配人制度を活用し得るようにする観点から、取締役と同様の競業避止義務のみを負うこととすることに賛成である。この際、代表取締役と支配人兼務取締役との権限の異同が問題となるが、支配人の権限の範囲は取締役会の決定に委ね、その範囲で支配人としての権利を行使することとして整理することが柔軟な支配人制度の活用を可能とし、適当である。
第2部に関するその他の意見
商業使用人に関する規定を会社に適用しないとしても商法43条2項の代理権の制限を善意の第三者に対抗し得ないものとする規定は、取引の安全のために存置すべきである。

第3部 合名会社・合資会社関係

1 合名会社・合資会社の会社類型の取扱い
合名会社と合資会社について、ひとつの会社類型として規律する方向で検討し、現行の規定の不合理・不明確さを解消することに賛成である。
ただし、全員無限責任社員を前提とした合名会社の規定が、合資会社に適用され、かえって使い勝手が悪くなることとならないようにすべきである。
2 一人合名会社
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
3 法人無限責任社員
会社が他の会社の無限責任社員になることができないとする規定は、廃止するという試案の方向を支持する。任意組合の組合員に法人がなれることと整合性がない一方、合弁事業において、合名会社・合資会社を活用するニーズがあるからである。
社員である法人が業務執行者となる場合の規律については、当該無限責任社員たる法人の対外問題としては、委任、表見代理等の一般的な法理で処理でき、自然人と異なる規律をおく必要性はない。なお、対内問題については、当然当該法人の自治に委ねるべきである。
4 株式会社への組織変更
株式会社への組織変更を認めることは、合理的であり、賛成である。

第4部 株式会社・有限会社関係

第1 総論

1 株式会社と有限会社の規律の一体化
経営の選択肢が拡大することになり、試案の考え方に賛成である。ただし一体化にあたっては現行制度で可能な事項が制限されるようなことや徒に新たなコスト負担が増加するようなこととならないよう留意すべきである。また、一体化に伴う移行措置についても十分な手当を講ずべきである。
2 譲渡制限株式会社における有限会社型機関設計の選択的採用
柔軟な機関設計を可能とすることに賛成である。
ただし、債権者保護の観点から、どのような機関選択をしている会社なのか、役員はどのような権限・責務を有しているのか、商号・役職名等により容易に分かるようにすべきである。

第2 設立等関係

1 最低資本金制度
(1) 設立時における払込価額規制
効率的なグループ編成のための分社化や起業など、会社は多様なニーズによって設立され、必要とされる資本の額は、事業の規模や性格、取引先等の関係者の求める信用力などによってさまざまである。株式会社・有限会社の設立に際して払い込むべき金銭等の価額(設立要件としての最低資本金)を一律に設定する最低資本金制度については、規制を設けないものとするc案に賛成である。
(注)に示された会社関係者の責任の強化等の措置については、法人格の濫用を防止する措置としては効果が乏しく、起業の妨げのような弊害の方が大きいと考えられるため、反対である。
(2) 剰余金分配規制
会社債権者を保護し、会社経営の安定性を確保する観点から試案の考え方に賛成である。
ただし、分配できないものとするのは、 純資産額が一定額(例えば300万円)未満の場合とする。
(3) 表示規制
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
2 払込取扱機関
払込取扱機関への金銭の払込があることについて、現行の払込金保管証明によることは手続が煩雑であり、残高証明によっても同様の機能を期待できるため、試案の考え方に賛成である。(注2)についての検討も前向きに進めるべきである。
3 募集設立
募集設立の方法は存置すべきであり、試案の考え方に反対である。
設立時に多くの出資者がいる場合には募集設立は有用であり、特に外国法人を出資者とする場合には、発起設立は必要書類(印鑑証明書に代わる署名証明書)を揃えるのに時間がかかり、発起人とすることが困難である。募集設立を存置しても考えられる弊害は小さい。
4 設立時の定款記載事項
(1) 株式会社の設立時の定款記載事項
(2) 発起人の引き受ける株式に関する事項
(3) 有限会社の定款記載事項
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
5 事後設立
(1) 検査役の調査
事後設立は会社成立後の一般的な取引を対象としており、検査役調査により事業を中断することは会社経営に大きな影響を与える。円滑な組織再編等を実現する観点から、試案の考え方に賛成である。
(2) 事後設立規制の適用範囲
事業・組織再編の制約とならないよう、事後設立につき株主総会の決議の要否を画する基準は緩和されるべきである。
6 現物出資・財産引受け
(1) 検査役の調査を要しない場合
<1> 少額特例
最低資本金を撤廃ないし引き下げるという中で資本の大きさに連動して検査役の調査を要しない範囲を画することは妥当ではない。試案の考え方を支持する。一本化する金額の基準としては、事後のてん補責任によっても十分賄い得る1000万円程度とすべきである。
<2> 市場価格のある有価証券
試案の考え方が合理的であり、賛成である。
なお「市場価格のある有価証券」に、日本証券業協会が指定し、気配を公表するグリーン・シート銘柄の株式や日本証券業協会が公表する基準気配のある公社債も「市場価格のある有価証券」に含まれることを確認したい。
<3> 会社に対する金銭債権
現行実務では新株発行価額は債権の券面額を基準として出資がなされており、少なくとも履行期が到来している会社に対する金銭債権については、当該債権額で出資をすることが合理的である。試案の考え方に賛成である。
(2) 現物出資等に関する関係者の責任
試案の考え方が合理的であり、賛成である。
また(注1)の過失なき現物出資者が事後的に責任を問われた場合の出資の取消権については、過失なき現物出資者に対し、過酷な事態から回避する機会を与えるため、これを認めるべきである。

