[ 日本経団連 ] [ 意見書 ]

政策金融機能のあり方について

2005年11月11日
(社)日本経済団体連合会

国内外を問わず、長期にわたる大型の開発プロジェクトに対するニーズは依然として高く、今後もそれらに係わる資金需要は増大する可能性が強い。とりわけ、世界的に資源・エネルギー需給が逼迫する中、その太宗を海外に依存するわが国が持続的かつ安定的に資源・エネルギーの確保を図ることは、国益に直結する重要な課題である。また、開発途上国からの基礎的インフラの整備に関する協力要請は絶えることはなく、その一方で、国内においてもわが国の国際競争力の維持・強化に資するインフラ整備の必要性は依然として高い。加えて近年、各地で自然災害が頻発しており、被災した地域や企業に対する復旧・復興支援も大きな課題となっている。

こうした中、従来の政策金融については、「官から民へ」という政府の方針のもとでその機能を精査し、民間でも可能なものは民間に委ね、あくまでも民業を補完する方向で改革を進めるべきである。その際、保証や利子補給といった手法を採り入れることも含めて民間による融資対象の拡大や民間金融機関の競争力強化を促しながら、政策目的との整合性や成果を検証しつつ、不断の見直しを行うことが求められる。

現状においては、(1)海外の大型プロジェクト、とりわけリスクの高い資源・エネルギーの開発や開発途上国のインフラ整備に対する超長期のファイナンス機能*、(2)国内における資源・エネルギー開発、産業・国民生活基盤の維持・強化のための超長期のファイナンス機能、さらには(3)自然災害発生時における地域の産業復興支援や経済・金融環境の激変時における中小零細企業等への事業支援といったセーフティネット機能、特定地域への政策的産業支援などについては、民間金融機関でその全てを代替することは難しい。

従って、これらの機能について、当面、その維持に配慮するよう求めたい。

以上
* 米国をはじめとする諸外国においても同様の機能を有する機関があり、国際競争力の維持・強化、公的ステータスに基づく相手国政府との交渉力の観点からも重要である。

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