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義務教育改革についての提言

2006年4月18日
(社)日本経済団体連合会

義務教育改革についての提言(概要)
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はじめに

現在、わが国の義務教育を巡っては、政府の審議会などにおいて様々な改革が議論されている。文部科学省は、今後2年の間に、学力向上策から、教員養成のあり方、教育委員会改革にいたるまで多岐にわたる改革を実施することとしている。また、経済財政諮問会議では、今年度中に、教育予算の配分策などについて結論を得ることとなっている。

経団連においても、義務教育については、(1)画一的で均質的な教育から脱却し、多様な主体による学校運営などを通じて社会の様々なニーズに応えること、(2)学校や教員が質の高い教育を目指して切磋琢磨 #1 し、お互いを高めあうこと、(3)学校や教員の取り組みを評価し、教育内容の改善に結びつけること、などの必要性を指摘し、「多様性」「競争」「評価」の観点から抜本的な改革を断行することを求めてきた。

近年、習熟度別授業の普及、学校法人以外による学校の設置・運営、市町村による社会人等の教員への採用などの取り組みも見られるが、依然として改革の足取りは遅く、全体としては十分な成果はあがっていない。

例えば、昨年10月の内閣府のアンケートによれば、現在の公立小学校、公立中学校に「満足」と答えた保護者はそれぞれ12%、10%にとどまる一方、「不満」としたのは32%、37%にのぼっている #2。学力面での公立学校に対する不信感 #3 が、私立志向の一層の高まり #4 や塾通いの常態化を招いており、公立学校の改革は不可欠である。

公立の義務教育学校が社会の信頼を取り戻し、多様化する教育ニーズに応えるためには、これまでの行政主導型の改革でなく、教育現場の発意と創意工夫が、保護者や地域社会との協力とあいまって、学校経営や授業の具体的な改善に結びつく必要があり、そのための環境整備が求められる。

このため、経団連では、公立学校が、教育の質の向上に向けたダイナミズムを生み出していけるよう、従来の提言のうち特に(1)学校選択制の導入、(2)教員評価を含めた学校評価の実施・公表、(3)教育の受け手の選択を反映した学校への予算配分の実施の3点について検討を深め、以下の通り提言することとした。

1.学校選択制の全国的導入

(1) 目的・現状等

学校選択制の目的は、それぞれの学校が教育の受け手から選ばれるよう切磋琢磨を促進することである。

教育の受け手においては、学校選択制への期待は高い。前出の内閣府の保護者アンケートでは、学校選択制に「賛成」と回答した保護者は64%にのぼり、「反対」の10%を大きく上回っている。こうした評価にもかかわらず、学校選択制は小中学校とも約1割の自治体が導入しているに過ぎない #5

一方、学校選択制を導入した品川区などでは、学校や教員の意識や姿勢が変化し、困難校が人気校に転じたという実例も出始めている。また、特色ある学校づくりなどの取り組みについて、地域社会に対する説明責任を積極的に果たすようになり、その結果、地域から学校に対する期待の声が寄せられるようになるなど、地域との関係が強化される傾向も示されている。

(2) 改革の方向性

現在、学校教育法の政省令においては、就学先の学校は市町村が指定することとなっており、保護者の意見は「聞くことができる」とされるに止まっている #6。学校や教員の教育の質の向上に向けた努力を促すためには、就学先は教育の受け手が主体的に選べることとすべきである。そのため、あらかじめ教育の受け手の希望を調査し、原則として、その希望が最大限尊重されるよう、学校教育法を改正すべきである。

学校選択制の形態としては、自由選択制(当該市町村内の内の学校を自由に選べる)、ブロック選択制(当該市町村をブロックに分けそのブロック内で選択できる)などが考えられる。地域の地理的な特性や通学路の安全対策等を踏まえて、どのような類型を採用するかに関しては、各地域の判断に任せることとすべきである。