第3 株式・持分関係

1 株式等の譲渡制限制度
(1) 株主・社員間の譲渡に係る取扱い
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
なお、商法204条ノ3により、買受人と指定された者が売渡請求をなす場合には「最終の貸借対照表」により決定される額を供託しなければならないが、新設会社の場合、そのような貸借対照表が存在しないため、その場合の手当を講じることを併せて検討すべきである。
また、株主総会を承認機関とする場合には、商法204条ノ2第5項については、2週間以内の通知の期限を伸長すべきである。
(2) 譲渡制限に係る定款記載事項
試案の考え方に賛成である。
<2>の相続・合併等の譲渡以外の事由による株式・持分の移転については、定款の定めがなくても承認の対象とすべきである。
(3) 一部の種類の株式についての譲渡制限の定め
一部の種類の株式について譲渡制限の定めをすることは、普通株式への転換権付譲渡制限株式を利用した従業員に対するインセンティブ・プラン(リストリクテッド・ストック)、敵対的買収の予防措置(ポイズン・ピル)などに有効であり、一定の優先株式に譲渡制限をしたいといったニーズにも対応できる。多様なニーズに対応できる試案の考え方に賛成である。
(4) 取得者からの承認手続と名義書換手続
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
2 市場取引等以外の方法による自己株式等の買受手続
(1) 買受手続
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
なお、定款規定に基づく取締役会決議による自己株式買受けにおいても、同様の方法による取得を可能とすべきである。
<1>の(注)にある一回の買付けにおける買受け株式の数等に条件を付することについては株主総会で定めてもよい事項とすべきで、必ず定めなければならない事項とすべきではない。
(2) 特定の場合における手続の特例
<1><2><3>について、試案の考え方は合理的であり賛成する。
<4>の市場価格のある株式を市場価格で買い受ける場合には、少なくとも一定の量的制限を設けることとすれば、会社財産や株主の利益を害するとはいえず、総会の普通決議で承認しうるものとすべきである。また同様の趣旨から、市場価格を下回る買付けも可能であることを明らかにすべきである。
<5>の現行法で認められている場合及び<1>から<4>までに掲げる場合以外で、特例により自己株式の取得を認める場合としては、担保権の実行による自己株式の取得など正当な権利の行使の結果として取得する場合、いわゆる買受株式(一定条件で買い受けることとしている種類株式)の場合、従業員持株会など予め定めた特定者から取得する場合について認めるべきである。これらの場合においては取締役会決議等にはよらず、代表取締役・代表執行役の業務執行として行うことができるものとすべきである。
3 自己株式に係る株主の権利の内容
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
4 子会社による親会社株式の取得
試案の考え方は、ニーズに対応したものであり、賛成である。なお、<1>の割当株式については、相当の時期に処分しなければならないとする規制は適用しないものとすべきである。
しかし、そのような措置を講じても、<1>救済等目的の株式の買増しにより子会社となった会社が、新たな親会社の株式を保有していた場合、<2>子会社が親会社に対して有する債権が、親会社の再建等を目的とする多数当事者の合意により株式に転換された場合、<3>子会社が親会社の株式を無償で取得した場合、<4>持株会社の株式を子会社である証券会社がいったん引き受けた上で売り出す場合などは取得を禁止すべきでなく、またこれを相当の時期に処分しなければならないとなると、市場の混乱を招来しかねない。(注)で検討することとされている通り、子会社の親会社株式取得禁止規制を一般的に撤廃すべきである。
5 自己株式の市場取引による売却
自己株式の処分については、証券取引法において既発行の株式としての厳しいインサイダー規制、相場操縦規制が課せられている。単元未満株式の買取請求など会社が自らの意思によらず取得した自己株式の処分についても同様である。市場価格を有する自己株式については、会社財産・株主を害するおそれもなく、自己株式を新株発行類似の手続をとらずに市場取引により売却することを認めるべきである。
6 株式の消却
(1) 消却に関する定款規定の設定手続等
会社設立後に普通株式を償還株式に変更するニーズはある。利益による強制消却に関する定款規定の会社設立後の新設又は変更について、一律に総株主の同意を要するものとする試案の考え方は厳格にすぎ、反対である。具体的場合に応じて定款変更で認めることとすべきである。
また、(注2)で示された抽選による株式の消却のように、株主間の公平を害さない強制消却について、定款の定めによらなければならないとする考え方に反対する。
(2) 定款に基づかない強制消却
(3) 授権株式数の変更の取扱い
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
7 種類株式
(1) 有限会社における種類株式に相当する制度
(2) 剰余金分配・議決権等に関する別段の定め
(3) 議決権制限株式等の発行限度
(4) 強制転換条項付株式
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
(5) 種類株式の内容に係る定款変更
取締役会決議に委ねた事項については、定款変更として「みなす」のではなく、取締役会に定款変更の権利を授権していると構成すべきである。
8 法定種類株主総会
(1) 商法345条1項の要件
試案の考え方は、法定種類株主総会の開催要件の明確化を求めるニーズに対応しており、賛成である。
(2) 商法346条の規定による種類株主総会
試案の考え方は、不明確だった種類株主総会開催の要件を、定款自治によって明確化を図るものであり、賛成である。
(3) 議決権制限株主の買取請求権
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
9 端株・単元株
議決権のない単元未満株・端株しか持たない者に会社全体の利益を確保する立場を期待することは実益に乏しく、会社にこれらの者の権利行使に対応する義務を負荷するのは単元株主・株主の権利への対応との衡平を欠く。現行端株制度採用会社と同様、自益権について定款の定めによるという制限を認め、共益権を与えない形((注1)のa案の<1>)で単元株制度と端株制度とを一本化すべきである。
10 議決権制限株主その他の株主の少数・単独株主権等
(1) 議決権基準・株式数基準
(2) 株主総会に関連する少数・単独株主権等
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
(3) 特定の決議事項に関連する少数株主権等
<1>の取締役・監査役・清算人の解任請求権を行使することができる株主の要件については、解任決議が否決されたときにはじめて行使できるものであり、議決権のない株主に認めることは適当ではない。議決権のない株主に解任請求権を与えなくてもこれら株主の合理的な意思に反しないと考えられ、a案に賛成である。
<2>については試案の考え方が合理的であり、賛成である。ただし、定款授権による取締役等の免責については株主総会が原則として開催されないため、いつの時点での株主かを規定上明示することが必要である。
(4) 少数株主権と少数社員権の行使要件
(5) 株主名簿等の閲覧・謄写請求権
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
11 基準日
(1) 基準日後の株主の議決権
定款自治を実効あるものとするためには、実質的な株主の保護を図る必要がある。組織再編・資本増強などの結果、基準日後に株主となった者に対して株主総会での議決権行使を取締役会の判断で柔軟に認めることとする試案の考え方に賛成である。
(2) 新株主の配当起算日
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
12 新株発行及び増資の手続
(1) 譲渡制限株式会社の新株発行手続
(2) 有限会社の増資手続
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
(3) 株式申込証の用紙
試案の考え方は、証券取引法との連携を図った発行会社・投資家双方にとって合理的なものであり、賛成である。
(4) 新株発行等の際の公告・通知
試案の考え方は、証券取引法との連携を図った発行会社・投資家双方にとって合理的なものであり、賛成である。
加えて、<1>新株発行が相場変動により左右される可能性を小さくし、<2>特に海外発行の場合、証券取引法上は臨時報告書の提出のみでよいため届出書の効力発生までの待機期間が不要であることや、<3>差止のための期間としては1週間で十分であるとの観点から、商法280条ノ3ノ2の新株発行の際の公告・通知時期を、払込期日の1週間前に短縮し、証券取引法上の開示が払込期日の1週間前までに行われていれば公告等を不要とすべきである。
13 新株発行無効の訴え等
(1) 提訴期間
(2) 提訴可能期間中の口頭弁論の開始
現行法同様、訴訟の併合がなされるように、裁判所における運営を工夫すべきである。
14 株主に対する通知又は公告の在り方
株主数が多い会社も多いことから、譲渡制限会社において株主に通知すべき事項については、現行法通り、公告または通知で足りるものとすべきである。

