[ 日本経団連 ] [ 意見書 ]

2004年度・新卒者採用に関する
アンケート調査集計結果の概要

2005年1月20日
(社)日本経済団体連合会

調査対象日本経済団体連合会および東京経営者協会法人会員企業 2087社
調査形式無記名式アンケート(業種・従業員数のみ記入)
実施時期2004年11月(正式内定日以降)
回答企業775社(回答率37.1%)
* 製造業47.1%、非製造業52.9%
* 従業員規模1000人以上56.2%、1000人未満43.8%


2004年度・新卒者採用に関するアンケート調査集計結果
(14ページ/PDF形式)

2004年度・新卒者採用に関するアンケート調査集計結果の特徴

○ 採用実施企業・採用人数は2年連続の増加

採用実施企業は前年度より1.9ポイント増の87.6%となっている。このうち、採用人数を「増加した」企業が51.0%と、前年度(35.1%)に比べ15.9ポイント増加している。反対に、「減少した」企業は18.9%と、前年度(26.4%)に比べ7.5ポイント減少した。採用人数を増加した理由としては、「事業拡大のための人材確保」が最も多く、「人員構成のバランスを保つため」が2番目に多くなっている。
企業業績の回復に伴い、採用人数を増加する傾向が見られる反面、採用内定者に対する評価は、「良い人材が採用できた」が58.9%と、前年度(63.1%)に比べると4.2ポイント減少した。採用担当者からは、学生の就職意識の低下といった問題点が指摘されている。

○ 4月上旬に採用活動を開始した企業が大幅に増加

「採用活動の開始時期を早めた」企業は14.4%と、前年度(27.6%)に比べ13.2ポイント減少し、「4月上旬に開始」した企業が33.8%と、前年度(15.0%)に比べ18.8ポイントと大幅に増加した。一方、「採用活動の終了時期を早めた」企業は8.8%(前年度15.3%)に留まり、「終了時期が遅くなった」企業が26.2%と前年度(10.1%)を16.1ポイント増加した。採用活動の開始時期を早めた企業が減少した理由として、日本経団連会員企業に対して実施した共同宣言が、採用活動早期化に一定の歯止めをかける効果があったと見られる。
「終了時期が遅くなった」主な理由として、「倫理憲章の趣旨に沿った採用活動を行なうために、開始時期を遅らせことで終了時期も遅くなった」、「学生の質を重視した採用を行い、人物を見極めるために時間がかかった」等が挙げられている。

○ 春季一括採用以外の採用形態が拡大

ここ数年、「説明会・選考会の複数回開催」(85.0%)や「オープンエントリー(公募制)」(73.3%)などの特徴ある採用形態・手法を導入する企業が増加する中、通年採用を実施した企業が29.7%に上った。このうち、「年間を通しての随時採用」は47.3%(前年度63.8%)、「春季一括採用に秋季採用を追加」した企業が46.8%と、前年度(28.4%)に比べ18.4ポイント増加した。
職種別採用については、「すでに導入している」(39.1%)と「今年度から導入した」(1.4%)を合わせると40.5%の企業が実施している。導入した分野は、営業・販売職(50.0%)が最も多く、経理・財務職、SE、研究・開発職の順になっている。
また、「海外大学卒業者の採用を行なった」企業が20.4%と、前年度(17.6%)と比べ2.8ポイント増加した。毎年、わずかではあるが増加する傾向にあり、企業としては、採用対象者を国内に限らず、海外大学の卒業者にも広げている実情が窺える。

○ 企業は採用選考にあたってコミュニケーション能力を重視

企業が採用選考時に重視する要素の順位は、昨年同様、第1位「コミュニケーション能力」75.0%(前年度68.3%)、第2位「チャレンジ精神」56.6%(同58.0%)、第3位「主体性」50.4%(同45.7%)、第4位「協調性」45.4%(同41.5%)、第5位「誠実性」34.3%(同37.9%)となっている。
一方、採用内定学生の意識面、行動面等で特徴がみられたと回答した企業は20.4%と、前年度(17.2%)に比べ3.2ポイント増加した。採用内定学生の特徴として、「意識の高い学生とそうでない学生の二極化がさらに進んだ」と指摘する企業が多くなっている。

○ 倫理憲章に則った採用活動については、すべての項目が前年度を上回る

倫理憲章に則った採用活動については、「正常な学校教育と学習環境の確保」85.5%(前年度84.5%)、「採用選考活動の早期開始の自粛」76.2%(同67.4%)、「公平・公正な採用の推進」98.1%(前年度96.9%)、「情報公開の徹底」94.9%(同89.9%)の4つの項目すべてに対して、多くの企業が実施できたと高く自己評価している。
憲章趣旨の周知徹底と実効性を高めることを目的として、初めて実施した共同宣言の効果に関しては、「採用活動早期化の歯止めに効果があった」が58.3%、「効果がなかった」が29.9%となっている。企業からは、「倫理憲章の趣旨を、さらにすべての企業に徹底させてほしい」、「早期化に一定の歯止めはかかったが、4月以降に選考が重なり、学生は企業の選択肢を大幅に狭められたのではないか」等の意見が寄せられた。

以上

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