また、不人気校に対しては、その原因分析を進め対策を講じるとともに、必要に応じて支援措置(有能な校長・教員の配置、予算の特別交付など、「3.教育の受け手の選択を反映した学校への予算配分」参照)を実施すべきである。

なお、保護者は、子どもの特性、学校の特徴、通学路の安全確保などを十分熟慮するとともに、学校の選択には相応の責任が伴うことを自覚し、学校の運営に積極的に協力することが求められる。

2.学校評価(含 教員評価)の実施

(1) 目的・現状等

学校評価は、教育の受け手に学校選択の参考材料を提供する上で、極めて重要である。学校評価には、学校内部者による自己評価と、保護者などによる外部評価があり、それぞれの取り組みが進みつつあるが、十分には機能していない。

学校による自己評価については、省令で義務化されていることから #7、現在、ほぼ全ての公立小中学校で実施されている。しかし評価項目はまちまちであり、教育の受け手にとって有効な比較材料とはなっていない。例えば、同一の自治体においても、学校目標の達成状況や教育課程、授業の評価など、学校運営や教育活動全般について評価を実施している学校から、学校行事の反省などに止まる学校まである。

また、評価結果を公表する学校は半数にも満たない上、公表される場合でも、学校だよりなど在校生とその保護者に限定された情報発信にとどまる事例も多い。

さらに、学校目標 #8 や経営方針 #9 が抽象的で具体性に欠けることから、その達成度を客観的に評価できず、学校運営の改善につながっていない例や、保護者や地域との有効な対話材料になっていない事例もある。

外部評価については公立小中学校の8割強が実施しているとされるが、実際には学校行事等についてのアンケートなど、外部意見の汲み取りが限定的な場合も少なくない。加えて、外部評価をどのように活用したか説明が不十分なケースもある。

教員評価については、教育の質は教員の質で左右されることから最も重要である。しかし、依然として多くの自治体では、校長が一方的に評価するのみで、(1)教員の指導などには活かされていない。さらに、(2)教育の受け手、とりわけ教員と日々接している児童・生徒が評価に参加しない、(3)評価結果が処遇に反映されないといった自治体も存在する。また、(4)人事評価の経験を積むことなく、校長になってはじめて全教員を評価する立場におかれるという問題も存在する。

校長に対する評価は、市町村教育委員会が実施することとなっているが、その能力や実績に対する評価基準があいまいであるばかりか、評価結果とその活用方法が保護者等に説明されることもほとんどない。

(2) 改革の方向性

このような状況に照らし、教員評価を含めた学校評価が義務教育の質と信頼を高めるツールとして機能するためには、(1)学校や校長・教員の取り組みや実績を比較・検証可能なものとする、(2)教育の受け手が評価に参加し、その結果を学校経営や授業に反映する、(3)評価者の訓練の機会を増やすなど、評価システムを工夫しなければならない。

(学校評価の具体的実施方法については添付資料参照

(3) 「義務教育諸学校における学校評価ガイドライン」について

文部科学省は本年3月に「義務教育諸学校における学校評価ガイドライン」 #10 を発表し、評価方法、評価項目、評価結果の公表方法、情報公開すべき項目などを示した。

学校評価に関する一定の基準が示されたことは歓迎できるが、教育の受け手の評価が、学校による自己評価の参考情報としてのみ位置付けられており(目標達成度合いなどを検証するための材料)、教育の受け手の意見を積極的に汲み取り、具体的な改善に結びつける視点に欠けていることは問題である。また、学校からの情報発信については、教育活動の成果や生徒指導の状況などのデータの公開は求められていない。このようなデータを、経年変化も含めて公表することは、教育の実践の成果をはかる上で極めて重要である。かかる観点から、2007年度より実施予定の全国学力調査については、その結果を学校毎に公表すべきである #11