第4 機関関係

1 株主総会・社員総会
(1) 株主提案権の行使期限
定款自治に委ねることが適当であり、賛成である。
(2) 招集地
株主・会社の利便性を考慮し、商法233条を削除する試案の考え方に賛成である。
なお、少数株主が裁判所から株主総会の招集許可を得た場合で、定款に招集地の定めのない場合には、本店所在地で開催すること等の措置を講じるべきである。
(3) 総会検査役
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
ただし、総会検査役の調査結果報告書は大部となることが考えられ、総株主に対して行う通知は概要や抜粋にとどめる方法、内容の掲載されたホームページへのアクセスのためのパスワードを交付する方法など、柔軟な手段をとり得るようにすべきである。
(4) 書面投票・電子投票
<1>について、試案の考え方は郵送料・印刷費等のコスト削減に関するニーズに対応し、重複行使防止の観点から合理的であり、賛成である。
また、現実の総会運営上のニーズに対応し、書面投票と電子投票による議決権行使のいずれを有効とするかは実務に委ねること、電子投票による議決権行使を受け付けるべき時間について、「前日の営業時間の終了まで」といった制限をすることが可能であること、株主総会決議のみならず株主総会報告事項についても書面によることが可能であることを明らかにすべきである。
(5) 議決権の不統一行使・代理人の数
(注)の3日前までの議決権不統一行使の通知義務については、総会運営の円滑化の観点から維持すべきである。
(6) 書面決議
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
(7) 特別決議の決議要件
個人株主・外国人株主の増加などに対応して特別決議の定足数を引き下げた株式会社の総会に関する改正の経緯、有限会社に比較して株式会社の定款変更は容易でないことから、a案に賛成である。
2 取締役の資格
(1) 資格制限
株式会社の取締役の資格についてことさら株主であるか否かを示して規定することは意義が乏しく、商法254条2項は廃止すべきである。
(2) 欠格事由
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
3 取締役の任期
譲渡制限株式会社(委員会等設置会社及び取締役会が設置されないものを除く。)の法定の任期を伸長することには賛成する。
また、(注1)の通り、取締役会が設置されない譲渡制限株式会社の取締役の任期については、有限会社の取締役(現行:任期の定めなし)と同様の取扱いをするものとすべきである。
4 取締役の選解任
(1) 累積投票制度
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
ただし、有限会社においては、改正に伴い当然に定款に累積投票排除の規定が置かれるものとする経過措置を講じるべきである。
(2) 解任決議の決議要件
株式会社の取締役の解任決議について一たび選任した以上は任期中の業務執行はその取締役が行うべきである。株主の自治により取締役の任期を1年とすることも可能であり、任期途中での解任を容易にする意義に乏しい。解任決議については現行法通り特別決議とすべきである。
5 取締役会の書面決議
取締役会の決議の目的である事項につき、各取締役が同意をし、かつ、監査役が特に意見を述べることがない場合には、ことさら物理的に対面して取締役会決議を行う必要はない。試案の考え方に賛成である。
6 取締役に係る登記
(1) 共同代表取締役
法的安定性を欠く制度となっており、試案の考え方に賛成である。
(2) 社外取締役
試案の考え方は実態に即しており、賛成である。
また、(注2)の社外取締役・社外監査役の要件の見直しは平成13年改正で制定されたばかりであり、拙速である。今回の改正で見直すべきではない。
(3) 代表取締役等の住所
個人のプライバシー保護の観点から、代表取締役等の住所については登記事項とするものの、その内容は一般的に非表示とし、利害関係人が正当事由を示して申請した場合に限り開示するものとすべきである。
7 取締役の責任
(1) 任務懈怠責任
<1> 商法266条2項・3項に相当する規定の取扱い
取締役の任務懈怠責任(商法266条1項5号にかかる責任)については、委員会等設置会社についてのみ商法266条2項・3項に相当する規定の適用を排除しているため、監査役設置会社との機関選択に中立性を欠いており、会社運営の自治を限定している。これを是正する観点から、<1>についての試案の考え方に賛成である。
<2> 有限会社の取締役の任務懈怠責任の一部免除
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
<3> 株式会社の取締役の任務懈怠責任の一部免除
現行の取締役の任務懈怠責任の一部免除制度においては、責任軽減をしてもなお、代表取締役につき報酬等の6年分以上、取締役につき同4年分以上、社外取締役につき同2年分以上の責任を負わせることとしている。これらは水準として過大な負担であり、水準の引き下げが必要である。また、取締役の過失責任主義のもとでは、社外者か社内者かといった主体によって責任の軽重はありえない。取締役等は報酬等の一律「2年分以上」までの責任を負うこととすべきである。
また取締役会による取締役等の責任軽減については、総株主の議決権の3%以上の異議申立てがあると行うことができないが、これを簡易合併の反対権同様、総株主の議決権の6分の1以上まで引き上げるべきである。
(2) 違法な剰余金の分配に係る責任
<1> 過失責任化
事前の財源規制に違反して剰余金の分配をした場合における取締役の当該分配額に係る弁済責任について、過失がない取締役等の財産を弁済の引当てにするのは、責任を過度に求める構造と言わざるを得ない。しかも委員会等設置会社については、過失責任に修正しており、監査役設置会社との機関選択に中立性を欠いており、会社運営の自治を限定している。試案の考え方に賛成である。
<2> 分配額に係る弁済責任を負うべき者の範囲
会社の計算は複雑化・高度化しており、分配をした取締役以外の取締役が取締役会での説明とその資料によって違法な分配の事情を把握することは困難であり、また立証の責任を負わせることは過大な負担となる。明らかに違法な分配議案について賛成した取締役の責任については、責任を追及する側が立証して責任を問うことが可能であり、分配額に係る弁済責任を負うべき者の範囲はa案の分配をした取締役(分配議案を作成した取締役を含む)の範囲に限るべきである。
(3) 期末のてん補責任
金融商品の時価評価の導入等、資産評価の予見可能性が低くなっている中で、剰余金の分配時には予測し難い資本の欠損が期末に生じる可能性がある。取締役の期末のてん補責任について、試案に示されているように一定の限度を設けるべきである。
(4) 利益相反取引に係る責任
<1> 過失責任化
利益相反取引による損害に係る取締役の賠償責任についても、(2)<1>と同様の趣旨から、試案の考え方に賛成である。
<2> 一般の任務懈怠責任との関係
利益相反取引について一般の任務懈怠責任と区別する特段の理由はなく、a案に賛成する。取締役会の承認を得た取引であっても、各取締役がその取引によって会社に損害を生じさせないように監視義務を果たすべきことは変わらず、一般の任務懈怠責任と区別する理由はない。
<3> 責任の免除の在り方
イ 現行の免責要件の緩和規定の取扱い
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
