[ 日本経団連 ] [ 意見書 ]

「2004年春季労使交渉に関するトップ・マネジメントの
アンケート調査結果」の概要

2004年8月25日
(社)日本経済団体連合会

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I.調査の概要

調査目的:
今後の賃金対策および企業経営の参考に資するために、1969年より毎年、その年の春季労使交渉の状況をアンケート調査し、とりまとめている
調査対象:
日本経団連会員企業および東京経営者協会会員企業(計2091社)の労務担当役員以上のトップ・マネジメント
回答状況:
調査対象企業2091社のうち、有効回答社数545社(回収率26.1%)。このうち、産業別では、製造業292社(53.6%)、非製造業253社(46.4%)。規模別では、従業員500人以上の企業401社(73.6%)、500人未満の企業144社(26.4%)
調査時期:
2004年5月28日〜6月30日

II.調査結果のポイント

<今年の賃金決定の結果・今後の望ましい賃金決定のあり方>

  1. 今年の賃金決定の結果(非管理職)は、前年に続いて5割以上の企業(54.3%)が「ベアは実施せず、定昇のみ実施」した。また、「定昇の一部縮減」(4.6%)、「ベア・定昇とも実施せず」(5.0%)をあわせると約1割となったが、「降給」を実施した企業はなかった。【図表1】

  2. 今後の望ましい賃金決定のあり方は、「定昇制度を廃止し、降給も含めた成果や業績による賃金決定とすべき」とする企業が最も多かった(56.9%)。また、「定昇のみとし、成果や業績は賞与に反映すべき」とする企業は3割を超え(30.4%)、成果や業績は賞与に反映する傾向が強まっている。【図表2】

図表1 今年の賃金決定の結果 図表2 今後の賃金決定のあり方

<今次労使交渉の結果、とられた措置> 【図表3】

  1. 今次労使交渉における賃金決定(非管理職)以外の結果では、「定期昇給制度の廃止・見直し(またはその方向での継続協議)」が最も多く、3社に1社(33.0%)が、実施または検討を行っている(回答のあった企業に対する割合・複数回答、以下同じ)。また、「管理職の賃金額据え置き」は8.7%(前年13.9%)、「管理職の賃金減額」は6.3%(同10.2%)と、いずれも減少した。

  2. 賞与・一時金では、対前年1人当たりで「引き上げた」企業は23.9%、「引き下げた」企業は18.9%となり、引き上げた企業が引き下げた企業を上回った。また、「賞与・一時金の業績連動制導入(またはその方向での継続協議)」した企業は28.3%と、前年より5.2ポイント増加した。

  3. そのほか回答数が多かったものは、「退職一時金・年金制度の見直し(またはその方向での継続協議)」(28.5%)、「諸手当の廃止・減額」(14.1%)、「法定外福利厚生の削減」(10.7%)などとなっている。

図表3 今次労使交渉の結果、とられた措置(複数回答)

<雇用問題>

  1. 今次労使交渉の場で、「雇用問題が取り上げられた」企業は、全体の約4分の1(24.5%)と、前年(36.0%)と比べ、11.5ポイント減少した。取り上げられた場合の措置として最も多かったのは、「将来に向けて雇用維持を優先させるため、賃上げを抑えた」(8.8%)および「雇用と賃上げとは別個の問題として切り離して、それぞれ対処した」(8.8%)となっている(回答のあった企業に対する割合)。【図表4】

  2. 今後の雇用形態の組み合わせ(雇用のポートフォリオ)については、「長期雇用労働者中心だが、パート・派遣等の比率を拡大する」とした企業が、前年(57.2%)より減少したが、52.0%と過半数を占めた。また、「今後も長期雇用労働者を中心にする」とした企業は29.2%で、前年(26.9%)より増加した。【図表5】

図表4 雇用問題への対処の仕方 図表5 今後の雇用形態の組み合わせ

<高齢者雇用への取り組み状況>

  1. 60歳以降も雇用継続するための何らかの制度を持っている企業は8割(80.0%)にものぼっている。このうち、定年は60歳で、60歳を超える継続雇用制度(再雇用制度、勤務延長制度等)を導入し、会社が認めた者に限定している企業は6割強(65.8%)、「原則、希望者全員の継続雇用制度を導入している」企業は1割(10.7%)あった。さらに、「60歳より上の定年制度を導入している」企業は3.3%、「定年の定めはない」企業は0.2%となっている。【図表6】

  2. 60歳を超える継続雇用制度または定年制度を導入している場合の最高雇用年齢は、65歳が約半数(45.5%)を占めた。次いで62歳(29.6%)、63歳(18.1%)の順となっている。継続雇用制度導入企業の内訳をみると、希望者全員を継続雇用している企業では65歳が5割以上(55.8%)、会社が認めた者に限定して継続雇用制度を導入している企業でも4割以上(43.3%)となっている。【図表7】

  3. 今次労使交渉で、継続雇用制度について、現行制度の改定を行なったり、将来の導入を決めるなど、何らかの話し合いが行なわれた企業は4分の1(25.3%)、「議題となっていない」企業は4分の3(74.7%)となっている。また、定年延長については、「議題となっていない」企業がほとんど(90.6%)で、話し合われた企業は1割(9.4%)にとどまった。

図表6 継続雇用制度等導入状況 図表7 継続雇用制度等の最高雇用年齢
(注)集計結果は、四捨五入、複数回答の関係で、合計数値(100.0%等)にならない場合がある。
以上

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