3.教育の受け手の選択を反映した学校への予算配分の実現

(1) 目的・現状等

義務教育の質的向上に向けた学校の自己改革を担保するためには、学校選択や学校評価とあわせて、予算面においても教育の受け手の選択を反映させる必要がある。

現在、義務教育段階の学校教育費として年間11兆円 #12 もの公金が投入されている。この予算は、主に学級数・教員数を基準に配分されており、教育内容の質の高さや学校教育に対する満足度などは殆ど反映されていない

(2) 改革の方向性

学校教育の質や教育の受け手の満足度は、当該学校を選択した児童・生徒の数にあらわれる。イギリス、オランダ、スウェーデンなどの教育先進国では、学校選択制の導入とともに、児童生徒数を基準として公的助成が行われ、教育の質の維持・向上に成功している。

わが国においても、予算面でも教育の受け手の選択を反映させる観点から、既存の制度の枠組みに捉われずに、学校教育予算を(1)原則として児童・生徒数に応じて配分することとした上で、(2)各校の個別の事情を踏まえて、施設整備・建設費や追加的な交付を決定するという仕組みを導入すべきである。

さらに、学校設置者は、中長期的な見通しの下に、教育の受け手の選択を反映した学校の整備・配置を行う必要がある。

【具体策】
まず、(1)学校教育予算学校運営費 #13(人件費など)と施設整備・建設費に分ける、(2)学校運営費については児童・生徒一人当たりの金額を決定し、各学校の児童・生徒数に応じ、使途を特定せず一括配分する、(3)各校の施設整備・建設費は学校設置者(市区町村)が決定する、(4)これらに加えて、地方(市区町村、都道府県)が独自の判断で学校予算を上乗せする(困難校への支援や教員評価による人件費の調整等)ことも可能とする。

児童・生徒の数に応じて配分される予算は現行では全体の1%未満であるが、上記の予算配分の仕組みを導入すれば、学校予算のかなりの部分 #14 に、教育の受け手の評価が反映すると試算される。

また、学校運営費として、現行の教材費、備品購入費、報奨費、光熱費などの維持費などが、予算項目を特定せずに一括配分されることから、予算の使途決定にあたっての学校の裁量が拡大する #15。同時に、児童・生徒数の増加によって、学校が自ら使途を決定できる予算が拡大する結果、学校や教員の間に教育の受け手の声を反映した質の高い教育を実施しようとの意欲が高まるものと期待される。

山間地や離島などの学校については、一人当たりに必要とされる学校教育費の実態を把握した上で、当面は現状の経費を前提に特別な予算措置を講じることが求められる。

なお、今回は公立学校への予算配分について提言したが、私立学校に対しても、生徒数を踏まえて私学助成を行うなど、基本的考え方は適用できるものと考える。

おわりに

公立学校の教育の質的向上を図るためには、これまでに述べた3つの改革が一体となって実現することが必要である。加えて、学校評価や新たな学校予算の配分方法を導入するにあたり、ICTの積極活用による事務作業の効率化、評価に必要となる経費や人員の確保、学校毎のバランスシートの作成、など実務的な取り組みも必要となる。

教育改革は、学校運営に関わる具体的な事項の決定をできる限り教育現場に近いところで行うことによって活きてくる。そのためには、教員人事権について、都道府県から特別区を含む中核市規模の自治体に早急に委譲し、将来的には校長主導で学校への教員配置が行われることとすべきである。また、義務教育段階で身につけるべき学力などについては国の方針を前提とするものの、教科区分見直しを含め、教育カリキュラムについて学校の権限を大幅に拡大することが求められる。さらに、校長を補佐する組織の構築など、校長・教頭の学校経営者としての経営・管理能力を高めるとともに、教育委員会の役割やその活動の評価のあり方についても見直す必要がある。

産業界としては、こうした点についてさらに検討するとともに、教育の充実に向けて、(1)職場体験の受け入れ、(2)ICT分野や英語教育等の教育条件の整備、(3)学校経営者としての学校管理職の育成、などの分野で積極的に協力していきたい。