ロ 責任の一部免除の取扱い
利益相反取引はそれが即会社に損害を及ぼすとは限らず、一方、一部免除規定は取締役の故意重過失の場合には適用されない規定となっており、軽減の合理性・必要性が説明できるものしか対象となっていない。したがって、利益相反取引に係る対会社責任を過失責任化する際の責任の一部免除のあり方については、a案に賛成である。
(5) 株主の権利行使に関する利益供与に係る責任
<1> 過失責任化
会社が株主の権利行使に関する利益供与をした場合における取締役の供与額の弁済責任については、当事者以外の取締役が、巧妙な手口によって仕組まれた利益供与を見抜くことは困難であり、無過失責任を負わせることは過酷である。構成要件も不明確であり、利益供与に係る責任について、過失責任化を図るべきである。
<2> 供与額の弁済責任を負うべき者の範囲
株主の権利行使に関する利益供与に係る行為を取締役会で決議する場合には、利益供与をした取締役以外にその違法性を見抜くことは困難な場合が多い。明らかに違法な利益供与に係る決議について賛成した取締役の責任については、責任を追及する側が立証して責任を問うことが可能であり、責任を過失責任化する際には、供与された額について連帯して弁済責任を負うべき者の範囲については、a案のように利益供与をした取締役に限るべきである。
8 代表訴訟
株主代表訴訟制度に関する経済界のニーズは、<1>株主全体(会社)にとって利益にならない訴訟を訴訟の対象から除外したい、<2>訴訟を早期に終結させたい、<3>取締役個人の訴訟負担を軽減したい、<4>取締役個人で負う損害賠償額があまりに衡平を欠く過酷なものであり、これを軽減したい、というものである。
こうしたニーズに対応して求められる措置は、(1)適切代表の考え方の導入(原告の資格等に関する改正)、(2)事前審査の充実(担保提供命令制度の改正)、(3)取締役等の負担軽減制度の充実(被告の負担軽減に関する改正)である。
(1) 適切代表の考え方の導入
  1. 訴訟を提起できる資格を一単元以上の株式を有する株主に限定する。
    第3の9「端株・単元株」と同様。
  2. 訴訟を提起できる資格を行為時の株主に限定する (試案のロi) 。
  3. 原告株主の主張が株主全体(会社)の利益を代表するものとして相応しいものかどうか、審査する仕組みを導入する。
    1. いわゆる「訴訟委員会制度」の導入(試案のイ)
    2. 会社(監査役会、取締役会、調査委員会等)の見解表明、情報提供に係る機会の付与
(2) 事前審査の充実(担保提供命令制度の改正)
  1. 担保提供命令の審理の一環として会社の見解表明制度を設ける。
  2. 命令の要件である「原告の悪意」(試案のハ)について、「訴えの提起が株主共同の利益を害する場合」などその概念を広義のものと捉えるべきである。
(3) 取締役等の負担軽減制度の充実(被告の負担軽減に関する改正)
  1. 責任軽減制度を改善する。
    第4の7(1)<3>「株式会社の取締役の任務懈怠責任の一部免除」と同様。
  2. 会社が訴訟に関与し、個人での訴訟追行の負担を軽減する。
    1. いわゆる「訴訟委員会制度」の導入(試案のイ)
    2. 会社(監査役会、取締役会、調査委員会等)の見解表明、情報提供に係る機会の付与
ちなみに、訴訟委員会制度の方策が必要と考えられるケースは、例えば、<1>被告が勝訴する蓋然性が高い場合、<2>代表訴訟の追行によって得られる利益より、それによって必要となる他の訴訟等への対応の不利益の方が大きい場合、<3>会社のコンプライアンス・システムの整備が争点になっている場合、<4>全役員が訴えられたような場合、<5>相続人が被告人となった場合である。
9 監査役
(1) 監査役の権限
試案の考え方は合理的であり、賛成する。
(2) 補欠監査役
補欠監査役・補欠取締役について予選することができることを明確化することに賛成である。
その際、通常の取締役・監査役の選任の場合と同様、予選について定款の定めを置く必要はない。
また、予選の効力は被補欠監査役・被補欠取締役の任期の満了の時までとし、実際に補欠者が監査役・取締役に選任された場合、その任期を退任した者の残任期間とすることが合理的である。
10 使用人兼務取締役等
(1) 委員会等設置会社における取締役の使用人兼務
ラインの本部長を兼務する執行役が取締役を兼務するような事態はあり得る。執行役と使用人とがどのような役割分担をするかは会社の自治に属する事項であり、委員会等設置会社において取締役が使用人を兼務することができないということを法定することに反対する。
(2) 委員会等設置会社における使用人兼務執行役の報酬
使用人兼務執行役の使用人として受ける給与等については、執行役等が定めた使用人の給与体系において支払われることとなる。使用人兼務執行役の使用人として受ける給与等について報酬委員会が関与する場合には、使用人の給与体系全体に権限が及ばないよう権限の及ぶ範囲を画するべきである。
11 会計監査人
(1) 会計監査人の設置強制の範囲
<1>の株式会社に係る設置強制の範囲については、株式会社法制と有限会社法制との一体化に配慮する必要がある。現行制度のうち、資本金基準は、債権者など、会計監査人による監査への期待の高い利害関係者の規模を表す指標としては適切とはいえないものとなっている。会計監査人の設置強制、範囲を画する基準は負債額によるものとすべきである。
<2>の大規模有限会社についての会計監査人の設置強制については、(注1)のような現行有限会社に対する十分な経過措置を講じること、<3>の完全子会社の特例を設けること、(3)でc案を設けることが手当てされれば許容できる。
特に、グループ全体を一体のものと捉えて、親会社がグループ全体の効率的な資金と人材の配分を行い、子会社の経営を監督する関係にある完全親子会社関係においては<3>に示されたような完全子会社の特例を設け、会計監査人や常勤監査役、社外監査役の設置義務を見直すなど、会社機関を簡素化できるようにすべきである。<3>に賛成である。
(2) 会計監査人の任意設置の範囲
(3) 会計監査人が設置される場合の機関設計等
経営の選択肢を拡大する上では、新規上場の準備段階にある企業や事業部門が独立してできた子会社などに相応しい柔軟な機関設計とそれに応じた効果を与えるようにすることが望ましい。c案に賛成である。
(4) 会計監査人が不適法意見を述べている場合の措置
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
ただし、法定公告を不要化した際には代替措置の検討が必要である。
(5) 会計監査人の会社に対する責任
会計監査人の会社に対する責任について、いわゆる一部免除制度を導入した上で株主代表訴訟の対象とすることについては賛成である。
(6) 会計監査人の報酬
(7) 会計監査人の欠格事由
(8) 会計監査人の登記
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
12 その他
(1) 重要財産委員会制度
重要財産委員会制度は監査役全員の出席義務を緩和し、監査役会を代表する監査役1名の出席があればよいこととし、また社債発行等、決議事項を拡大すべきである。
(2) 大会社・みなし大会社に係る機関設計
会社の規模や業務内容はさまざまであり、それに適した会社機関のあり方も多様である。経営の選択肢を拡大するため、監査役会と監査委員会との選択制度の導入など、選択的に各委員会や執行役制度を導入できるようにすべきである。