以上

別添

学校評価の具体的実施方法

1. 評価者と評価項目のあり方

  1. 評価者毎に評価項目の基準を設定する。
    学校内部者(校長・教頭・教員)による学校の自己評価では、学校目標や経営方針の達成状況教育内容・方法と成果(学力調査を実施するなど、義務教育段階で身につけるべき学力や期待される体力レベルなどに達しているかどうか評価する)、保護者や地域との連携などについて評価する。校長、教頭による教員評価については、主体性や積極性なども加味しながら学校運営への協力学習指導・授業の工夫生活指導面での指導力などについて評価する。
    教育の受け手による学校評価としては、保護者、児童・生徒は学校生活や授業などへの満足度などを評価するものとする。教育の受け手による教員評価は、校長、教頭による教員評価とは別に学校評価の一環として実施し、保護者ならびに児童・生徒が学習指導や授業の工夫教員への信頼度などを評価する。
    市区町村教育委員会による校長評価については、学校経営者としての自律性や主体性、学校目標や経営方針達成に向けた行動力、保護者や地域社会とのコミュニケーション能力教員の資質向上への取り組みなどについて評価する。

  2. 学校目標や経営方針、年度目標などはできるだけ数値化する(評価結果を保護者や地域との対話や次年度計画の立案に活用)。
    (目標例)
    「教育内容についての保護者評価で、満足との回答率を8割以上にすることを目標とする」
    「生活アンケートを実施し、テレビの視聴時間2時間以上の子を2割以内になるよう指導する」

  3. 評価者の評価能力を高める
    校長や教頭に対しては、教員の資質向上に向けた指導・評価手法等の体得に向けて、研修の機会を充実させる。教育の受け手に対しては、評価の分析結果を報告し、建設的な評価能力を高める。
    (学校評価で共通化すべき項目例については表1参照

2. 公表のあり方

  1. 学校の評価結果は、原則として全て各校のホームページ等で公開する。また、学校の窓口では、常に評価結果を入手が可能な状態とする。

  2. 教育委員会は、各学校の評価結果を自身のホームページに掲載するとともに、保護者等を対象とした学校合同の説明会などを開催するなど、結果を教育の受け手にフィードバックし、教育の受け手による比較・検証を容易にする。

  3. 教員の評価結果については、各校ならびに教育委員会は、学年毎に取りまとめるなど、その概要を公表する。教育委員会による校長の評価結果も、教育委員会のホームページ等でその概要を公表する。

  4. 学校評価の公表に加え、一定の基準に沿って、学校活動の基礎的なデータも公開する。
    (公表すべき情報公開項目例については表2参照

3. 評価頻度

年に最低2回実施する。

4. 活用策のあり方

  1. 評価結果と学校経営・授業の改善策等は、校長が保護者や地域に直接説明する。

  2. 校長・教頭が、教員評価結果(含 教育の受け手による評価)を個々の教員に報告するとともに、指導を行う

  3. 教員評価結果を教員の処遇や配置などに反映する。
    教員評価結果を給与に反映させる。なお、その完全な実現のためには評価結果に基づく職能等級制度 #16 を導入しなければならない。職能等級の高い教員は、組織上、経験の少ない教員の指導や、校長や教頭を補佐し、校務の調整や進行管理などの役割を担う。
    地域の教育水準の底上げを図る観点から、評価の高い教員を困難校に配属する等の対応を行う。
    また、保護者などの意見を踏まえつつ、校長が教員確保により主体的に動くことを制度的に可能とする。

  4. 市区町村教育委員会による校長評価ならびに教育の受け手による学校評価の結果を校長の処遇に反映させる。

  5. 質問項目の決定やアンケートの集計にあたり保護者と連携して取り組み、共同作業を通じて信頼関係の醸成に努める。

表1:学校評価で共通化すべき項目例

全国共通の評価項目と評価者を例として示す。なお、学校は、自治体特有の教育課題の達成状況、特色ある教育活動の進捗状況等に関する評価項目を適宜、追加する。

  1. 学校運営

    評価者備考
    (教育の受け手への質問例)
    学校
    内部者
    保護者児童・
    生徒
    (1)学校目標の妥当性
    保護者への質問例:
    「学校の目標、経営方針に満足していますか」
    (2)学校目標の達成状況
    保護者への質問例:
    「学校目標はどの程度達成されていると思いますか」
    (3)学校目標達成に向けた
    学校内の協力状況

    保護者への質問例:
    「行事などの運営にあたり、先生方が協力していると思いますか」
    (4)保護者や地域との連携
    保護者への質問例:
    「学校は保護者の意見や心配に対しきちんと説明・対応していますか」
    (5)学校公開・情報提供
    保護者への質問例:
    「学校からの情報提供量は十分ですか」
    「学校公開や保護者会などを通じ、学校の様子が良くわかりますか」
    (6)安全対策
    (災害対策等)

    保護者への質問例:
    「安全性を高めるための指導や訓練は十分行われていますか」
    (7)学校の施設等
    保護者への質問例:
    「パソコン教室などの施設の充実度は満足のいくものですか」
  2. 教育活動(*の評価項目については、各教員の評価に反映させる)

    評価者備考
    (教育の受け手への質問例)
    学校
    内部者
    保護者児童・
    生徒
    (1)学校生活への満足度保護者への質問例:
    「お子さんは学校を楽しんでいますか」
    児童・生徒への質問例:
    「学校は楽しいですか」
    (2)学習指導 (中学校では教科毎に質問)

    1)学習意欲を喚起する
    授業の工夫*
    保護者への質問例:
    「子どもの興味をひくよう授業を工夫していると思いますか」
    児童・生徒への質問例:
    「授業はおもしろいですか」「勉強することは楽しいですか」
    2)個に応じた指導*保護者への質問例:
    「学校の授業のレベルやペースは子どもに合っていると思いますか」
    児童・生徒への質問例:
    「学校の授業内容が難しすぎたり、授業の進み方が早すぎると感じますか」
    3)学習の成果*保護者への質問例:
    「学校の勉強と宿題で学習の成果があがっていると思いますか」
    児童・生徒への質問例:
    「学校の勉強は良くわかりますか」
    (3)生活指導*保護者への質問例:
    「先生は、学校のきまりを守るよう指導していますか」
    児童・生徒への質問例:
    「きまりを守らない人がいると、先生は注意をしますか」
    (4)特別活動
    (クラブ活動・部活動、
    児童・生徒会活動)
    保護者への質問例:
    「子どもが興味を示し楽しめる部活動がありますか」
    児童・生徒への質問例:
    「たのしみにしている部活動・クラブ活動がありますか」
    (5)学校行事保護者への質問例:
    「子どもがたのしみにしている学校行事がありますか」
    児童・生徒への質問例:
    「たのしみにしている学校行事がありますか」
    (6)進路指導*保護者への質問例:
    「先生は、将来の目標について考えさせる機会を持っていますか」
    「進路に関する相談への対応には満足していますか」
    児童・生徒への質問例:
    「先生とよく将来のことや夢について話したりしますか」
    (7)教員への信頼度*保護者への質問例:
    「先生は、子どもを公平に扱っていますか」
    「先生に気軽に相談することができますか」
    児童・生徒への質問例:
    「先生は、誰に対しても公平でひいきをしないと思いますか。」
    「先生は、いつでも相談にのってくれますか」

    児童・生徒への質問については、学年に応じて実施方法を工夫する。
    (先生が質問を読み上げる、ルビをふるなど)

表2:公開すべき情報項目例

  1. 学校の基礎情報

    (1)校長名、連絡先、児童・生徒数、学級数、
    教職員紹介・校務分掌、学校予算・決算 など
    (2)学校の教育方針・教育目標
    教育理念や指導方針、重点課題 など
    (数値目標や行動目標を含めて説明)
    (3)教育活動計画
    教育課程、年間指導計画、授業時数 など
    (4)特色ある教育活動
    学力、運動面での特色、クラブ活動・部活動 など
    (5)学校行事など
    説明会・授業参観・懇談会などの予定、学校行事予定 など
    (6)通知表関連
    通知表のつけ方、見方(評価基準・評定方法)など
    (7)地域や保護者との連携
    防災・防犯対策、保健安全対策 など
  2. 学校評価の客観的データ