第5 計算関係

1 剰余金の分配に係る規制
(1) 会社財産の払戻しに対する横断的規制
株主に対する会社財産の払戻し並びに利益処分によるその他の金銭等の支払を「剰余金の分配」として整理して、統一的に財源規制をかける、とする試案の考え方に賛成する。 財源規制は債権者のためにあり、また、債権者にとって、「株主に対する会社財産の払戻し並びに利益処分によるその他の金銭等の支払」は、すべて会社の責任財産の減少を意味するからである。
また、<1>に財源規制を課さない取得として「合併、分割会社の営業の全部を承継する分割又は営業全部の譲受けにより相手方の有する自己の株式を取得する場合」が挙げられているが、営業の「全部」でなくとも、分割会社の営業の承継又は営業の譲受けの対象となる営業に帰属するものとして自己の株式を取得する場合については、財源規制を課すべきではない。
さらに、イ、ロに加えて「担保権の実行による自己株式の取得など正当な権利の行使の結果として取得する場合」を加えるべきである。
(2) 現物配当
金銭であっても金銭以外の財産であっても、その価値は変わるところがないため、金銭以外の財産を分配する場合において、特別決議という特別な手続を課す必要はない。とりわけ、米国において会社分割に活用されているスピンオフ(現物配当による会社分割)を剰余金の範囲内で行うような場合には、特別決議という重い手続を課すことは、機動性を阻害する。
(3) 剰余金分配限度額の計算方法
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
ただし、株主総会決議により取締役会に自己株式取得を授権する場合には、当該決議された自己株式の取得額が枠に過ぎないことから、剰余金分配限度額の算定に当たって控除しなくてよいこととすべきである。
(4) 分配可能限度額の算定の基準時等
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
(5) 利益処分等に対する会計監査人の関与
期中における剰余金の分配については、会計監査人に関与させる必要はない。現行の中間配当においても、期中における自己株式取得においても、会計監査人の関与は法定されていないが、特段の弊害は出ていないからである。現行通り、取締役に事後のてん補責任を課していれば十分である。
2 資本・準備金
(1) 資本の組入れ基準
実務に沿った合理的な考え方であり、試案の考え方に賛成である。
(2) 欠損てん補のための資本減少の決議要件
欠損のてん補の資本減少は、取締役会決議により行えるものとすべきである。このような資本減少は、株主の利益を害さない一方、清算的な側面は少ないからである。なお、この場合には、欠損てん補のために行う法定準備金の取崩しについても取締役会決議で行えることとすべきである。
(3) 利益準備金
利益準備金と資本準備金の科目の区別は廃止することを提案していることにつき、両者は、債権者保護の観点からは同じであるが、その由来が異なり、株主に対する情報開示の観点からは、少なくとも会計上は区別して表示することが望ましい。
(4) 準備金の積立
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
(5) 法定準備金の減少額の上限規制
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
さらに、資本金の4分の1まで法定準備金を強制的に積ませる規制を撤廃すべきである。
(6) 自己株式の処分差益の計算上の取扱い
自己株式の処分差益を資本準備金と同様の扱いとすることに反対である。自己株式の売却によっては、会社債権者が害されることはなく、剰余金の分配規制、債権者保護手続を課する必要はないからである。
また、自己株式の処分対価が金銭以外の財産の場合における当該財産の価格の適正さを確保する措置については、現行において特段の弊害が生じていないため、新たに措置を導入する必要はない。
3 組織再編行為の際の資本の部に係る計算関係
(1) 株式交換・株式移転の場合
(2) 資本増加限度額の算定の際の控除額の省令委任
(3) 組織再編行為の際の剰余金の計上
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
(4) いわゆる「合併差損」等が生ずる場合の取扱い
試案は、<1>において、存続会社等において、組織再編行為に際して差損が生ずる場合の規定を置いているが、これが実質的債務超過会社等を消滅会社(被吸収分割会社、完全子会社)とする組織再編を認めたものか確認したい。仮に試案がこれを認めないという趣旨であれば、それを認めるべきである。
子会社救済等において、ニーズが強い一方、実質的債務超過会社等を消滅会社(被吸収分割会社、完全子会社)とする組織再編を認めても、株主総会の決議を経て、かつ、債権者保護手続を経ていれば、何ら弊害はないからである。さらに、例えば、実質的債務超過会社を消滅会社とする合併については、取引行為として実質的債務超過である営業を譲り受けることと同様の経済効果であるにも関わらず、組織法上の行為について、規制を加えることは均衡を欠く。
また、組織再編行為に際して差損が生じる場合でも、当該差損が株主への影響が少ないと考えられる場合には、株主総会の決議を不要とすべきである。
「補足説明」は、「利益処分に準じて・・・常に株主総会の決議を要するもの」としているが、簡易組織再編においては、反対株主の株式買取請求権、反対の株主が一定以上に達した場合に簡易組織再編ができない、という株主保護の手段があり、剰余金の分配と同列に扱うことは適当ではないからである。
また、「差損」が剰余金の範囲内である場合には、取締役会決議で剰余金の分配をできる会社においては、取締役会決議のみで簡易組織再編ができることは当然である。
4 分配機会及び決定機関の特例並びに役員賞与等
(前注1)の分配機会及び決定機関の特例について、試案の方向で賛成である。
(前注2)既に委員会等設置会社である会社については、改めて定款の定めは不要とすべきである。
(1) 分配機会及び決定機関の特例に関する定款の定め
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
(2) (1)の定款の定めがある会社の定時総会
<1>利益処分案・損失処理案
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
<2>定時総会における情報開示
イ 剰余金変動計算書
株主に期中の変動状況を伝える観点から、試案の考え方に賛成である。
(3) 株主からの配当議題提案権
a案に賛成である。定款において株主に対する剰余金の分配を取締役の権限としている会社において、配当について、他の剰余金の分配と異なる扱いとすることは、整合性を著しく欠く。配当に不満な株主は、定款変更や取締役の選解任において自らの意思を反映させればよい。
(4)取締役等に対する財産上の利益の取扱い
役員賞与について、利益処分としないものとし報酬決議の対象とする試案に賛成する。
5 開示・監査関係
(1) 附属明細書
(2) 利益処分案・損失処理案
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
(3) 決算公告
e案に賛成である。実際の取引において、重要と位置付けられておらず、多くの会社で決算公告が行われていない。計算書類の閲覧請求権で十分である。
なお、e案以外を採る場合には、有価証券報告書提出会社であって、EDINET等において当該報告書が公開されている会社には、商法上の決算公告義務を課すべきではない。解説が指摘している通り決算公告よりも詳細な情報が提供されており、かつ、決算公告よりもアクセスがしやすいからである。
第5に関するその他の事項
決算スケジュールについて、商法特例法12条〜14条の決算書類の提出期限など決算スケジュールに係わる条文について、平成14年改正商法施行規則184条『期限についての合意』にあるように、取締役会と監査役会及び会計監査人が合意のもとで期限の変更が可能となるようにすべきである。

第6 社債・新株予約権関係

1 有限会社の社債・新株予約権・新株予約権付社債
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
2 社債総則に関する規定の整理
(1) 社債の発行事項の決定
試案の考え方はより柔軟で機動的な資金調達を可能とするものであり、賛成である。
一定期間中の累積発行総額を定める「シリーズ発行」とともに、一定期間中の未償還残高の極度額を定める「プログラム発行」を可能とすべきである。
加えて「多額の借財」に相当すると評価するに及ばない社債の発行については取締役会決議事項とすべきではない。
なお、新株予約権付社債および新株予約権の発行決議について、弾力的な発行価額の決定が求められている。既に株式については市場価格ある株式を公正価額で発行する場合、発行決議における発行価額は「決定方法」を定めればよいと規定されており(商法280条ノ2第5項)、これに基づきブック・ビルディングが実施されている。新株予約権付社債および新株予約権についても同様の取扱いをすべきである。また、新株予約権の行使価額についても代表取締役への委任を可能とすべきである。
(2) 社債関連規定
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
なお、担保付社債信託法は廃止して会社法に一体化することを検討してはどうか。
3 社債管理会社
(前注)の社債管理会社の資格範囲の見直しについては、次期通常国会における信託業法の改正の内容(事業会社への信託業の開放)を見つつ、引き続き検討すべきである。
(1) 「約定権限」の行使
(2) 社債管理会社の辞任
試案の考え方は合理的であり、賛成である。なお、社債発行コストの増加に繋がることのないように留意すべきである。
(3) 社債管理会社の責任
<1>について、試案の考え方は合理的であり賛成である。
(4) 法的倒産手続における社債管理会社の権限
(5) 債権者保護手続における社債管理会社の権限
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
4 社債権者集会
(1) 決議事項の許可
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
(2) 特別決議の成立要件
社債権者集会の定足数を充足することは極めて困難であり、結果として意思表明の意向のある社債権者の意思をも汲み取れないこととなっている。定足数は廃止し、出席社債権者の総額の3分の2以上であって、総社債権者の総額の「一定割合」以上にあたる債権を有する者の同意をもって決議の成立要件とするa案に賛成である。「一定割合」の内容については、実際の社債権者集会の実態を踏まえた水準とすべきである。
5 一株に満たない端数の処理
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
6 強制転換条項付新株予約権付社債
自己資本充実のための手段としての資金調達ニーズ、公開準備企業の公開前の資金調達ニーズ、株価(時価)とは異なる指標(地震、天候等)をトリガーとして条件設定をし、トリガー発動時に時価を基準として株式に強制転換するニーズなどに応えるため、予め取締役会決議で定めた転換事由が発生した場合には自動的に、または取締役会決議により自動的に、新株を発行できるようにすべきである。試案の考え方に賛成である。
なお、強制転換条項付新株予約権の創設についても検討すべきである。
7 組織再編行為に際しての新株予約権等の承継
(1) 承継の手続
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
(注)の新株予約権付社債に付せられた新株予約権の買取請求のあり方としては、一体型のものについて分離して評価することは困難であり、新株予約権付社債を一体とした買取請求権を設けるべきである。
(2) 株式交換・株式移転の際の新株予約権付社債の承継
試案の考え方は合理的であり、賛成である。既発行分のものについても承継が可能であることを明示していただきたい。
(注)の株式交換により新株予約権付社債を承継する完全親会社となる会社における債権者保護手続については、企業再編手続の円滑化の観点から不要とすべきである。
8 新株予約権付社債の譲渡等
6との関連でニーズがあり、試案の考え方に賛成である。
9 社債の銘柄統合
銘柄統合は社債の流動性を高める手法として欧米市場で一般的に認知されており、投資家にとってはより一層公正な価格形成が期待でき、社債投資の促進が図られる。一方、発行体にとっても社債の発行形態の多様化を通じて資金調達の利便性、社債管理コストの低減化が図られる。試案の考え方に賛成である。
ただし、試案にある当初の社債契約において社債の増額の「上限」を定めることについては、反対である。社債の発行時に将来の追加発行の具体的金額を想定することは容易でなく、実務上、実効性のない数字を規定するだけに終わる可能性もあり、それを開示することは、かえって投資家をミスリードすることになりかねない。将来の銘柄統合の可能性を予め社債権者に周知することは必要であるが、欧米市場でも追加発行する旨の規定がなされているだけで当初より上限を設定する例は見当たらず「上限」は契約上、必ず条件として設けるべきものとすべきではない。
10 社債権者による書面投票制度
社債権者による書面投票制度については、社債権者の意思をより汲みやすくすることとなり、賛成である。(注1)の書面投票により決議できる事項については、制限を設けるべきではない。a案に賛成である。