    (1)教育活動の成果・学習指導の成果
    学力調査結果、体力測定(経年変化を含む) など
    (2)生徒指導・進路指導など
    出席率、遅刻者数・早退者数、教育相談件数、進学実績 など
    (3)地域や保護者との連携
    保護者会・PTAへの出席人数、ホームページの更新回数 など

    なお、学校評価結果は、原則としてすべて公表する。

以上

  1. 学校間の切磋琢磨とは、誰かが勝ち、誰かが負けるといった類のものではなく、学校や教員が努力し、互いに高めあうことを意味する。
  2. 内閣府調査「学校制度に関する保護者アンケート」(05年10月実施)。小学生から高校生までの子どもを持つ全国の保護者3620人を対象に実施し、1270人が回答した。
  3. たとえば、品川区が実施した「平成16年度通学区域の弾力化に関するアンケート調査」によると、中学校をどのような基準で選択したか質問したところ、子どもが私立中学校に進学する保護者の32.2%が「学力面を考えて」と回答したのに対し、公立中学校の場合には4.41%にとどまった(ただし、品川区では学力面を考えて公立中学校を選択したとする保護者が年々増加している)。
  4. 首都圏の私立中学受験率00年13.0%から05年には16.2%と上昇傾向にある。
  5. 文部科学省調査(同一種の学校を2校以上設置している自治体において、2004年11月実施)。
  6. 学校教育法施行令第5条2項、学校教育法施行規則第32条。地理的理由やいじめなど例外的な事例に対応するものとして、保護者の申立により指定校を変更する制度(学校教育法施行令第8条)がある。
  7. 小学校設置基準では、「小学校は、その教育水準の向上を図り、当該小学校の目的を実現するため、当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況について自ら点検及び評価を行い、その結果を公表するよう努めるものとする」とされている。中学校設置基準も同様。(文部科学省令14,15号平成14.3.29)
  8. 学校目標の例「自ら考え学習し心豊かにたくましく生きる児童を育成する」など
  9. 経営方針の例「地域とともに歩む」など
  10. 学校が実施する自己評価結果を、保護者や地域住民などで構成される外部評価委員会で評価するという仕組みを提示。
  11. 全国的な学力調査の実施方法等に関する専門家会議(文部科学省初等中等教育局長の諮問機関)が今年3月に公表した中間まとめでは、調査結果の公表のあり方について、「序列化や過度な競争につながるおそれがある」として、国は、学校単位では公表しないとの方針を示している。また、学校が自己の結果を公表することについては、今後の検討課題とした。
  12. 国と地方の支出合計(「データからみる日本の教育2004」)
  13. 学校運営費は、人件費ならびに学校運営にかかわる各種予算(教材費、備品購入費、報奨費、光熱費などの維持費など)とする。
  14. 経団連試算によると75%程度と考えられる。都内のある区の例(平成17年度予算)をもとに試算したところ、小学校予算のうち、学校運営費が全体の約75%を占める(内訳:人件費57%、人件費以外の学校運営費(教材費、備品購入費、報奨費、光熱費などの維持費など18%)。施設整備・建設費は約25%である。
  15. 現在の学校運営費は、固定的な人件費と予算項目が細分化している学校運営費から構成されており、学校裁量の余地は少ない。
  16. 義務教育段階の教員の給与は、基本的には、4級(校長)、3級(教頭)、2級(教諭)、1級(助教諭)の4つに分類されている。教頭に昇任しない限り、教諭は、2級の俸給表に従い年功序列で昇給する。公務員処遇制度の改革の一環として、教員についても、職能等級を踏まえて給与を決定するよう改めるべきである。

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