第7 組織再編関係

1 対価柔軟化
組織再編の効率性・迅速性を高めるとともに、組織再編の促進を通じて、M&A市場を育成し、市場における淘汰を通じて、わが国経済を活性化させるため、組織再編について、対価を柔軟化させるとの試案の提案に賛成である。
なお、株式以外の対価を用いて株式交換を行う際、少なくとも、「差損」が剰余金の範囲内である場合には、債権者保護手続は不要とすべきである。
対価の適正性調査のための制度については、不要である。合併当事者の意思および慣行に委ねても、特に問題は生じないからである。
2 簡易組織再編行為
(1) 簡易組織再編行為の要件
経営資源の選択と集中による効率的な経営を追求する観点から、組織再編の円滑化が必要であり、簡易組織再編行為の要件の基準を、存続会社等の譲受け側については、発行済株式総数の20パーセントに、分割会社については、総資産の20パーセントに、緩和するとする試案に賛成である。また、営業の重要な一部の譲渡についても、同様の理由で簡易な手続を設けることに賛成である。
さらに、営業の全部譲受についても、純資産の20パーセントを簡易要件とするべきである。
ただし、組織再編行為以外の新株発行等について、新たな規制を設けることは反対である。機動的な新株発行が阻害されるからである。新株発行による調達とそれによる新規事業の開始は、「一定の営業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産」である営業の承継や包括承継を特徴とする組織再編とは異なるものであり、同列に扱うことはできない。また、法令・定款に違反する新株発行や著しく不公正な方法による新株発行においては、株主は、差止請求権を行使でき、それを活用すれば、新株発行の濫用は防止可能である。
3 略式組織再編行為
支配関係のある会社間で組織再編行為を行う場合には、被支配会社における株主総会の決議を要しないものとする簡易手続を設けるものとする試案の考え方に賛成である。
その際、「支配関係のある会社間」の定義は、組織再編の株主総会決議に必要な持株要件(3分の2以上)とすべきである。また、対価によって手続を区別する必要性はなく、また、少数株主の保護についても、反対株主の株式買取請求権を付与すれば足りる。
ある株主が新たに9割以上の議決権を保有することとなった場合における少数株主から当該支配株主又は会社に対する株式の買取請求については、株主平等の原則さえ遵守されていれば、当該少数株主の利益が害されることはなく、当該少数株主を優遇する合理的な理由はない。したがって、導入すべきではない。
一方、ある株主が3分の2以上の議決権を保有する場合において、価格の公正性を担保する手段を講じた上で、当該支配株主から他の株主に対する株式の売渡請求の手続に関する制度を設けるべきである。金銭を対価とする株式交換を活用すれば、実質的には、売渡請求制度を設けた場合と同様の結果を生じさせることができるが、支配株主が株式会社でない場合には、株式交換を行うことはできない。
株式会社でない再生ファンド(例えば、投資事業有限責任組合)等が支配株主になる場合において、この売渡請求制度が有用である。
4 効力発生
吸収合併や吸収分割については、登記時ではなく、当該組織再編行為を行う会社間で定めた一定の日において、その効力が生ずるものとすることに賛成である。
5 人的分割における財源規制
人的分割について、「物的分割+剰余金の分配」という構成にするという試案の考え方は合理的であり、賛成である。なお、このように構成した場合でも、交付される財産が新設会社又は承継会社の株式のみの場合等一定の場合については、例外を設けるべきである。現行において特段の弊害が生じていないからである。

第8 清算関係

1 清算手続への裁判所の関与
会社の清算段階においても会社の自治の拡大を図るべきであり、債権者を害しない清算手続においては、迅速かつ簡易な手続とすべきである。その意味で裁判所の関与を限定する試案の考え方は合理的であり、賛成である。
2 清算中の会社の機関
(1) 清算中の株式会社の清算人会
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
(2) 清算中の株式会社の監査役
<1> 解散時に大会社であった清算中の株式会社
より多くの財産を迅速に分配すべき段階における清算手続は、簡素化、迅速化が求められる。清算人が1人でよいこととのバランスの観点からも、監査役は1人で十分であり、b案に賛成である。
(注)の通り、「監査役会」その他大会社の監査役に係る規定(員数3人以上、常勤監査役)を適用しないことに賛成である。
<2> <1>以外の清算中の株式会社
譲渡制限の有無に関わらず、清算人は清算に必要な範囲でしか業務執行は行わず、監査役を置く必要性に乏しい。a案に賛成である。
3 清算中の会社がすべき公告
(1) 債権申出の公告
清算手続が極力簡潔・迅速に進むよう、債権申出の公告については、1回で足りるものとし、債権申出期間は1月に短縮すべきである。
(2) 清算中の会社の決算公告
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
4 清算中の会社の配当等
(1) 残余財産分配の現物交付
(2) 会社財産の株主に対する払戻し
試案の考え方は合理的であり、賛成である。
5 清算結了登記後の資料の保存者
試案の考え方は合理的であり、賛成である。

第9 その他

1 子会社に関する規定
外国会社の中には、監査役・会計監査人による監査を実効ある形で及ぼし得ない場合も想定されるが、そのような場合に配慮した規定とすべきである。
2 会社整理・特別清算
倒産法部会における検討に委ねることに賛成である。遅くとも会社法制の現代化と同じタイミングで制定・施行されるべきである。

第5部 外国会社関係

1 擬似外国会社
a案では法的安定性を害することが予測されるため、b案に賛成である。脱法的行為を防止するための措置については別途、検討すべきである。
2 外国会社の日本における代表者
試案の考え方は合理的であり、賛成である。

第6部 その他

1 新たな会社類型
わが国法制においては、(ア)出資者全員の有限責任、(イ)法人格、(ウ)内部規律の柔軟性(広い自治)、(エ)税制上の導管性を兼ね備えた法人制度は存在しない。一方、こうした組織へのニーズは強く、例えば、合弁事業、投資ファンド・証券化のビークル、戦略的な事業再編、ベンチャービジネス、コンサルティング等の専門的職業法人などで活用が期待される。現に諸外国では、上記(ア)〜(エ)を兼ね備えた法人制度が整備され、これらの事業に活用されている。
多様な企業活動を可能とすることで経済を活性化し、さらにわが国企業の国際的競争力を維持・強化するためにも、上記(ア)〜(エ)を兼ね備えた使い勝手の良い法人制度を整備することが喫緊の課題である。
そのような観点から、今回の試案は極めて時宜に適ったものであり、内容も概ね妥当である。
しかしながら、より利便性の高い制度とするとの観点から、以下の点についてコメントしたい。
なお、今回の試案は、税制を対象としてはいないが、「新たな会社類型」が活用されるためには、上記(エ)の導管性に加え、出資時の課税繰延べも含めた税制上の措置が不可欠であり、その実現に向けた政府一体となった取り組みを求めたい。
1.会社の内部の関係
(1) 社員の入社、持分の譲渡、会社成立後の定款の変更
試案は、「社員の入社、持分の譲渡、会社成立後の定款の変更は、原則として総社員の一致によるものとする」としている。
しかし、「新たな会社類型」について、一般的な契約法理を貫徹する必要性が乏しい一方、多数決原理によって、自治を行うニーズは強い。
具体的には、例えば、社員の入社、持分の譲渡、会社成立後の定款の変更を総社員の一致によるものとすれば、投資ファンドや証券化のビークルとしての利用は事実上不可能となる。
また、現行法上、原則として契約自治が広く認められている合名会社においても、多数決原理により定款を変更することが認められている。
したがって、本項は、定款に別段の定めを置くことにより、社員の入社、持分の譲渡、会社成立後の定款の変更は、総社員の一致によらなくても可能であるとの趣旨であることを確認されたい。
(2) 定款の記載事項・登記事項
現行法の合名会社の規定に従うとすれば、商法63条3号により、「社員の氏名及住所」が定款の絶対的記載事項とされ、かつ、商法64条1項1号により登記事項となる。しかし、出資者全員が有限責任であり、かつ、全額払込制度、資本制度類似の制度を採用するのであれば、定款の絶対的記載事項や登記事項とすることは不要である。社員たる地位の特定については、証券法理に委ねることで弊害はない一方、「社員の氏名及住所」を定款の絶対的記載事項や登記事項とすることにより、投資ファンドや証券化のビークルとしての利用は事実上不可能になる。よって「社員の氏名及住所」は定款の絶対的記載事項でなく登記事項でもないことを確認されたい。
(3) 退社の自由
試案は、合名会社と同様に、「定款を以て会社の存立時期を定めざりしとき又は或社員の終身の間会社の存続すべきことを定めたるときは、各社員は営業年度の終わりに於て退社をなすことを得但し6月前にその予告をなすことを要す(商法84条1項)」とし、また、「やむを得ない事由があるときは、定款の定めにかかわらず、退社(社員たる資格を消滅させること)できるもの」としている。
しかし、全員有限責任の「新たな会社類型」において、退社の制限が社員の自由を拘束する度合いは、全員無限責任の合名会社に比べ著しく少なく、強行法規で退社の自由を認める必要性は低い。
一方、特定の社員の退社や退社に伴う持分の払い戻しによって、事業の存続自体が困難となり、他の社員のみならず債権者の利益が害される可能性もある。
そこで、「定款を以て会社の存立時期を定めざりしとき又は或社員の終身の間会社の存続すべきことを定めたるとき」や「やむを得ない事由がある場合」であっても、例えば、以下の定款規定は有効とすべきである。
(ア) 退社の告知の後一定期間(例えば12カ月)、ないし、退社告知の時点の翌事業年度の期末までは、会社にとどまらなければならない旨の定款規定
(イ) 退社告知に先立って他の社員に持分の譲渡を申し出ることを義務づける旨の定款規定
(ウ) 持分の譲渡の自由を定款で保障している場合に、退社の自由を認めない旨の定款規定
(エ) 債権者ないしは管財人が満足を得るために必要な場合にしか、退社の自由を認めない旨の定款規定
なお、会社運営に関する意見相違等の投下資本の回収方法としては、解散判決及び除名の請求制度を活用すれば足りると考える。
(4) 社員である法人が業務執行者となる場合の規律
社員である法人が業務執行者となる場合の規律については、委任、表見代理等の一般的な法理で処理でき、自然人と異なる規律をおく必要性はない。
2.会社の外部との関係
(1) 社員が出資できるものの金銭その他の財産への限定
試案は、「社員が出資できるものは、金銭その他の財産に限るもの」としている。
すべての社員が有限責任である会社では、会社の財産が債権者の債権の唯一の引当であることを鑑み、出資できるものを金銭その他の財産に限ることは妥当である。
しかしながら、資金はないが、優れた技術・知識等を有する業務執行者に、事業から得られる利益を配分できる(報酬を支払える)ように仕組むニーズは強く、また、わが国産業のために有用である。そこで、出資者間で損益の分配を自由に決めることを法制上認めるとともに、一定の合理性があれば、そうした損益の配分を、税制上認めることが必要である。
(2) 業務執行者以外の社員の対第三者責任の在り方
試案は、「業務執行者以外の社員の対第三者に対する責任の在り方については、なお検討する」としている。
しかし、例えば業務執行者以外の社員に、商法266条ノ3のような責任の規定を設けることは、全員有限責任の法人制度である「新たな会社類型」の趣旨を無にするものである。また、こうした責任は、現行の合資会社の有限責任社員の責任とも整合しない。さらに、業務執行を行っていない社員の「悪意又ハ重大ナル過失」の範囲が不明確であり、法的な安定性にも欠ける。
なお、「補足説明」が参照として掲げる商法266条ノ3第3項で準用される商法266条2項、3項は、取締役会という法定の内部規律を前提とする規定であり、内部規律の任意性を重視した「新たな会社類型」においてこれを参照することは、会社内部で行われる意思決定プロセスについて外形的には判断できないことからも、なじまないと考える。また、266条3項にあるように、内部機関の議事録作成を法定することは、「新たな会社類型」の機動性・簡便性を著しく阻害する。
(3) 社員の退社による持分の払い戻し
試案は、社員の退社による持分の払い戻しについて、a案(剰余金の分配・減資と構成し、減資に至る場合には減資同様の債権者保護手続)、b案(部分清算と構成し、清算同様の債権者保護手続) を挙げる。
社員の退社による持分の払戻しについては、その持分に応じた払戻しを保障することが適当であり、帳簿上の資本金・準備金の額に、払い戻すべき額が制約されるべきではない。したがって、原則として、b案が適当である。ただし、債権者保護手続については、資本減少の手続に相当するものとし、かつ、払い戻すべき金額が会社に現に存する剰余金の額を超えない場合には、要しないものとすべきである。
一般に、清算の場合に、債権者保護手続が必要となるのは、法人格の消滅することにより債務の履行を追及すべき主体がなくなることと、財産の実質的な流出であると考えられる。しかし、社員の退社による持分の払戻しでは、法人格が消滅するわけではなく、債権者は引き続き当該法人に債務の履行を追及でき、清算に準じた債権者保護手続を行う必要性に乏しい。持分の払戻しにより、問題となるのは、減資と同様、財産の流出のみであるので、減資に準じた債権者保護手続を行うものとすることで十分である。
また、払い戻すべき金額が会社に現に存する剰余金の額を超えない場合には、債権者を害することはなく、債権者保護手続は不要である。
3.その他
(1) 組織変更・組織再編規定の整備
企業の発展段階に応じてもっとも適した会社形態を機動的に選択できるよう、「新たな会社類型」から他の会社類型への会社変更やその逆が円滑にできる仕組みを整備することが必要である。また、経済実態に合わせた組織再編を行うため、「新たな会社類型」間、あるいは、「新たな会社類型」と他の会社類型との合併等の組織再編手続を整備すべきである。
(2) 魅力的な名称の付与
「新たな会社類型」の検討にあたり、その名称を魅力的なものとすることが重要である。ネーミングについて知見のある専門家の知恵も借りながら、名称を検討すべきである。
なお、「新たな会社類型」に関する上記以外の部分については、試案の考え方は合理的であり、変更すべきではない。

以上

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